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68 ちょっとした策を

再開です、よろしくお願いします┏oペコッ

 翌日は朝から予定通り道具屋で調理用の魔道具を買った。俺の中ではカセットコンロの一口用を想像していたんだけど、なんと二口用が一番小さい物だったのだ。まぁ行商人だったりパーティ行動する冒険者がターゲットの商品であり、お値段もそこそこ… 金貨2枚ほどするもんだから個人での購入者はほとんどいないらしい。

 そして燃料となる魔石… これには規格というものが無く、設置されている魔石の受け入れ場所に砕いて入れるんだそうだ。まぁ規格があればその大きさの物しか使えないから、ちょっと強めの魔物が出る場所ではサイズ違いで使えなくなるもんな… その点はよく考えられている。


 買い物の後は孤児院巡りだ。

 クローディアの言う通り孤児達が全員食えるだけのコカトリスの肉を寄付し、ついでに普通のハンバーガーも人数分置いてきた。もちろん孤児院に勤める大人の分もね! これで想定通り恩を売れたんじゃないかと思っている。

 孤児院に恩を売っておく事… ただの偽善者行動のように思えるが、孤児のほとんどが冒険者だった親を亡くした天涯孤独の子供達だ。残念な事にこの地を治める領主は経営に関わっていないため、その運営費はギルドが賄っているという。当たり前だけどいくらギルドだからといっても孤児院に回せる金が潤沢にある訳ではない、だからなのかいつもいつもカツカツな生活を送っている… つまりだ、この行動によってギルドにも恩が売れるというわけなのだ! まぁクローディアに聞くまで知らなかった話だけどね!


 こういった地味な行動をしておけば、少なくともこの街にあるギルドは多少なりとも味方になってくれる可能性があるという事に繋がるのだ。

 ま、未来を担うであろう子供に食べ物をなんてボランティアは日本にいた頃は結構やっていたんだよね、その当時も偽善者だなんていう奴がいたけれど、『やらない善よりやる偽善』という言葉が案外好きだったりするからやってたんだよ。偽善だろうが売名だろうがとりあえず役に立っているならいいんじゃね? って感じだね。



 話は逸れたが孤児院に関してはこれで終了。次はギルドに行って素材の買い取りをって行ってみたら、新たな問題が発生したんだ。


「え? これも値段が決まってない?」

「はい。この爪も嘴も品質が良いのは分かるんですけど、どれも初見でして… ああ、この羽根だけは飾り物としてって観点でなら買取り可能です!」

「あ~、そういえばこの素材… 83階層から出た魔物のだっけ。まぁコカトリスですら値段がついてなかったって言うのに、それ以降の階層から出た素材っていうならそれも納得か。

 じゃあ今回は魔石と鉄とミスリルで頼むよ、ミスリルはまた違う部屋かい?」

「はい、それでお願いします。あ! 後、コカトリスのお肉は大変美味しかったです! 先日うちのギルマスと商業ギルドのギルマスで試食をして会議していましたので、近い内に金額が出ると思いますのでもう少しお待ちください」

「おお! それは有難いね。まぁコカトリスの肉は俺達も試食は済んでるから、美味しいというのはすでに知ってるけどね」

「そうなんですか、もう少し余っていたりしませんか? コカトリスのお肉…」

「ま、まぁ余ってるというか割とたくさんあるけれど… そうだな、ここでギルドの職員さんに良い顔をしておくのも手かもしれないね」

「はいっ! 頑張りますよ? 買取りも勉強させていただきますし!」


 ははっ! 受付嬢を含めてギルドの職員を買収できそうで吹き出しそうになったぜ。しかしまぁぶっちゃけコカトリスの肉を1つ2つ譲ったところで在庫には全然影響はないからな、これで他所の支部から魔境に来いとかっていう要請を躱してくれるんなら安いもんだぜ。


 こうしていつもの素材や規定数のミスリル、コカトリスの肉を3個置いてギルドでやる事は終了した。もちろん新規で手に入った鳥系魔物の嘴や爪、羽根も見本として置いてきたよ。



「ふふっ、さすがは主、良い首尾じゃ」

「上手くいった感じ?」

「うむ。世の中色々と恩義はあるが、やはり食い物の恩は一番忘れぬもの。これで他のギルドからの要請に関してはある程度防いでくれるのではないかと期待ができるというものじゃ」

「そうか! まぁ魔王討伐なんてやりたくないからな!」

「俺はちょっと興味はあるが、ご主人以外の者から命令なんてされたくないんでな。どうせやるならご主人がメインで魔王討伐する時だな」

「俺はやらないよ? まぁ俺の生活のためにやらざるを得なくなった時は考えるけど」

「そうじゃな。ではその時のために今はレベル上げじゃな! 魔境に棲む魔物達ですら一撃で葬れるようになってしまえば問題はあるまいて」

「そうだな! まぁ魔物によって得手不得手はあるが、俺達はパーティだからそれぞれがやれる事をすればいいだけの話だ。やはりそうなれば… まずはレベル上げだな!」


 おおう、なんか盛り上がっちゃってるよ… というか、俺はそんな危険地帯には自分から行こうなんて思っちゃいないんだけどね。まぁさすがに自分の生活に影響が出るようになれば… うん、やるしか無いかもだけど。


 しかしまぁなんだ、孤児院やらギルドやらに恩を売る作戦は成功と見て良いんだろうな。まぁクローディアから提示された案だけど、俺もある意味偽善者みたいなもんだから偽善者ぶるのも嫌じゃないしね。


「よし、ではご主人よ、ダンジョンに行こうではないか!」

「そうだな! 特注した槍が出来るまで籠るとするか!」


 そんな訳で昼前には用事が済み、ダンジョンへと潜るのだった。



 ダンジョン80階層まで転移陣で移動し、先日手に入れたアイテム袋をグレイに持たせてソロ活動させる。まぁグレイはゴーレムと相性が悪いからね、レベルが上がってるから倒せることは倒せるんだけど、効率を考えるとやはりクローディアに任せるのが一番だ。

 そして今回は、アイシャがソロ活動しないで俺とクローディアにくっついてくる事になった。


「1人で狩るのも嫌いじゃないけどちょっと寂しいの…」

「まぁそういう事はあるかもしれないな、まぁアイシャがいればゴーレムの位置が分かりやすくなるからこっちの効率も上がるし問題はないだろ」

「そうじゃな… アイシャがいればミスリルゴーレムがリポップする1時間の間に、80階層のアイアンゴーレムを一掃できそうじゃな! グレイだけがレベルアップするのは癪じゃし、こちらもガンガン狩っていく事にしようではないか!」


 なんだかクローディアも張り切っているね、じゃあ今日から5日間… もりもり狩りますか!

誤字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おはようございます。 更新ありがとうございます。 楽しみに待っておりました! また、お祝いが遅くなってしまいましたが、先日たまたま「小説を読もう」のページを開いた際、「小説PickUp…
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