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90 時間潰しにダンジョン入るとか…

誤字報告いつもありがとうございます。

 翌朝、今日も早くから動き出してダンジョンだ。今日を入れて4日後には毛布が仕上がる予定だ、これが手に入ればダンジョン内での野営も格段に寝やすくなるだろう。いや、むしろ宿よりも寝心地が良いに決まっている! なぜなら昨晩ベッドの上にケルベロスの毛皮を敷いただけでもぐっすりと眠れたんだ、宿屋に置いてある薄っぺらい毛布なんかと比べたらオルトロスに申し訳が無いだろう。


「フフフ… ケルベロスの毛皮で毛布を作れるくらい狩り倒してやるぞ」

「うむ、それには大賛成じゃ。まだオルトロスの毛布の使い心地を試しておらんからなんとも言えんが、ケルベロスの方が間違いなく上級の物が出来上がる事じゃろう」

「楽しみだね!」


 皆も同じ事を思っているみたいだな… しかしケルベロスの毛布を作ってしまったらオルトロスの毛布はどうしようか。まぁ収納に使っているゴミ箱の容量は大丈夫そうだから何かあった時のための保険として確保しておくのも良いだろうな。


「よし、じゃあいっちょ行きますか」

「おうっ!」

「80階層の方は半日で交代な、最初はアイシャで次にクローディアだ。明日は最初にグレイで次にアイシャって感じでローテーションするつもりだ」

「承知したぞご主人。ミスリルゴーレムとの戦闘は単調になりやすいから、半日で気分転換が出来るのは良い事だ」


 まぁグレイは魔物を倒す事よりも戦闘を楽しむ事に重点を置いているみたいで、ケルベロスのように野生の勘とかで回避してくる魔物の方が燃えるんだそうだ。俺個人としては楽に勝てるんならその方法を取る派だから、ミスリルゴーレムに張り付いていてもあまり気にしない。飽きるのは確かだけどね。


 しかしこんな時の転移陣… そのシステムがちょいと面倒臭いのだ。

 地上から転移する場合は任意の階層転移陣に行けるんだけど、戻る時は1階層まで直行するので選べないのだ。つまり1階層からパーティ分けをして、80階層に行く組と100階層に行く組と別行動になる。そして100階層で狩っていた組が80階層にいる俺と合流する場合、一度1階層に戻ってから80階層にという手間があるんだよね… まぁダンジョン内を移動するよりも遥かに速いのだから文句は無いんだけど、エレベーターのように行きたい階層を選べたらってちょっと思うよね。


「ではご主人、昼飯時に合流する」

「ああ、間違っても油断しないようにな。仮にもこのダンジョンのボスなんだから」

「もちろん分かっている。戦い慣れた相手であっても、更なる強さを求めて工夫してやる事にするぞ」


 そんな事を言いながら、グレイとクローディアは転移陣に乗り消えていった。


「よし、そんじゃ俺達もいくとするか。安全第一でな」

「はいっ!」


 俺達も転移陣に乗り、80階層に向かうのだった。














 SIDE:タケノ・コノサト


「ようやく10階層か… やはり準備を怠ると、たとえ低階層であっても危険が伴うな」

「すいません隊長、どうもこのダンジョンを舐めすぎでしたね」

「全くだ! こんな体たらくではナイトグリーン王国の精鋭の名が泣くぞ! まぁ俺も確認を怠ったからこれ以上は言わんが、最低でもマップくらいは入手しておけ」

「了解です!」


 戦闘自体は何も問題は無いのだが、やはり見知らぬダンジョンで食料も少ないとなると精神的にクルものだ。まさにそれを今回体験する事になってしまったわけだが、ここはポジティブに考えるべきだな。そう… あまりに侮るとこうなるんだという経験を得たと。ちょっと苦しいか。


 だがしかし、それを除けば特に問題は見当たらなかったのは僥倖だ。例の奴隷持ちの冒険者との話をしてからになるが、自力で80階層に行くとなると相当な時間がかかると推測される。そうなると… 荷物持ちを雇わないと持ち込める水や食糧などが道中で足りなくなるだろう。

 まぁ例の冒険者を使って80階層に転移できれば何も問題は無いが、やはり最悪の想定だけはしておかなければな…


「隊長、どうやらボス部屋のようです」

「やっとか… とりあえずさっさと始末して宿に戻るとしようか。いい加減腹も減ってきてるしな」

「はい! では行きます!」


 隊員たちが全員入るのを見て、最後にボス部屋に入るのだった。











 SIDE:宮廷魔術師団長


「師団長、ちょっと小耳に挟んだ情報なのですが…」

「師団長と呼ぶなと言っただろう。それで、どんな情報を手に入れたんだ?」

「どうもこのダンジョン、ほんの2ヶ月ほど前に奴隷を3人も連れてやってきた冒険者によって最深部の更新があったようですね。これまでは過去の勇者が記録した63階層だったかな? それを容易く更新して80階層のボスのところで周回しているそうですね」

「80階層だと? それはまた凄まじい活躍ではないか。いずれ当代の勇者と共に魔境で活躍する話が聞こえてくるかもしれんな」

「それでその… 噂の冒険者なんですが、黒髪の若い男なんだそうです…」

「黒髪… だと?」

「はい。以前王から捕まえるよう手配された異世界の男に特徴が非常に酷似していると思いますが、どうします? 本当に80階層を周回できるような実力であるならば、私達が束になっても捕まえるなんて出来ないと思います」

「いやいや! もう俺達はゴーマンレッド王国を捨ててきてるんだ、王の命令なんて忘れてしまえ! しかしもしそうなら非常にまずい事になるな、他の師団員はともかく、俺は異世界人と顔を合わせているからな… 相当恨みを買っているのかもしれん。問答無用で襲ってくるような馬鹿者には見えなかったが、あれからどう変わっているのかは予想できんな」

「それがですね、奴隷を3人連れているとの事で色々聞いてみたんですが… オーガとエルフと獣人の奴隷を連れているらしいのですが、昨日若い奴が奴隷の首輪をしたオーガとエルフに話しかけられたという事です」

「なんだと!?」


 それはつまり、すでに異世界人の若者は俺達がこの街に来ている事を把握していて、自分を捕らえに来たのかと探りを入れてきたという事だろうか… やばいな、いきなりだが後手に回りすぎている気がする。


「それで? そのオーガとエルフは何を訊ねてきたんだ?」

「はい、それがローブについている紋章を見て、ゴーマンレッド王国の者かどうかと、ダンジョンに何階層まで潜っているのかと聞かれたそうです」

「ふむぅ… これはもう把握されていると見て間違いなさそうだな。ちょっと事前に手を打つ必要が出てきたな、俺達には争う気がない事を知ってもらわなければいけない!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 毛皮の毛布ってなんか重そうなイメージがあるな
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