97 着々と決まりつつありますよ
誤字報告いつもありがとうございます。
ダンジョンに入り10日が過ぎた。予定では後4日で地上に戻り、ミスリルの大剣を受け取る事になる。
しかしまぁ… グレイがその事に気づいているのか、結構ウキウキしてるんだよね。ごっついオーガがウキウキって表現は似合わないかと思うけど、実際そうとしか見えないから困るのだ。
「しかしミスリルの大剣かぁ… 鉄の大剣でも十分に頑丈だったけど、ミスリルになれば更に頑丈になる感じなのか?」
「む? 頑丈なのは確かだが、鉄以上に斬れ味が良くなるはずなんだ。なんといってもミスリルは魔力を通すからな、それによって攻撃力が倍増する… と、伝え聞いている」
「なるほど! 実際に使ってみないと分からんって事だね!」
「その通りだな。手に入れた暁には早速ミスリルゴーレムを斬ってみようかと思ってるんだが良いか?」
「アイアンじゃなくていきなりミスリルか… まぁ折れる事が無いんなら良いんじゃないか? でもこれでうっかり斬れたりした日には、もう斬れないものは無いって感じになるな。天敵はスライムだけって事か」
「スライムはなぁ…」
お? グレイがなんか遠い目をしだしたぞ!
「実際斬れない事は無いんだが、斬れたからと言ってそれがダメージになるかというと… スライムが相手ではそうではないのだ。他のダンジョンに行ったにしても、また90階層には巨大スライムがいると思うからな」
「ああそうか、魔物の配置は変わらないんだったっけ。じゃあまた投げ槍を用意しておかないといけないな、ミスリルの大剣を受け取った時に数本注文しておくか」
「うむ」
今日は朝からグレイが俺のお供だ、装備を金棒に切り替えてゴーレムをボコボコと粉砕していく。しかし金棒か… これもミスリル化したらどうなるんだ? 大剣では魔力を通すと斬れ味が増すというが、鈍器ならどんな事になるんかねぇ。
「グレイ、今気づいたんだけどさ… ミスリル製の金棒を作ったとしたら、どんな効果が出ると思う?」
「ミスリルの金棒だと? それはまた酔狂としか言いようがない話だが、確かに面白そうな話ではあるな。剣でならよく斬れるという話は聞いた事があるが… どうなるのかは俺にも分からんな」
「大剣でインゴットが15個必要だったから、もしも金棒を作るとしたらそれ以上必要になるだろう。でも製法が簡単だって言ってたからあまり時間をかけずに仕上がる可能性はあるよな」
「まさか頼むつもりか? さっきも言ったがかなり酔狂だと思うぞ?」
「酔狂? 別に良いじゃないか! すでに大剣に使ったミスリルの回収は終わってるんだ、別の装備の事を考えても良いと思うよ。まぁアイシャ用の剣も作っておきたいけどね」
「そうだな… アイシャは俺よりも魔力を持っているから、使いこなせばかなりの戦力アップになると思うぞ」
「だよね! ちょっとそういう方向で考えておくかな」
そう、この10日間ですでに拾ったミスリルは20個を超えているのだ! 1日2個以上のペースだね! 後4日でどれだけ拾えるかは分からないけど、アイシャ用の剣くらいは余裕でイケるんじゃないかな。
ギルドに卸すミスリルだって大した量じゃないしね。ギルドは俺から買ったミスリルを売り捌かないと次のミスリルを仕入れる予算が無いみたいだから、こっちは急がずとも良いと思う。
まぁミスリルの処分先が例の魔境だって言うんだからなんとも言えない気分になるが、売った物を買った人がどうするかなんて俺が考える事じゃないからな!
ちなみにだけど、『魔境に行って魔王を倒してしまおうぜ』っていう話は少しだけまとまった。まぁまとまったというだけでダンジョンから出ていないから、特に何も実行はされていないんだが…
まず大前提で元宮廷魔術師団が俺の下につく、もしくは協力体制を取る事。
クローディアの言ってたように俺達で深層まで連れて行き、養殖レベリングを行う。これはまぁ今の俺のような事を指します、はい養殖されている寄生者です。
しかしこれをする事により魔術師たちのレベルが上がり、それに伴ったステータスの上昇によって根本から強化しようという事だ。もちろんレベルアップさせたらその身体能力や魔力を暴発させないよう、現状の把握はしっかりとやってもらう事になる。
予定ではこの80階層でのミスリル集めに追随させるつもりだ。なんせミスリルゴーレムやアイアンゴーレムは、ハイパワーで硬いが速度は遅いからだ。レベル差を考えれば、1日付き合わせれば一気にレベル50台くらいにはなるだろうとの事… 何人いるかにもよるが、できればレベル70台まで上げる事ができれば勇者関係から邪魔をされても逃げる事や撃退する事も可能になるのではないかと思う。
それが終わったら輸送人員の確保となる。これはまだ未定だから急いではいないが、この街のギルドマスターにも話をし、ナイトグリーン支部が勇者を最優先で考えているのかを確認しないと輸送先が決められないからね…
やはり人数が増えるとネックになるのが給金だ。俺達はともかく俺達に同行しない人達はハンバーガーを食わせてやる事ができないからな、各自で食料を調達してもらわないといけない… その資金も大事だ。
現状俺の奴隷となっている3人の、奴隷解除に必要と思われる金だけは使わないようにしたいからな。それ以外で稼ぐとなると、やはり魔物素材に頼るしかなくなるから売り先の確保が最優先になるな。
最悪魔境から馬車なんかでリャンシャンに運ぶ場合、満載の荷馬車だと片道1ヶ月は見ないといけないらしく、これは最後の手段としてキープしておこう。もちろんギルドマスターが良いと言えばの話だけど。
まぁ決まったのはこれくらいだね、とりあえず地上に戻ってからじゃないとどうなるかは分からないのは事実だから仕方がない。
あっ! グレイがニヤニヤしながらアイアンゴーレムを叩いているぞ! さてはミスリルの金棒の事でも考えているな? 全く分かりやすい奴だぜ。 だけどグレイがこういうモチベの時は、非常に勇ましく戦ってくれるからな… 効率が更に良くなって良い事だ。
まぁアレだ、魔王と戦う事を前提に考えれば、各自装備品の更新はしておいた方が良いだろう。ミスリルを集め、金棒に俺用の短剣、もしくは竹刀的な形状の物、そしてアイシャ用の剣は作りたいところだね! クローディア? 彼女なら各種ステッキを使っているから後回しで良いと思う。まぁ短剣くらいはあった方が良いかもだけど。
 




