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72 巨大スライム再び

誤字報告いつもありがとうございます。

 あれから7日が過ぎていた、そして90階層に到着。

 うーん、やはり前回戻る時よりも2日早く着いてしまったんだが… まぁスムーズに動けるなら良い事か。


 ちなみに道中コカトリスを相手に巨大槍の練習をやっていたんだよね… グレイが迫りくるコカトリスに対して剛速球の如き槍投げを見せ、刺さったと同時にクローディアが雷撃を放つ練習を。

 普通であればグレイが投げた槍を目で追い、それに対して魔法を当てるなんざ… 以下略。やはり目線だけで射線が取れるというのはチート以外なにものでもなかったよ。

 放水無しでコカトリスに雷撃を放ったら、痺れてビクビクするものの一撃で倒せることはなかったんだけど… 槍が刺さった状態で雷撃を当てると一撃で倒せたんだよ。雷撃単体ではそれほど強くはないけれど、濡らして通電を良くするとか槍を刺して内部に直接電流を流すとかすると威力が上がるのか? なんて思ったりもする。普通電気抵抗が増えれば威力は減るもんだと思うんだがね…


 それはさておき。


「さて、槍は5本… チャンスは最大5回と思っていいな」

「うむ。あれほどの巨体、外す事は無いぞ」

「私もじゃ。刺さった瞬間をキッチリ狙ってやるのじゃ」

「ボクは? ボクは何をすればいいの?」


 そういえばアイシャには今回仕事は無いんだよな… ボス部屋に入らないで外から攻撃する訳だし、こちらに迫って来れば逃げればいいだけだ。うん、やっぱりやる事は無いな。


「アイシャは俺と一緒に観察だな。アイシャは目が良いからスライムの核がどこにあるのか見極めてくれ」

「はいっ!」

「じゃあグレイ、始めてくれ。帯電したまま貫通させるのもいいけどできれば刺さったままにしておくのが良いな。そうすれば複数回雷撃を当てれるから」

「承知したぞご主人。まずは全力で投げて貫通させる、内部が見えるかもしれないからな」

「そしてボクが核を見つければいいんだね?」

「見つかればそれが一番だ。見つからなくとも雷撃があるんだ、ご主人の作戦ならなんとかなると思うがな」


 通路に5本の槍を出しておく、後はグレイが自分のタイミングでポンポンと投げる事だろう。


「あ、そうだ。もしもこれでスライムを倒せるようならアレだな、スライムがダンジョンに吸収される前にボス部屋に入った方が良いのかな?」

「ふむ、確かにそれが良いかもしれんな。もしかするとボス部屋の外からの攻撃じゃと、ボス討伐の権利が無くなるかもしれん。あくまで仮定じゃが」


 うんうん、俺も何となくだけどそう思ったんだよね。もちろんゲーム的な感性での発想だけど、ボス部屋の扉が開いていると戦闘開始のフラグが立たないんじゃないかってね。


「まぁ一応安全の確保が第一だから、吸収される様子が見えたら入るとしようか。倒せていないのに入ってしまって閉じ込められても大変だからな」

「うむ。さすがに真正面からあのスライムとの戦闘はやりたくはないな」


 ボス部屋の扉の外からグレイが槍投げのような姿勢で狙いを定め、その一歩後ろでクローディアがイエローサンダーステッキを構える。準備は整ったようだな。


「では行くぞ!」


 大きく振りかぶり、全身のバネを使ってしなるように槍を引き… 一気にその力を解放する!

 音速を越えてるんじゃないかと思うくらいの速度で槍が投げられ、もうほとんど一瞬でスライムと接触。


「雷撃じゃ!」


 触れたかどうかというタイミングでクローディアが雷撃を発動し、雷の矢が投擲中の槍に命中する… 雷撃の当たった槍は周囲にビリビリと電撃をまき散らしながら刺さり込み… あっさりと貫通した。


「あ、見えたよ! 核は今通った所よりも右下にあるね!」


 あ~うん、俺にも核は見えたよ。だって槍が貫通したところ… 直径30センチ程も抉られてトンネルのようになっちゃってるもん。何とえげつない破壊力だよグレイ。


「グレイよ、核を移動される前に射貫くのじゃ! 私も雷撃を合わせる」

「おう!」


 グレイはすぐさま2本目の槍を手にして先ほどと同じように構え…


「ふぅん!」

「そりゃー!」


 今回はグレイが投げた直後に雷撃を当て、スライムに接触する前からビリビリと放電させている…


 ビチャッ! カシャン!


 槍がスライムに当たった水音の他に、何か固形物を壊したような音が聞こえてきた。まさか2本目で核に命中させてしまったか?


「当たったようだぞ! 中に入るのか? ご主人」

「ちょっと待って、吸収されるのを確認してからの方が…」

「いや主よ、間違いなく核に命中しておる。中に入ってとどめを刺した方が良いじゃろう」

「そ、そうか? じゃあ入ってみるか!」


 グレイは3本目の槍を手にして俺の方を見てくるので仕方がない、俺も腹をくくるか。今のでスライムが倒せていなかったらジリ貧かと思ってビビっていたのは事実、だけどとどめを刺せるんならそっちの方が間違いなさそうだしな。槍が核に当たったのは間違いなさそうだから多分イケるとは思う。


 残った槍を収納してから4人揃ってボス部屋へと侵入。すぐに入ってきた扉が閉じていき、ボス戦のフラグが立ったのではないかと。


「グレイ、上から核のあたりに槍を突き刺すのじゃ!」

「おう!」


 グレイが猛ダッシュで巨大スライムに接近して大ジャンプ! そして言われた通りに上から槍を投げつける。勢い良く刺さった槍はスライムを貫通するも、地面に当たって弾き返され避雷針のように先端をのぞかせる。


「せっかくじゃ、放水して濡らしてから撃ち込もうかの」


 クローディアはそう言いつつドバドバと水をかけていき、すでに刺さっている槍も一緒に濡れていく。


「もう良いじゃろ、雷撃じゃ!」


 雷鳴音が響き、イエローサンダーステッキから放たれた雷撃が刺さっている槍に当たり、そこから漏電するかのようにスライムの全周を雷が迸っていく…

 雷鳴音の影響で周囲の細かい音は聞こえてこないが、スライムが少しずつ崩れていってるような…?


「どうじゃ! これで倒せん魔物などおらんじゃろう! 多分じゃが」

「多分って…」

「いや、どうやら倒せたようだぞご主人。巨大だから分かり難いが端の方から吸収されているぞ」

「マジか!」


 確かに言われてみれば分かる、巨大スライムはダンジョンに吸収され始めていた。


「しかし何だな… 策といえば聞こえはいいが、ボス部屋の外から攻撃なんてセコイかもな」

「何を言う主よ、これは大義のための戦いではないのじゃ、勝てば良いのじゃよ」

「ま、そうだけどね」


 俺達は巨大スライムが消えていくのをただ眺めているのだった。

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