エピソード:3,器の問題は解決するみたいですよ…
ポタン、ポタンと。
水滴が落ちる音がずっと聞こえる。
何をしていたのか、何をするべきなのか。
何もわからない…脳が理解しようとすることさえ拒否しているような…そんな感覚。
俺は…誰だ…っけ………
…音が止む。
水の音が消えた。
この空間は虚無だ。
なにもない、なにも認識できない、なにも感知できない。
浮遊感が消えない。
本当に…俺は…
虚無に等しいこの空間に光が焚きつける。
フラッシュバンを受けたような衝撃が頭に直で響く。
「…お、れは…?」
なにしてたんだっけ?なにをしていたんだっけ?なにか…大事なことを忘れているような…
フラッシュバック…
あいつ……えと…????
神様…名前…なんだっけ…
「あ。俺もあいつも、まともな自己紹介してねぇ。」
こんど会ったら名前聞かねえと…
「そんなことより、仕事を片付けないとな。」
あいつから言われた問題は二つ。
一つは魔力が入る“器”の大きさに最大魔力量が追い付かないこと。
二つにあいつだ。
魂を身体にねじ込む瞬間あいつは…泣いてた…
どういう意図があったのか、ちゃんと聞かねえと。
「よし。魔力三大原則は全て覚えてる。」
魔力の三大原則その一!
・最大魔力量は変化し続ける!
所有する魔力を一度に減らせば減らすほど最大量が増加していく。
だが最大量が多くなればなるほど増やすために減らさなければならない量も増えてくる。
魔力の三大原則その二!
・魔力は等価交換で使用されるもの!
魔法にも魔術にも共通して言えることに何やるにしても魔力が必要ということで。
魔法と魔術の強さに比例して消費される魔力の量も増えていく。
それには魔力の“練度”や“密度”なども関係してくるが、それはまた別の話だ。
魔力の三大原則その三!
・魔力の“質”によって扱える魔法、魔術の種類は変わる!
何度も言うが、それぞれを行使するときに必要なのは等価交換で成り立つ魔力の存在であり、炎であれば炎の、水であれば水、風であれば風。
その質は先天性のモノであり、後天性として発現することは一部特例を除いて確実にありえない。
「まぁ。“器”だけなら何とかなるんだよな。一応…」
器を魔力で満杯にしなければいいのだから、魔力を常に体外へ垂れ流しにすればいいのだと考えたのだろう。
垂れ流し、といっても完全に体内から魔力がなくなればこちらの世界の人間は塵以下の強さもありはしない。
「…計算、するしかないよなぁ?」
魔力を削り回復する速度は最大量が多くなればなるほど遅くなる。
回復量は常に一定なのだから当然だろう。
例えば。魔力の基本単位をmagic point略Mpだとして考えよう。
一秒に回復する魔力の量が100であったとして[100Mp/s]増
一秒に消費する魔力の量が100であったとして[100Mp/s]減
これならば一秒で100回復し100消費することになる為、器に魔力が溜まることはないということだ。
「理論的にはそれでいいけど、消費しながらだと全く回復できないからなぁ…」
回復する魔力量が[100Mp/s]であれば消費する魔力を[50Mp/s]
のようにできれば実質[50Mp/s]にできる、という寸法だ。
「んー、ジュール変換する方が楽だよなぁ」
いいことを思いついたと早速行動に移してみる。
「1jに変換できる魔力の量を1Mpと定義すれば、簡単に消費させれる。」
熱量への変換効率も考えなければならないが…
「ここでは時間の概念すらないんだったな。」
…んじゃ、やりますか………




