⭕ 投稿メール 1
──*──*──*── 1週間後
──*──*──*── オカルト雑誌月刊ウー・編集部
杜代加有明古
「 こんにちは!
コノチ先輩、今日も投稿メールの確認ですか? 」
児野豈德
「 アリコちゃん!
まぁね…。
毎日投稿されるからこまめにチェックしないと過去投稿が直ぐに埋もれちゃうからね 」
杜代加有明古
「 何か面白い投稿メールはあった? 」
児野豈德
「 そうだなぁ……。
目星を付けてる投稿メールは幾つかあるよ。
未だ清書はしてないけどね。
これなんて中々良いんじゃないかと個人的に思ってるよ 」
杜代加有明古
「 何れ何れ?
──【 ちょっと不思議なラジオの話 】ねぇ?
コノチ先輩、読んでみて良い? 」
児野豈德
「 構わないよ 」
アリコちゃんは僕が手渡した投稿メールの印刷用紙を両手で持ちながら読み始めた。
杜代加有明古
「 ──初めまして投稿します。
私は月刊UAの新しい新企画を楽しみにしているファンです。
毎月の発売日を楽しみにしています。
私は怖い話自体が苦手で、文章として書くのも苦手なので、【 ちょっと不思議な話 】って事にして投稿させていただきます。
──これは私の伯父が体験した話になります。
私には伯父が聞かせてくれた話が実話なのか分かりません。
この話を聞かせてくれた伯父は8年前に他界していますので、真相を確かめる事が出来ないんです。
──この体験をした時、伯父は中学生だったそうです。
機械弄りが好きな中学生だったらしく、捨てられている家電を拾って帰って来ては、1人で機械弄りをして楽しんでいたそうです。
──夏休みの暑い日に自分と同様に機械弄りが好きな友人達と共に秘密基地で家電を解体したり、修理をしたりして遊んでいたそうです。
何時もの友人達と家電を弄っていると、遅れて来た友人の1人が壊れたラジオを持って現れたそうです。
伯父達は見た事のないラジオを前にして、とても興奮したそうです。
『 ひょっとしたら外国のラジオなんじゃないか? 』って事で、友人達とテンション高めにラジオの修理に取り掛かったそうです。
秘密基地の中にある家電の部品を代用品として使いながら、ラジオの修理をするのですが今迄の家電とは違う造りだった事もあり、修理は中々上手く進まなかったそうです。
──外国のラジオの修理を初めて4日程が立った日に、修理も済んでいない壊れたままのラジオが電波を受信したそうです。
アンテナなんて折れていて使い物にならないのに、ラジオは確か何処かの電波を受信したらしく、電源も入らないのに『 ザーザーザザーー 』と音を出し始めたそうです。
電源も入っていないし、アンテナも使い物にならないのに『 ザーザー 』と音を鳴らすラジオを伯父達は不気味に感じたそうです。
だけど、何処の電波を受信しているのかも気になっていて、ラジオの傍から離れられず、皆で耳をすませながらラジオの音に集中していたそうです。
夕暮れを迎えた頃に『 ザーザー 』しか鳴っていなかったラジオから人の話し声が時折聴こえて来たそうです。
何を言っているのか正確には聴き取れなかったそうですが、確かに誰かの話し声が聴こえていたそうです。
日が完全に暮れてしまうとラジオは静かになり、何も受信しなくなったそうです。
その日は秘密基地にラジオを残したまま伯父達は各自、自宅へと帰宅したそうです。
………………壊れているラジオが電波を受信した話か。
そんな事って実際にあるのかな?? 」
児野豈德
「 どうだろうね。
電源が入ってなくて、アンテナも折れていて使い物にならない古びて壊れているラジオって事みたいだし、普通なら有り得ないんじゃないかな?
確かに不思議な話だよ 」
杜代加有明古
「 未だ続きがあるみたい。
──伯父は夏休み中、友人達と秘密基地へ集まると受信しない筈の電波を受信するラジオに聴き入るようになっていたそうです。
聴き続けていた事もあり、話し声が日本語ではなく外国語だという事が分かったそうです。
外国語なので何を話しているのか分からなかったそうですけど、会話をしているように聴こえていたそうです。
友人の何人かが持参していたラジカセでカセットテープにラジオをから聴こえる会話を録音していたそうです。
外国語が分からない伯父達は、外国語に詳しいクラスメイトに頼み込んで、カセットテープを手渡して翻訳を頼んだそうです。
カセットテープに録音されている会話が翻訳されれば、何を話しているのか分かると楽しみにしていた伯父達だったのですが……、翻訳はされずじまいで終わってしまったそうです。
カセットテープに録音されている外国語の翻訳を頼んでいたクラスメイトが、夏休み中に失踪してしまったからです。
──何故、クラスメイトが失踪してしまったのかは伯父や友人達にも分からないそうです。
クラスメイトが失踪した事が判明した後、伯父達が秘密基地へ行くとラジオが無くなっていたそうです。
伯父は友人達と共にラジオを探し回ったそうですけど、結局ラジオを見付ける事は出来なかったそうです。
伯父達はラジオを諦める事にして、また家電を解体したり、修理したりして遊ぶようになったそうです。
──夏休みが明けても失踪したクラスメイトは戻って来ないまま20年程が経ったある日、失踪してしいたクラスメイトが戻って来たそうです。
失踪してしまった日から20年も経っていたにも関わらず、クラスメイトは当時と変わらない姿で、秘密基地から無くなっていたラジオを大事そうに抱き抱えた状態で発見されたそうです。
クラスメイトは何故か日本語を話せなくなっていたそうで、発していた言葉は外国語だったそうです。
クラスメイトは1度も日本語を話す事なく、半年後に亡くなったそうです。
クラスメイトが亡くなった後、壊れたままのラジオは遺族がお寺へ持って行き、供養をしてもらった後に粗大ゴミに出されてたそうです。
ラジオの会話を録音したカセットテープの行方は分からないそうです。
遺族の方がカセットテープを探してくれたそうですけど、どんなに探してもカセットテープは見付からなかったそうです。
未だに行方知れずのカセットテープは何処にあるのでしょうか??
私が伯父から聞いた不思議な話は以上です。
………………見付からないカセットテープは失踪したクラスメイトが持って行ったのかしら?
何処かで紛失させちゃってたりして? 」
児野豈德
「 不思議な話なのは認めるけど、奇妙な話だよな……。
どうしてラジオが受信した会話の翻訳を頼まれたクラスメイトが失踪したんだろう?
秘密基地から壊れたラジオを持って失踪した事になると思うけどさ、何で態々ラジオを持って行ったんだ?? 」
杜代加有明古
「 失踪してから20年も経ってから、当時の姿で戻って来たのも奇妙よね?
“ 日本語が全く話せなくなっていた ” って事も気になるし、亡くなる迄1度も日本語を話さずに外国語を話していた──ってのも気になる。
ラジオが粗大ゴミに出されちゃったのは残念だったかもね? 」
児野豈德
「 色々とモヤモヤが残る投稿メールだよな 」
杜代加有明古
「 でも面白いわ。
紛失したカセットテープの行方も気になるし。
カセットテープ繋がりで掲載しても良いかもね! 」
児野豈德
「 カセットテープ繋がりか。
アリコちゃんが気に入ったなら掲載決定にしよう! 」
杜代加有明古
「 良いの?
コノチ先輩? 」
児野豈德
「 掲載順は上司が決めると思うけど、掲載させるかどうかは此方で決めれるからね 」
杜代加有明古
「 そうなんだ?
他には面白そうな投稿メールはないの? 」
児野豈德
「 そうだな……。
これはどうかな? 」
僕は気になる内容の投稿メールの印刷用紙を手に取るとアリコちゃんへ手渡したんだ。
杜代加有明古
「 有り難う、コノチ先輩♥ 」
◎ 訂正しました。
杜代加有明子 ─→ 杜代加有明古