83 やはり毛皮集めだな!
誤字報告いつもありがとうございます。
『スキル【剛力】を獲得』
「ん? なんだ今の声は?」
「おおおおお! まさかダンジョン踏破でスキルを獲得できるとは! しかも【剛力】とはまさに俺向けではないか!」
「ふむ、これは非力な私にも何かと助かるスキルじゃな」
なんということでしょう。4人揃って石碑に触れてみたところ、頭の中にメッセージが聞こえてスキルを獲得したそうだ。
グレイは当然大喜びで、クローディアもなんかニヤニヤしている… アイシャに至ってはすでにスキルを使って遊び始めている。
「剛力ってそんな珍しいスキルなの?」
「いや、探せば結構いるぞ、剛力持ちは。大体そういう奴はそこそこ名のある冒険者、もしくは騎士なんかをやっているはずだ」
「なるほどねぇ。まぁ単純に腕力が上がるなら即戦力だしな」
「うむ。俺もこのスキルは欲しいと思っていたのだが、こういったダンジョンくらいでしか手に入らんからな… 諦めていたがまさか手に入るとは」
まぁね。THE・パワーが身上のグレイだとこの上なく戦力アップは間違いない、俺も腕力が上がるなら良い事もあるだろうしね。
「よし、じゃあリポップするまで奥に進んで休憩だな。ここが最深部なら転移陣だけがあるはずだよな?」
「恐らくそうじゃろうな。とは言っても私も最深部に到達するなぞ初めてじゃ、それが正解かは分からぬが」
「とりあえず休憩しようぜ、剛力があれば次からはグレイでも致命傷を入れれるようになってるかもしれないしな」
「うむ! 次こそは倒してみせるぞ!」
グレイが相変わらずのやる気を出しているが、さすがに単独では難しいんじゃないかなと思う。だって頭が三つもあるんだよ? それぞれの口から火を吐いてくるし獣型だけに素早いしね… でもアイシャが尻尾を斬り落としていたし、こちらの攻撃が無駄だった訳じゃないのは立証済みだ。グレイであれば数をこなせばやってしまいそうではあるけどね。
素材を回収して奥にある扉を抜けてボス部屋を出る。
奥にあったのは、地上に戻るであろう転移陣が部屋の真ん中で煌めいてる部屋だった。その部屋からはどこにも繋がっていないらしく、最深部というにふさわしいほどの行き止まりだったのだ。
「これはアレだな、休憩するにはもってこいの環境だな」
「そうじゃの、これならバリアを張る必要もないかもしれんの」
「じゃあ腹ごしらえでもしておくか」
アイシャは何も言わないが、俺の腹はそろそろ飯時だと告げている。まぁ腹が減ったという事だね。
いつものようにハンバーガーを用意し、それぞれが味わいながら食事をしている隙に俺はステータスの確認をしておかないとな。
うん、ここ最近見ていなかったんだよ。なんせ頻繁に動く数字はレベルだけだし、各ステータスはあまり変化しないからね… 見てもどうせってなっちゃうのは仕方がない事だと
「うおっ!?」
「む? どうしたご主人?」
「いやごめん、レベルいくつになったかなって確認してたんだけど… いつの間にかレベル85になってたからびっくりしたよ」
「む? そういえば俺も最近見ていなかったな…」
いやぁ驚いた。確かミスリルゴーレムのあたりで確認した時は70台頭だったはず… 確かに強そうな魔物を数多くグレイ達が倒してきたけど、まさかこんなに上がっているなんてね。
あ、ステータスに関しては予想通り変化が見られなかったので割愛。微々たる変化はあるんだろうけどさすがにあの表記方法じゃねぇ。
「俺はレベル90になっているぞ! これは我が種族の中でも最強かもしれん!」
「私も90じゃな… エルフの中でもここまでのレベルに至ったものは聞いた事が無い… フフフ」
「ボクはレベル88だった! 全然追いつかないね!」
「それはそうじゃろう、私もグレイも日々戦っておるからのぅ。出会った頃にあった差は埋まらんのじゃ」
何やらみんな見ていなかったようで、現在の自分のレベルが嬉しいように見えるね。
まぁ歴代最高レベルだった人は過去の勇者で、それでもレベル60台だったって話だしな… そんなもんとっくに抜いてるわ! って状況だ、何なら俺ですらすでにって感じだもんな。まぁ俺にはレベルに見合った技術を持ち合わせていないけれど…
しかしスキルの方のレベルアップはしていないな… まぁいくらグレイが大食いだとはいえ、4人で食べる分だけしか出していないのだから仕方がないとは思うけど。あー月見バーガー食いたいな~! 季節限定という言葉につられて、なんだかんだと毎年食べていたやつだがアレも美味い!
「主よ、せっかくじゃから先ほどのドロップであるケルベロスの毛皮を敷いてくれぬか? あの手触りは侮れんものがあるからのぅ」
「そうだな! 意外と大きいしつめれば何とか皆座れるんじゃないか?」
「最悪私がアイシャを膝の上に乗せる、だから頼む」
という訳で早速ケルベロスの毛皮を出して地面に敷いてみる。
「うむ、やはりこれは全員分必要じゃの!」
「そうだな、この大きさなら俺でも寝転がる事ができる」
「ゴロゴロ~!」
狭い毛皮の上で、アイシャだけは全身で毛皮の手触りを堪能しているな…
でもアレだな、この毛皮のためならもうちょっと頑張れそうな気がするよ。いい加減地上に戻りたいが、宿に戻っても硬い布団だからな… 宿の布団に上にでも敷けば更なる寝心地が約束されるだろう。だから頑張れる!
「ケルベロスのリポップする時間を計ることが先決だけど、今日はこのままここに泊まって毛皮集めという事でいいか?」
「もちろん構わんぞ。今はちょうど昼頃のはずだから… リポップがミスリルゴーレムと同様の1時間ならばかなりの回数戦闘が出来るな、そうすればさすがに後3個くらい出るであろう」
「しかしオルトロスのドロップ率を考えると時間はかかりそうだけどな」
「いいではないか主よ。ケルベロスは今の私達にとってかなりの格上じゃ、レベル上げも同時に出来るのじゃから問題はないじゃろ」
「そうだな」
アイシャは眠ってしまったようだし、俺もちょっと一眠りでもしようかね。
 




