06 悲鳴と魔物と
撃ち出された光線は、一瞬で黒い壁に当たり… なんと最悪の予想の通りに跳ね返ったのだ!
「うわぉ! 危ねぇ… 真正面に立ってなくて本当によかった…」
しかし何だ? これは意外と強度があるって事なんじゃないか? しかもこの結界、複数枚同時に使用可能って書いてたから最悪の場合は結界を周囲に張り巡らせて守りを固めるって戦法も出来るんじゃ…
「あっ!? もしかしてこの結界で箱型に囲ったら、夜安全に寝れるんじゃないか? やべぇこれは便利かも」
やっぱり夜は怖くて緊張しちゃうからね、これで気分的にもだいぶ楽になるかと思うと嬉しい限りだよ。しかしそうは言っても、やっぱり最低でも毛布とか枕は欲しいよね。そうなると必要なのは…
「金か、やっぱり金が全てなのか! ですよね、分かっていますとも!」
とりあえずどうにか金を手に入れる手段が必要だ。しまったなぁ、集落で詳しく聞いておけば良かったよ。まぁあの集落の人達も稼げないから街の中に入る事ができなかったんだろうから、稼ぐのは大変なのかもしれないが。
まぁいい、青いステッキは説明の通りだと思うから試す必要は今のところ無さそうだし… よし、スキルの方を見てみるか!
ヒビキ・アカツキ 19歳 Lv.2
力 E+
体力 E+
知力 C+
魔力 B+
敏捷 C
ハンバーガークリエイターLv.2
現在作成可能なメニュー
チーズバーガー:食べると全ステータスが3%アップする、効果時間は120分。 NEW
ハンバーガー:食べると全ステータスが3%アップする、効果時間は120分。
ソフトドリンク、オレンジジュース:飲むと内臓疾患、毒、寄生虫などを除去できる。
ソフトドリンク、コーラ:飲むと内臓疾患、毒、寄生虫などを除去できる。
ソフトドリンク、ウーロン茶:飲むと内臓疾患、毒、寄生虫などを除去できる。 NEW
ポテトフライ:食べると体力が少しずつ回復する、効果時間内であれば怪我も治癒する事が出来る。効果時間は10分。重症の場合は完治できない場合がある。
オニオンフライ:食べると魔力が少しずつ回復する。効果時間は10分。
お手拭き:クリーンの魔法が付与されたウェットティッシュ、乾くまで有効。
ゴミ箱:食べ終えたゴミやトレイなどを処分する事が出来る。ゴミ箱に入れた後も所定の行為を行わなければ削除はされない。
「やったぜ! メニューが増えてるよ! チーズバーガーにウーロン茶か、これも定番だけどあれば食べるやつだよね。ウーロン茶は口の中の油を流すのにちょうどいいし、良いんじゃないか? それよりも早くてりやきバーガーが出て来て欲しいけどね!」
早速チーズバーガーセットをウーロン茶で出してみる、どっちも効果に変化は無いんだね… まぁ全ステ上がるなんて都合の良い性能が、レベルが1つ上がっただけでポンポンと上がるとは思ってなかったけど…
「うん、やっぱり偶に食うチーズバーガーもいいね! 普通のハンバーガーだけだと飽きちゃうし… いや、もうすでに飽きてるし! まぁ他に食べる物が無いから食べるけども、けどやっぱり食べるなら楽しんで食べたいから種類が増えるのは歓迎だな」
よし、食い終わったし進むとするか。
しかし、街道に戻るのもいいけど大きな森のせいで向こう側で大きく迂回しているように見えるんだよ。そして先ほど見つけた獣道… 狭そうだけど一応街道で見かけた馬車ならギリギリ通れる感じかな? まぁ日本的に言うとちょっと広めのサイクリングロードくらいの幅、まぁ足元は馬車の轍があるだけで整備もへったくれも無いみたいだから歩くのは大変そう。
「だけど、この道って真っ直ぐ西に向かっているっぽいんだよね。馬車ならすれ違う事も大変そうだし、鬱蒼とした森の中を行くのは嫌なんだろうけどこっちは徒歩だし… まぁいっか、多少なりとも近くなるならこの道を行ってみよう」
「やべぇ、こりゃ近そうだからって入るんじゃなかったなぁ。木々が密集しすぎて日が当たらないしなんか常に薄暗いし、ガサガサと怪しい気配が多すぎるよ」
まぁ音だけ聞こえるけど、まだ何かが出てきたという事は無い。しかし狼のような魔物か獣か知らないけど遭遇してるしな… こんな場所で襲われたら逃げ道なんて無いじゃないか。
しかし引き返すには結構な距離を既に進んでしまっている… しゃーない、進むしかないか。
意気込んで森に入ってきた当時の自分を怒鳴ってやりたいが、現状優先すべきは森を早急に抜ける事。こんな所で野宿とか嫌だよ? たとえバリアステッキで囲いが作れるとしてもね。
「グワァァァ! 痛ぇよ! 誰か助けろ!」
「まずい、もう逃げ道を塞がれているぞ! これどうすんだよ!」
「ギャアアア! こっち来るな、あっち行け!」
うへぇ、なんか割と近い所から悲鳴が聞こえるんですけど… あ、なんか聞こえなくなった。目の前にあるカーブの先で何かあったんだろうな…
しかしこれはヤバイな、逃げ出すにしてもこんな道じゃ… というか誰が誰に襲われたんだ? 逃げるにしても相手がどんなやつかは見ておかないと判断を間違うかもしれない… しゃーない、何者かだけ確認しに行こう。ヤバそうになったらすぐにバリアを使えるようにしておかないとな。
そんな訳で右手にピンク、左手に黒のステッキを持ち足音を立てないよう静かに近寄ってみる。緩やかなカーブを抜けると馬車が横倒しになっていて、道の脇に生えていた木にめり込んでいた。
「うぇっ」
次に視界に入ったのは… やたらと豪華そうな服を着ている太いおっさんと、皮っぽい感じの防具をつけているおっさんが3人… すでに倒れていてその周りには赤茶色の狼が7~8匹取り囲んで噛みついていた。
あれはきっと食べているんだろうな… やばい吐き気が。しかし、食べる事に夢中になっているのである意味大チャンスかもしれない。
狼までの距離は30メートル以上ありそうだから、せめてもう少し近づいてから詠唱付きのマジカルビームでどうにかなりそうな気がする。
ああそうか、マジカルビームは貫通するんだから攻撃対象が重なった時に撃てば1発で2度おいしくなるかもしれないな!
道から外れ、木の影を上手く使いながらじわじわと近づいていく。
うっぷ、血なまぐさい匂いが漂ってきた。ってことは俺がいる方が風下だって事だな? 今更気づいたが、野生の獣を相手に近づくんならそこは最初に考えるべきだったな。




