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62 宝物

誤字報告いつもありがとうございます。

「むむ? なんとか開きそうじゃの」

「お、マジ? どこかにスイッチとかがあったのか?」

「うむ、見てみよこれを…」


 クローディアが指差す方向には、壁の岩が少しだけへこんだ場所があった。まぁ壁の岩と言ってもブロックのようなもので、似たような大きさの岩が隙間なく並べられているという感じなのだがこれはいかにも怪しすぎるよな。


「押せばいいのか?」

「そうじゃの、一応トラップの可能性もあるからグレイが押してみてくれ。グレイなら多少のトラップ程度どうとでもなるじゃろ?」

「そうだな、やってみよう」


 俺が押そうと思ったんだけど、どうやら却下の方向で話が進んでいる。クローディアもかなり過保護なんだよなぁ、もうちょっと俺にも出番をくれても良いだろうに… だけどまぁここで俺に何かあれば、この3人は奴隷のまま主不在となってしまう。それは俺もなって欲しくない事だから素直に聞いておくかね。


 ガコン! ゴゴゴゴゴゴ…


「予想通りじゃったな、これで奥に行けるようになった訳じゃが… アイシャはどこじゃ?」

「あれ? アイシャは部屋の中を探索していたはずだけど… ああいたいた」

「ふむ、アイシャよ! 出番じゃぞ!」

「はーい!」


 俺達がいる場所から反対側の壁を見て回っていたアイシャが元気良く返事をし、いつものように音も無く走り寄ってくる。


「呼んだ?」

「うむ。この通路の先を探ってきてくれ、頼むぞ」

「分かったよ!」


 高さが180センチほどで幅が60センチくらいかな? 高さはともかく幅はちょっと狭い感じだな、この隠し通路は。この幅だとグレイは横向きになっても通るのは厳しいかもしれない… 中腰にならないといけないから余計に幅を使うからな。


 なんて考えていると、すぐにアイシャが戻ってきた。


「すぐ奥に部屋があったよ、そして宝箱もあった! トラップは見当たらなかった」

「そうかそうか、ご苦労じゃったのアイシャ。では主よ、せっかくじゃから確認だけでもしてこようではないか。一応宝箱はアイシャが開けて、他にも何かないか見てみようかの」

「そうだな、アイシャ頼むな」

「はいっ!」

「グレイは保険のためにこの場で待機じゃ、狭いしその方が良いじゃろ?」

「うむ… 確かに狭そうだな。それにこの部屋の魔物が復活するかもしれんしな、俺はそれらを見張るとしよう」


 さすがに隠し部屋があり、その部屋に宝箱まで設置してまでトラップは仕掛けたりしないだろう。多分だけど… あーでもゲームとかではもしかしたらあったかも? まぁ一番素早いアイシャなら大丈夫だろう。


 アイシャを先頭に隠し通路を進んでいく… でもこういうのってなんかワクワクするよな! 宝箱もあるみたいだし一体何が入っているのかもすごい気になるし。

 それにさすがはクローディアだよな… このモンスターハウスのリポップの事は完全に頭から離れてしまってたよ。さすがにこの通路の中にはコカトリスの巨体は入れないだろうけど、一度も見たことないけど石化ガスとかってやつを出されでもしたら… この狭い通路では全員アウトになってしまうかもしれない。


 なんて気にしながら移動をしていたが、特に何も起こらず宝箱のある部屋に到着。果たしてこれは報酬なのか罠なのか…

 外見は特に目立った装飾も無い普通に見える箱なんだが、ゲームのように箱の見た目で中身が違うとかあるのかな? 金の箱ならレアが出て銀なら普通とか…


「ご主人様~、開けても良い?」

「おう、気をつけてな」

「分かった!」


 考えている内にアイシャがすでに宝箱の前にてスタンバイしていた。

 そして箱を突いたりしつつパカッと箱をオープン!


「どうじゃ? 何が入っておった?」

「んー分かんない。なんだろうこれ」


 アイシャが箱の中に手を入れ、中身を取り出した。んん? なんか巾着袋に見えるような?


「おお! それはまさかアイテム袋ではないか? ちょっと見せるのじゃ!」


 おおう、クローディアがなんか興奮しているぞ? それにアイテム袋と言えばアレか? ラノベや漫画ではマジックバッグとか言われているやつか?


「うむ、やはりそうじゃ。これはアイテム袋のようじゃな! 容量は… 輸送用馬車の荷台程はありそうじゃな」

「輸送用馬車? どのくらいの大きさなんだ?」

「そうじゃのぅ… 大体これくらいじゃな」


 クローディアが身振り手振りで説明してくれているが、要約すると4立米から5立米程のサイズだそうだ。思ったよりも入らない気もするが、どれほど重いものを入れても巾着袋の重さにしか感じない優れものとか… そういえば俺の収納を見られた時にもなんか話を聞いた事があったかもしれないな、商人であれば垂涎もののアイテムだとかね。


「いいではないか、これがあれば主の収納もごまかしがきくようになるし、コカトリスを狩っていた時のように待ち合わせ場所に肉を山積みする必要もなくなるぞ」

「なるほど、それは良いかもしれないな。替えの武器とか全部俺が持っているのも問題だなって思っていたところだし、是非俺達で使うとしようか」


 クローディアが言うには、隠し部屋に置いておくにふさわしい物だったと。過去に見つかり、王侯貴族や有力商人なんかが持っているアイテム袋よりも数倍も大きいそうだ。ちなみに王侯貴族や商人なんかは持ち歩くにはやたらと重い硬貨を入れて持ち運ぶんだとか… まぁそうだよね、金貨とか重いし。だからそれほど大きくないサイズのアイテム袋でも大変重宝されているとか… 壊れ物とかを運ぶのにも有用だろうし、水樽なんかを運ぶのにも良く使われるそうだ。


「ふふん、これほどのサイズであれば軽く金貨5千枚は値が付きそうじゃな」

「それほどかい」

「うむ。よく考えてみよ、このサイズの容量が1人で運べるのじゃぞ? それも重さも関係なく。主が懸念したように戦にだって使えるのじゃ、誰かに聞かれてもサイズはごまかした方が良いかもしれんの」

「それはそうかもしれないね。まぁ出所がダンジョンだし、欲しければ頑張って攻略してねとしか言えないからな」


 まぁともかくだ、かなり美味しい拾い物をしたようで儲かったと考えるべきだな。でも隠し通路の先にある部屋に置いてあるって事は、ダンジョン的にもレアアイテムって事なんだろうね。もっと気安く出てくれても良いと思うけど、そう簡単には出してくれなさそうな感じだな。

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