67 武器屋へGO
本日よりお盆休みに入らせていただきます、再開は予定通り18日からです。
撤退を決めてから、またしても10日かけて80階層に戻ってきた。降りる時よりも4日縮まっているのはひとえにマッピングのおかげだ。なんせ90階層のボスを倒さなきゃ転移陣は使えないからね、戻るしかないもんね…
「いやぁ予定よりも大分ダンジョンにいたな、頼んでいる装備は両方完成してるねこりゃ」
「しかもこれから対スライム用の装備を頼むんじゃろう? その間はどうするのじゃ?」
「それは完成までの日数で決めるよ。80階層をメインで周回してれば時間調整なんて簡単だからね」
まぁそれは良いんだ、問題はスライムに使うものをどうするかだ。避雷針のような感じで想定しているんだけど、果たしてそれに雷撃を撃って想定通りの流れになってくれるかどうかが疑問なんだ。
希望としては、バリアの中から避雷針(仮)を突出させてそれに雷撃を放つ。すると避雷針を通った電流がバリアの外側でスパークしてくれれば最高なんだけどな!
いや、それともすごく長めの槍型にして、グレイに投げ槍のように放り投げてもらって刺さった瞬間に雷撃を当てるか? 普通に考えればこんなやり方は難易度が高すぎるんだけど、命中率に関しては言う事は無いので雷撃を当てる事は間違いなく出来るだろう。
ん? もしかしてこのやり方だとボス部屋に入らなくても試す事ができるのではないか? だって扉の外からスライムの所在を確認できたんだし… つまり部屋の外から遠距離攻撃なら当てる事は可能だったという事だ。
かぁ~! 撤退する前に色々と試しておけばよかったな! 80階層から進んでいくと10日もかかるっていうのに… くそっ、判断ミスったな。
「……… というような事を今更思いついてしまったんだけど、どう思う?」
「ふむ! さすがは主じゃの! 確かにそのやり方だとこちらが負うリスクはほぼ無くなると言っても良いじゃろう。長い槍だって主であれば簡単に収納できるじゃろうし、試す価値は大いにあると思うのぅ」
「そっか、だったらその方向で考えてみるかね」
クローディアからナイスアイディアと言われたので試してみるとしますかね。
後は投げ槍の形状をどうするかだけど… おっとその前にアレだ、投げ槍に雷撃が当たった時の電流の流れ方も調べておかないといけないな。槍を介して放電してくれる挙動を取るなら、三又とか十字型の形状にした方が電流が飛び散ってくれるかもしれないし、そういった挙動が見られないなら鬼の金棒みたいにトゲトゲにしてやれば… まぁ投げるのはグレイだからきっと刺さるだろう。
ま、鍛冶屋に相談してみてだな。
今回のダンジョンアタックは、俺達パーティにおいて歴代最長となる24日間となってしまった。しかしモチベーションの都合なのか、早く地上に戻りたいとは感じなかったな… とうとう俺もダンジョンに感化されてしまったのか!
地上に戻ると時間的には大体午後3時くらいか… アイシャの腹時計が夕食まで2~3時間と言っていたので大体合ってるとは思うけど、ギルドよりも先に頼んでおいた装備品の回収を済ませておくべきだな。そしてそのついでに槍型の装備も頼んでしまおう。となると、先に防具屋からだな。その後で武器屋に行き、色々と相談してみよう。ギルド? 明日でも良いんじゃないかな!
「握りはこのくらいの太さで頼む。先端は多少重くても構わんぞ」
「そうか… 一応予備を考えて鉄のインゴットを20個預かろう。特に細工は無いからそうだな… 5日で仕上げよう」
「それで頼む」
うん、グレイに丸投げで例の槍型避雷針の注文が完了したよ!
結局のところ、攻撃力の都合を考えて十字槍の形状になった。これならついうっかり貫通させてしまう心配が減るんだそうだ… グレイ談ね。まぁ確かにスライムが相手なら貫通する心配もしなくちゃいけないのかと、正直ちょっと感心した。
投げやすいようにグリップは完全にグレイ専用とし、念のため5本注文する。長さは3メートルちょいあるので俺には扱える気が全くしないね。
「よし、じゃあ今日のところは宿に行って休むとしようか。明日からの行動は後で話し合おう」
「ご主人… アレを忘れてはいないか?」
「ん? アレって何だっけ?」
「調理用の魔道具だ。ダンジョン内でも肉が焼けるようにと言っていたではないか」
「あー! 確かに言ったね! じゃあ明日はまずそれらの買い物だな」
いやぁすっかり忘れていたよ。しかしグレイ… ダンジョン内での焼き肉がそんなに楽しみだったのか。
そしていつもの宿屋… 毎回毎回同じ部屋が空いているのでそこを借りる。そしてつい好奇心で聞いてみたんだ、なぜこの部屋はいつも空いてるのかと。
返ってきた答えは… 宿屋の立地が冒険者ギルドに近いためだという事だった。
なぜそれが空いてる原因になるかというと、冒険者が借りるには少々高い宿らしく、しかも3人部屋だからそんな中途半端な人数のパーティもそうそういないんだそうだ。宿としては商人とかをターゲットにしたいそうだが、これも立地の都合でなかなか来てくれないという事だ。
そう、3人部屋なんだよねここって。まぁクローディアとアイシャがセットで収まるから問題はないけど、ちゃんと4人分の料金払っているんだけどな… まぁ現在はすでに慣れたという事と、同じ部屋だと変に安心できるというか… あるんだよね。
「ご主人、槍は5日後という事だったが、完成までの期間どうするか決めようではないか」
「なんじゃ? 80階層にちょいと遊びに行けば5日くらいすぐじゃろ」
「そうだよな! ご主人よ、俺もそれで良いと思うんだが?」
「あ、ハイ」
まぁ黙ってじっとしてられないグレイならそう言うと思っていたよ。
「じゃあ明日は朝から魔道具探しをしてからギルドで売却、それからダンジョンにって事にするか?」
「「「賛成!」」」
「ああそうだ、コカトリスの肉をギルドが値付けする前にばら撒くって話はどうする?」
「それも朝からやれば問題無かろう。孤児院にでも持っていけば恩が売れるし、子供は肉を食べれば元気になるじゃろ… 良い事じゃないか」
「まぁ野菜も食べないとダメなんだけどね… じゃあその予定で動くとするか。今日はゆっくり休んで体調を整えるって事で」
なんだかんだと結局ダンジョンという… 割とワーカーホリックな俺達だった。
誤字報告いつもありがとうございます。
 




