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84 装備のグレードアップを考えてみる

誤字報告いつもありがとうございます。

 ボス部屋の片隅で、俺はアイシャと一緒にバリアを張って隠れているんだが… バリアの向こうではグレイがケルベロスと絶賛ガチンコ大戦中だ。

 というのも、100階層のボスとはいえリポップはしっかり1時間だったんだけど、うっかりお昼寝してしまった俺とは違ってグレイとクローディアは、ちょいちょいボスが出現したかどうかの確認を行っていたという。まぁそれで起こされたんだけどね…


 そして戦闘狂の2人が言い争いを始めるんだこれが。


「最初のボスはクローディアが仕留めただろう? 今回の俺が剛力があるから単独で十分だ、手は出すなよ?」

「何を言うかこのオーガめ、前回はグレイがいつまでも仕留められぬから私が手を出したというだけで、グレイが一番に飛び込んでいったじゃろう。つまり次は私の番じゃという事じゃ」


 などと両者は主張しており、とにかく1人で倒すという功績? まぁ実績みたいなものを欲しがっているというわけだ。

 今回は毛皮が欲しいというだけで特にノルマは無いので、俺が提案をしたんだ。


「クローディアは一撃必殺だからアレだけど、グレイも1人で倒したいというのであればやったらいいと思う。ただし、いつまでも時間をかけてというのは効率が悪いから15分とか20分とか時間制限すれば良いんじゃないか? 時間内に倒せなかったらクローディアが魔法を撃つと」

「ふむ、それで良いぞ!」

「なるほど、そういう事であれば先手を譲っても良いじゃろう。時間制限はどうするのじゃ? 20分か?」

「む? 15分で十分だ!」



 そんなやり取りがあってからの初戦を今やっているという事だ。もちろん俺は戦闘に参加できないので隠れていて、クローディアは時折飛んでくる火球を躱しながらグレイに発破をかけている。


「もう10分すぎたのじゃ! それにちょいちょい私にも火球が飛んできているから敵視もちゃんと取れていないという事じゃぞ? さっさと剛力を使いこなして倒すが良い」

「分かっている! 今倒すからそこで見ているがいい!」


 クローディアも煽る煽る…

 しかし、ほんの1時間前に手に入ったスキルと思えないほどグレイは使いこなしていると思う。グレイの大剣で斬りつけられるとケルベロスの顔は派手に動くし、犬の表情は良く分からないけど痛そうにしている感は確かにあるんだ。

 しかしケルベロスも頑丈だな… 斬る事に特化していない大剣とはいえ、グレイの怪力で斬りつけられているのに一向に斬れないんだもんな。しかし実際アイシャは尻尾とはいえ斬っているので武器との相性って事になるのかねぇ、やはり大剣では鈍器に近い特性の方が強いのかもしれないね。


「オラァ!」

「ギャワンッ!」


 おおお! 火球を吐こうとして大口を開けた時、一気に詰め寄ったグレイが大剣での突きを放って口の中に大剣をねじ込んだ! 突かれた大剣はそのまま口を貫通してしまった!

 三つある頭で突かれた部分… 向かって一番右側の頭がだらんと垂れさがり、どうやらその機能を失った感じになっているな。残る頭は後二つ!


 しかしアレだな… ケルベロスは同時に頭を潰さないとっていうアレは無いんだな。


 三つの頭を相手に決定打こそなかったものの、後れを取る事無く戦っていたグレイ… 頭が二つになったケルベロスは脅威ではなくなったかのように優勢で戦いを進めていく。真ん中の頭が噛みついてくると、左手に装備していた大型のバックラーでカウンター気味に殴りつけ、のけぞったところを右手1本で大剣を扱い突きを繰り出す。そのまま大剣は口の中に吸い込まれていき貫通。残る頭は後一つ!


 さすがのケルベロスも二つも頭を潰されては満足に行動する事ができないようで、グレイの連続突きによって差し込まれてしまう。

 連続した突きの一つが目に当たり、悲鳴をあげるために開かれた口を見逃さずにトドメとばかりに就き込み、ようやく戦いは終了した。


「見たかクローディア! 俺の剣でもケルベロスは倒せるのだ!」

「まぁ時間ギリギリじゃったがのぅ。まぁ良いじゃろ、次は私の番じゃしの」


 グレイは牙を見せつつドヤっている、まぁこの世界でのケルベロスは伝説級の魔物らしいからね、それを単独で… しかも近接で競り勝ったと言えばかなり自慢になるんだろう。ほぼ鉄の塊といえる町売りの大剣でだから尚更だろうな。


「しかしこうなると、グレイ用の大剣も早急にミスリルで作っておく必要があるよな。いつまでもその大剣じゃ折れそうで怖いし」

「それは良い考えだなご主人よ。やはり剣士にとってミスリル製の剣は高価ゆえになかなか手の届かない夢の装備の一つであるからな」

「この街でミスリルの武器が作れると思う?」

「ふむ… それは専門外だからなんとも言えぬが、鍛冶屋に行って聞くしかないだろうな」

「デスヨネー。とりあえず明日地上に戻ったら聞いて回るとするか」

「うむ!」


 ミスリルの剣の話が終わると、グレイは更に嬉しそうに牙を剥いて笑っている… オーガって普通に笑うだけでも怖いんですけど… 普段あまりグレイは笑わないからなかなか慣れないね、まぁ強敵と戦っている時は笑うんだけどそれでも怖い。



 しかし、戻ったらミスリルの大剣という言葉が効いたのか… その後のグレイの働きはすさまじい物だった。2戦目でコツを掴んだというのもあるだろうけど、1体倒すのに10分程度かかっていたものをいつの間にか5分程度で仕留められるようになっていた。もちろんクローディアと交互に戦っているんだが、クローディアは今まで見せたことのない魔法を使っていたし、トドメはマジカルビームで一撃なのでほとんど時間がかからない… つまりいい感じで周回ができているという事だ。


 そして晩飯時…


「出おったぞ、これで4枚目の毛皮なのじゃ!」

「おおお! しかし6体倒して4個も毛皮が出るなんて随分と出てくれるもんだな」

「良いではないか。この毛皮であれば、何も加工しなくともすぐに使えそうじゃから良いのぅ」

「うんうん。毛布の方は加工がいりそうだけど、敷物にするんならこのままでも十分使えるもんな」

「ご主人様ご飯~!」

「あ、ハイ」


 フカフカのケルベロスの毛皮… 人数分手に入れたぜ!

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