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211 動きの加速

遅れた挙句、やや短めです。

「ご主人、出発は明日の朝という事でいいのか?」

「え? 休息を取ろうって…」

「休息など一晩寝れば大丈夫だろう! ダンジョン攻略のついでにゴーマンレッド王国の軍まで相手にできるかもしれないのだ、急ぐべきだろう!」


 あちゃー、グレイがなんか興奮してるんですけど? それに軍なんて相手にしないからね?

 しかし明日の朝に出発となれば、浴槽の注文ができないじゃないか! 誰に頼めばいいのかもわからんし、ガラハドに聞けばよかったのか? 悩ましいところだな。まぁいいか、いつか借りものじゃない俺の家を建てられた時に考えるとするかね。



 翌朝、元気よく身支度をしているグレイの姿に苦笑をしつつも手伝っているクローディアの姿があった。まぁクローディアもかなり好戦的な性格をしているからな… ダンジョン攻略という名の魔法実験に期待を膨らませているのだろう。

 グレイが前衛に立つからあまり機会はないんだけど、複数のステッキを使った複合魔法の組み合わせ調査が非常に楽しいらしい… なぜか壊れないダンジョンだからこそ試せるのだと仰っていたよ。


「ご主人様~!」


 元気な声とともに訪れる背中への衝撃… アイシャが俺に飛びつき、おんぶの姿勢になる。まだまだ小柄だが、すっかりと健康体になったアイシャはこういったスキンシップをよくやってくる。小柄だと言ったけど、増した筋肉量のせいか意外と衝撃が大きい… この世界に来た頃の俺ではとてもじゃないが受け止めきれなかっただろう。


「どうした?」

「なんでもなーい!」


 俺の肩に顎を乗せ、ごりごりと俺の側頭部に頭をこすりつける… うん、ちょっと痛いぞ。

 旅支度を進めるグレイとクローディアの姿を見つつルンルンと鼻歌を口ずさむアイシャ、俺もいい加減手伝うかね。


「ご主人! 準備は整ったぞ、もう何時でも出れる」

「了解だ。ナイトグリーン王国の奴隷の件や、闇ギルドとかエルフの国とか考えることはたくさんある、次のダンジョンもサクッと終わらせて備えようか」

「主よ、別にエルフについては考える必要はないのじゃぞ? 私が動けば済むことじゃ」

「いやいや、動くにしたって一緒に行動した方がいろいろと都合がいいだろう? 食事や寝場所とかね。それにみんな一緒の方が楽しいだろう?」

「まぁそうじゃが…」

「まずはダンジョンクリアだ、その後の事はその時に」

「………承知したのじゃ」


 おお! なんかクローディアが照れ顔をしているぞ!? これは珍しいものが見れたな! 

 まぁそれはともかく、支度ができたのなら出発しようか。全然休んだ気はしないが、こうもやる気満々なところを見せられると仲間として付き合わないとね!

 そんな訳で、ガラハドに挨拶をしてからバンガードを出発したのだった。滞在時間はたったの1日だけどね!











 SIDE:闇ギルド、ギルドマスター


「連絡が途絶えてずいぶん経ったが、何か続報は?」

「いいえ、ありません。おそらくはすでに全滅したのではないかと」

「ふむ… 任務失敗の責を問われるのを恐れて逃げ出した可能性もありえる、連中の捜索以外にも人員を出し、逃げ出した者がいるかどうかの調査もやってくれ。もし脱走者がいたとすれば… ギルドのメンツにかかわる問題になるからね」

「承知しました」


 ま、任務は十中八九失敗に終わったとみて間違いない。あれほど侮るなと言い聞かせていたというのに、連中が想定以上の対人能力を持ち合わせていたというところか… そのあたりを判断し、最低1人でも情報を持って撤退という知恵すらなかったか。


「まぁいい、まだ使える駒は残っているからね。しかしこれ以上舐められるわけにはいかないね… 一般人には早々伝わらないだろうが依頼主にはそうもいかない、いい加減作戦成功の報告をしないとあちらから噂が立つことになるだろう」


 調査の結果、依頼に来たエルフは現魔法省長官の部下だという事が判明している。つまり大元の依頼主は長官バーバラだという事は容易に判断できる、なにせギルドに資料が残っているからね… 前魔法省長官クローディアの拉致依頼が。

 まぁそこから察するに、クローディアの存在は心の底から不満なのだろう。ま、現在の地位に大きく影響を及ぼす事になるだろうから排除したい気持ちは十分理解できる。


「こちらとしては、これ以上首を突っ込んで壊滅的な打撃を受けてしまう可能性があるという事実をどうするか… だな」


 魔法省長官バーバラと、あの部下を暗殺すれば今回の依頼もなかったことにできるかもしれんが、それはそれでなかなかに癪に障る… さて、少しばかり真剣に策を巡らすことにしようか。うちのギルドメンバーをやすやすと葬った実力も直で見てみたいし、行方が分かれば自分が動いても良い。生け捕りなど考えなければ負けることなどないのだからね! 闇ギルドのマスターがどれほどのものか、見せつけて殺すのも一興。いや、散々我がギルドをコケにしたんだ、それくらいやらなければ釣り合わないな。

 エルフは報酬をもらってから殺すか、あの偉そうな態度は以前から気に食わなかったしね。


「クハハ! なにやら一周回って楽しくなってきたな!」


 では、こちらも準備を整えようか。とびきりの遊びの支度をね!

誤字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] グリグリと頭を擦り付けて懐いているアイシャと照れ顔クローディア可愛いです。(*^^*) そして、闇ギルドマスターさん。死亡フラグ乙〜。
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