43 ボス戦だ! その2
誤字報告いつもありがとうございます。
「まだまだじゃ!奥の奥までしっかりと染み込むまで水浸しじゃ!」
ヤバイです。先ほどみせた獰猛な笑顔のままジャブジャブと水をかけていくクローディア… やっぱりグレイは戦っているのに自分は待っているだけというのがつまらなかったようで、それはもう楽しそうに水をかけていく。
「そろそろ良いじゃろ、2人共主のところまで下がるがよい!」
お、いよいよ雷撃ですか? 耳を塞がないと俺にも大ダメージがきてしまう。
耳を手で塞ぎながら事の成り行きを見守る… 隣ではグレイとアイシャも耳を塞いでいる。
「喰らうがよい! 雷撃!」
ガッシャァァァァン!
イエローサンダーステッキから放たれた稲妻の如き光がミスリルゴーレムに着弾! すぐさま全身にビリビリと雷撃がまとわりつき、ミスリルゴーレムがビクンと大きく反応する。
「ほぅ、この魔法を耐えるのか… さすがはゴーレムの上位種じゃの。じゃが雷撃は1発で終わりではないんじゃ!」
初撃で内部を破損したのか、ダンジョンに吸い込まれていかない所を見ると討伐はできていないようだが劇的に動きが悪くなっているミスリルゴーレム。そこにトドメとばかりに雷撃を連射するクローディア… うん、やっぱり俺達の中で一番レベルが高いだけあり、女魔王と言われても納得しそうな程の貫禄を見せつけてくる。そして…
ドシーン!
前のめりにバタリと倒れ込むミスリルゴーレム、どうやらもう動けないようだ。
「アハハ! ミスリルゴーレムをこの手で討つ日が来ようとは、これも主に出会えたからこそじゃな!」
「ぐぬ… 俺がその名誉を、ミスリルゴーレム討伐を成そうと思っていたのだが… 悔しいぞ」
「それは仕方があるまいて。オーガとゴーレムでは相性が悪すぎて、子供の喧嘩の上位版をしているようなものじゃからな。次回からまた先に進むのじゃ、そっちで好きなだけ戦うがよい」
「その言葉、忘れるなよ」
ふぃ~、別に危険なことは特になかったが、割かし時間のかかった討伐だったな。でも皆が無事で何よりだ。
「しかし水と雷撃の組み合わせはすごいのぅ、この世界の魔法に関する常識が覆ってしまうぞ」
「魔法の事は詳しくないが、そもそも雷撃の魔法が使い手はいないんじゃないのか?」
「そうなのじゃ。天から降りてくる雷撃を魔法で再現しようとした魔法使いは多々いたが、どのような原理で起きている現象なのかすら理解されていなかったからの。もちろん私も主に説明されて初めて知ったくらいじゃし」
まぁ電気の概念が無いとね…
「ご主人様! ドロップが出てるよ!」
「お、悪いけどアイシャ、拾って来てくれるか?」
「はいっ!」
ミスリルゴーレムがダンジョンに吸収され、ドロップが出現していた。うん? 青銀の塊が見えるぞ? これはまさか!?
「おお、主よ… ミスリルがドロップしたようじゃな! 売ればかなりの稼ぎになるのじゃが…」
「ふむ、売らないで確保した方が良いって事なのか?」
「そうじゃの。ミスリルは武器に防具にと使いどころは多岐にわたる、主の防具をこれで作れれば安全度が増すじゃろうな」
「ご主人よ、やる気になればクローディアがミスリルゴーレムを圧倒できる事が分かったのだ、なんならこの階層を周回して荒稼ぎという手もあるぞ」
「なるほど! グレイの手甲とかも作れればいいな!」
そうかそうか、グレイもアイシャも防具に関しては本当に軽装しか装備しないから、ミスリルで手足を守れたら今後も安心だろう。
「じゃがゴーレムには更なる上位種が存在するからの。オリハルコンと呼ばれる金属やアダマンタイトと呼ばれる金属は更に硬いという話じゃ。グレイの防具であればそちらの方が良いのではないかの? まぁやたらと重いと言われておるが、グレイなら大したものでもあるまい」
「ふむ… ほとんど伝説となっている金属による防具か、確かに興味があるな」
ほほぅ、まぁそのどちらも日本にいた時にゲームやなんかで知っている名前の物だよね。大体最上位かそこら辺で出てくる装備の素材がそうだったはず… 手に入れる事ができればすごいよね!
「しかしただ硬いだけのゴーレムを倒せぬとは俺もまだまだだな、更なる修練が必要だ」
「お、おう」
「だが簡単に壊れないからこそ修練の相手にはふさわしいのかもしれん。ミスリル収集のついでに俺とアイシャを鍛える機会をくれないか?」
「そりゃー構わないけどほどほどにな? とりあえず今日のところは地上に戻って休もうぜ、力を蓄えるのも重要な事だからな」
「承知したぞご主人」
ん? アイシャがげんなりした顔をしているんだが… ああ、ミスリルゴーレムを使った修練に名前を出されていたからかな? でも炎を出せるアイシャならなんとか行けるんじゃないかねぇ、知らんけど。
「では主よ、収納されている素材を鞄に積み替えよう。ミスリルは売らずに確保じゃったな?」
「そうだな、まぁ扱える職人探しをしないといけなくなるけど人数分の防具を作れるくらい集めておきたいね」
「む? 私の装備にミスリルは不要じゃぞ?」
「そうか? でも見た目が格好良いから腕輪とかならあっても良いんじゃないか?」
「ふむ…」
クローディアの言う本来の魔法使いというのは、魔法の研究やらばかりをしていて本当に体力や腕力が無いそうだ。だから旅の時とか戦闘時の装備品は軽くて動くのに影響の少ない物を選ぶんだとか… しかしまぁ身体強化を覚えたクローディアなら多少装備が重くても誤差の範囲だと思っている、だから安全のために装備しろと思うわけよ。
とにかくだ! ダンジョンに入ると毎回思う事だが太陽が恋しいぜ! さっさと戻ろう!
「あ、あの~ヒビキさん、ギルマスが戻ってきたら部屋に来るようにと言伝を預かってます」
「ええ? 俺達何かしたんだっけ?」
「分からんのぅ。しかしギルドマスターがわざわざ呼び出すくらいだ、良い話ではあるまい」
「デスヨネー、俺もそんな予感がするよ」
「大した話でないのなら、受付で済ませれば良い事じゃしの。それで? 今からなのか?」
「そうですね、戻り次第と言われていましたので」
クローディアの問いかけに受付嬢が答える。今からかよ、面倒臭いなぁ。
そして受付嬢に案内されるがままギルドマスターの待つ部屋へと連れて行かれるのだった。




