表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/27

第27話おわりに

・終わりに


 これはある男の与太話である。彼のところに行けばたまに教えてくれる話である。近所では有名な嘘話である。

 例えば、古代ギリシャ神話を信じる者が何人いるのだろうか?男性を石化させるのに有名なメデューサがいて、それが海の神ポセイドンの愛人であり、英雄ペルセウスによって退治されたことを実際に信じる者が何人いるのだろうか?それと同じように、その男の話を信じる者が何人いるのだろうか?

 なぜメデューサの話をピックアップしたかというと、それがその男の話と関係があるからである。その話からメデューサに興味を持ち、ギリシャ神話に視野が広がったのである。しかし、今はそんな話よりもその男の話である。

 その男は齢50といったところであり、ボサボサ頭であり体は意外とガッチリしているが、目は夢を見ているようにトローンとしています。ある時期から、家の近くの海岸に姿を現し、防波堤で魚釣りを興じていました。白のTシャツに黒の短パンを着ながら地べたに座る男の横にあるバケツには魚が入っていたことが常だったらしいです。

 その男は今日も同じ風景として一体化していました。そこに近づいていくと、男の目は少しこちらを向けたあとに元に戻りました。その光を失った目は地平線の彼方を見つめていましたが、そのうちに海底の深いところに下ろして、やがてつむっていました。

その男をよく見ると、右半身は左半身と少し肌色とかが違うものに見えまして、どことなく石のように冷たく見えました。その冷たい目が眺めた先の石が生き物のように動いたように見えましたが、目をこすっているうちに静まっていました。石を生物にする能力があるのではないかと、自分も与太話を考えたくなりました。

波の防波堤をえぐる音が足元から響いていました。まるで何かが地下で暴れているような気分でした。人工物では自然には勝てないといったところでしょうか。

ふと目を離しているうちに、男は目から満潮のように涙を流していました。それはどういうことによって流れた涙なのかと不思議でした。そして、その男は目を開くとともに口も開き、次のことを言いました。

「――メデューサが英雄ペルセウスを返り討ちにした世界があったのです……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ