04 マジカルビームの威力…怖っ!
しかし野宿かぁ… 全く経験無いわけじゃないさ、一応サークル活動で山に行っていたからな。もちろんその場合はちゃんとテントとバーベキューセット、当然のように酒もあったがな。
だけど今回のように、テントも寝袋も何もない状況で夜を明かさなければいけなくなるとか想定外なんですけど? しかももしかしたら肉食の獣とかも出るかもしれない場所で!
「これはアレか? なんとか寝ないで夜を明かし、明るくなって多少安全になってから寝た方が良くないか?」
街灯なんて一つも無いからすでに周囲は真っ暗だ、そして俺に人や獣の気配を探るなんて技術は持ち合わせていない。
あれ? これって超ヤバイんじゃない? いくら岩陰だからといっても獣は匂いで辿ってくるものだし、あのゴミ王が言っていた通りスキルとかがある世界じゃそういった技能を持つ人間だっている事だろう。
「うーん、詰んだかもしれない」
いや、それでもこんなところで死ぬなんてふざけた話だ、なにがなんでも生き残ってやる…
怒りの気持ちで多少頭が冴えてきたけど、やはり周囲は闇しか見えない。こりゃ困った。マジカルステッキだって目視してこその武器みたいだし、見えない敵に当てるのは難しいのは当然だよね… まぁ最悪は四方八方撃ちまくりをするしかないか。
なんて覚悟を決めていたが、気がつくと空が明るくなってきている。緊張しつつ寝ないで夜を明かすつもりだったんだけど、どうやら意識を手放していたようだ… 危ないなぁもう。
とはいえ多少でも眠れたことによって、徹夜明けの気だるい感じにはなっていない。まぁ過ぎたことは仕方がないね、早速ハンバーガーで朝食だ。
うん、なんかもう飽きてきたね。
これは早いところ町を探さないとダメだな。野宿するにしてもせめて毛布の一つくらいないと尻が痛いし寒いしね… 問題は金か? 買い物するにしても異世界のお金なんて持ち合わせちゃいない、だからといって俺のスキルでハンバーガーを出して稼ぐのは危険な気がするし… どうするか。
「これはアレか… 漫画やアニメなんかで良く見る冒険者ギルドとやらに登録するとかしないといけないよな、まぁギルドがあるかは不明だけど」
食事と衛生面だけはどうにかなっているからお金は後回しでも構わないんだが、せめて毛布とか枕になりそうなものがないと満足に休む事も出来ない。そしてその前に物価についても調べなきゃいけないしやる事はたくさんあるもんだな… とりあえず優先順位をつけて考えてみるか。
まずは… やはり休むための道具一式だろうね。果たして毛布の価値がどれくらいなのか、こればっかりは町に行って見てみないと答えは出ない。そして買うためには金が要ると…
まぁこのステッキがあれば狩りをすることは可能だと思うし、まだ試してないけどゴミ箱に倒した獣なんかを収納できれば量も確保できるだろう。
やはり狩りというやつは、狩った獲物をどう運ぶかが問題だからね。それが楽にできるのなら稼ぐ事は出来ると思う。…が、果たしてこの世界において収納とかの価値がどれほどあるのか… 以前見たラノベではやたらと希少スキルで、王侯貴族や大商人なんかに捕まって使い倒されるなんてのもあったからな。まぁ使うところはあまり見せない方が得策なんだろう。
「ヤバイじゃん、結構八方塞がりだったりするな。戦闘能力に関して言えば、俺みたいな一般的な日本人ではこの世界の子供にすら勝てそうにないんだよねぇ」
そうなのだ、まだ未確認だがこの世界にはスキルというものがある。俺のスキルを見て憤慨された事を鑑みるに、多分戦闘に優れたスキルなんてのも多々あるんだろう。ステータスを見たってEとかDばっかりだったしな、多分これは弱い部類に入るんだろうと思っている。まぁステッキがあるから全く戦えないって訳ではないけれど、レベルやステータスがある以上アホみたいに強い奴って必ずいると思う。そしてそういう奴って低レベルの攻撃とか無効にしちゃったりするもんだよね…
「まぁグダグダ言ったって仕方がない! この世界で生き抜くって決めたんだからどうにかしないとな!」
とりあえず毛布を手に入れるのも金を稼ぐのも、こんな平原にいたら叶いっこない話だよな。とりあえず町を探すって事で行動を開始しよう。
ああ、町に入るのに身分証とか金銭が必要になったとしたら… その時に考えるしかないか、現状相談相手すらいない訳だしどうしようもないよな。
そんな事を意気込んでから3日経っていた。
ようやく辿り着いた町は… やはりというか王都の近くにあるためか身分証が無いと入れないとの事だった。仮入場証を発行するためには銀貨2枚が必要だとも言っていたな… 銀貨の価値ってどれくらいなんだろうね。
とりあえず食う物に困らないおかげで何とかなっているが、そろそろちゃんとしたベッドで眠りたいんだよな。毎回野宿だと神経が擦り切れちゃうよ。
ああそうそう、昨日とうとう魔物? ただの獣? どっちかは分からないけど赤い毛の狼が3匹現れたよ! 完全に俺の事をロックオンして襲ってこようとしていたから、まずは威嚇射撃として地面に向けて詠唱付きのマジカルビームで牽制したんだよ。マジカルビームと言うだけの詠唱なんだけど威力が違うからね、地面を削った音とかで逃げてくれればいいなって期待しての威嚇射撃だったんだが、どうも気づいてくれなかったようだった。
仕方なく戦闘になり、詠唱無しのマジカルビームを先頭にいた狼の眉間に撃ち込んだら即死しちゃったのよ。うん、眉間を貫通するという威力でね。これなら詠唱いらなくないか? 正直そう思ってしまったよ。
そして先頭にいた仲間が一撃でやられたのを認識したからか、残りの2匹はすぐに逃げていき戦闘は終了となった訳だ。そしてまぁ、実際に襲われてパニクってたって事もあるけど殺した事に対しては何も感じなかったな。後からクルのかもしれないけど、やはり正当防衛だって気持ちが強かったのかもしれない。やらなければやられるって状況だったからね、正直本当にパニックになりかけたよ。
そして狼の死体をゴミ箱… いやいや違う! 収納してみようと試したのだけど、なんと入っちゃったのだ! これは間違いなく使えるものだと確信し、間違って削除してしまわないようしっかりと確認する事を誓ったのだった。