92 ギルマスが…?
誤字報告いつもありがとうございます。
「こっ、これは!?」
「これはオルトロスという魔物の毛皮なんだよ。一応1枚ギルドマスターに渡しておいたんだけど聞いてないの?」
「聞いてませんね… となると、その1枚はギルマスが持って帰ったのかもしれません! 許せませんねそれは」
「ま、まぁギルド内部の事情には口を挟む気はないからほどほどにね? そしてこれを買い取るならどれくらいなのかを知りたい」
「分かりました。3~4日ほど時間をもらえますか?」
「了解したよ。明日からまたダンジョンに入る予定だから、何なら10日くらい使っても構わないよ」
「本当ですか? ではそのように」
新たな疑惑が発生した。5日前に置いていった毛皮が横領されているのかも? という事だ。まぁ忙しそうな役職だから、どこか脇に置いたまま忘れ去られている可能性も微粒子レベルであるかもしれないけどね。
とりあえず用件は済んだので宿に行こうか。
「しかしダンジョンをクリアしてしまったなんてなぁ」
「うむ。私もいまだに信じられんのじゃ。まぁ主のバフのおかげでレベルの上がり方がおかしかったからのぅ… いつかクリアする日が来るかと思っておったがこれ程早くじゃとは思わなんだ」
「高レベルの魔物に相対しても、全く後れを取らないで済むのだからご主人のバフの恩恵は凄まじいものだよな。この地でミスリル狩りの仕事があるからすぐにとは言わんが、いつかもっと高ランクのダンジョンに行こうではないか!」
「高ランクのダンジョンかぁ… でもクリアしてみないとそこが何ランクか分からないっていうのは残念だね」
「そうだな…」
グレイはもっと高ランクのダンジョンに… か、まぁ彼は戦闘狂だもんね、ある意味平常運転で分かりやすいな。そうなるとクローディアも似たような事を考えている可能性もある訳だが、こういった時アイシャは特に何も言わないんだよなぁ… ダンジョンにもあまり興味は無さそうな感じだけど、入れば一緒になって戦うしレベル上げもするし、ドロップを見て一喜一憂を全力で表現もしているが… 基本的には柔らかいところでゴロゴロするのが好きみたいなんだよな。
「アイシャは何かないか?」
「ボク? ボクはご主人様と一緒だったらどこでもいいの! 美味しいご飯と柔らかいケルベロスの毛皮… これがあればどこでも快適なの!」
「快適かぁ… しかしそうなるとアレだな、いつかほかのダンジョン目指して移動するかもって事を考えると、旅支度の方も充実させた方が良いかもしれないな」
「旅支度のぅ、確かに必要ではあるの。例えば靴とか服とか、マントも外せないじゃろう」
「ふむ… さすがにオルトロスの毛皮で服を作るというのは厳しいかもな。あの素材で作った服であれば暑苦しそうじゃないか?」
「まぁその辺を上手く加工するのが服飾職人じゃ、何ならマントもオルトロスかケルベロスで仕立てるという手も」
「マントねー、じゃあ明日からまた毛皮集めかな?」
「俺はそれで構わないぞ。なんせこのダンジョンで最強の存在がケルベロスなのだ、そのケルベロスと連戦できるというのは良い訓練になるだろう。今後の事も考えるならばな」
「まぁミスリルもまだまだ持っておきたいから、前回のように二手に分かれてって事になるけどそれでいいか?」
「もちろん構わんぞ。半日交代だな?」
「やるんならその方が良いよね、どうせ飯時には一度集まるんだし。じゃあそういう事で今日はしっかり休んでおこうか」
まぁ話し合わなくてもどうせダンジョンに入ればそうなっていただろう、だけど不満は無さそうなのは良い事だ。一応俺が主人で皆は俺に仕えているという状況なのだ、俺が率先してブラックにする訳にはいかないからね。というか絶対にブラックにはならないしね!
ギルドを出て宿へと向かう。
だけどなんだ? 今日は妙に人に見られているというか、視線を感じる日だな… どうなってんの?
「主よ、ゴーマンレッド王国から来たという魔術師の連中が随分とこちらを窺っているな… 敵対する意思は感じられないが、どうするのじゃ?」
「どうするって言われてもなぁ… 俺の方には特に用事もないし、放っておくしかないでしょう。まぁ何か言われたら考えるよ」
「承知したのじゃ。私も何か気づいたら報告する」
「頼むよ。グレイはくれぐれも先に手を出すようなことはしないでくれよ?」
「任せろ、人間の魔術師程度であれば後手に回ったとしても問題は無い」
頼もしい事で安心だな。ま、明日は朝からダンジョンに入る訳だし、入ってしまえば80階層も100階層も誰かが来る事はまず無いから安心だろう。
「早くオルトロスの毛布を使ってみたいな…」
「はいっ! ボクも楽しみです!」
さぁ早く宿に行ってケルベロスの毛皮を敷き、オルトロスの毛布にくるまってみようぜ!
SIDE:元ゴーマンレッド王国、宮廷魔術師団長
「師団長! 例の黒髪の若者を発見いたしました! ギルドから出てきて宿を取るようです。2人ほど後をつけていますのでどの宿に入ったかまで特定できると思います」
「だから師団長と呼ぶなとあれほど… いや、もういい。しかしそうか、宿が判れば最高だな。よし、ならば今日の内に話だけでもしに行くとするか」
「共は何人連れて行きますか?」
「いや、無駄な警戒心を煽りたくはないから1人で行ってくるぞ。なぁに、多分大丈夫だ」
部下が不安そうな顔をしているが、本当に1人で行くから無駄な仕事はしないでくれよ? 変なところで気が回るやつだからな… よかれと思ってやった事でも相手がある事だ、どんな結果になるかは現状何も分からない。
しかし相手側に屈強なオーガが護衛についているとなれば、多少の人数で行っても焼け石に水だろう。そうなるくらいなら最初から1人で行けばいいのだ。なにせこちらの目的は和解だからな… 我々はゴーマンレッド王国からの追手ではないという事と、彼らと争う気はないという事を理解してもらえればそれで良いのだ。まぁ何と言うか… あのエルフには魔法の何たるかをご指導願いたいもんだがな。
「よし、ではちょっと行ってくるか。こういう事は早い方が良いだろうし、ギルドから出てきたという事はダンジョンあがりなのだろう… のんびりしていると休んでしまいそうだからな」
「分かりました、どうかお気をつけて」
よし、ちょっと大きな仕事のような気もするが、やっておかなくては落ち着く事も出来ん。さぁ気合を入れていくぞ!




