208 次の行き先は…?
誤字報告いつもありがとうございます。
SIDE:ディープパープル共和国魔法省長官、バーバラ
「ちょっと、まだクローディアの身柄は届かないの? 最悪は首だけでもいいと伝えてあるのよね?」
「はい、間違いなくそのように伝え、前金として魔石を置いてきております」
「その魔石の事だってクローディアの責任にする予定なのに、いつまでたっても報告が来ないんじゃ動けないわよ!」
「はっ、至急使者を出して確認を取らせます」
「大至急よ!」
まったく人間種は無能ばかりで困ってしまうわ… あれだけ自分たちの有能さを謳っておきながらこの体たらく、やはり使い捨ての道具として扱うのが適性のようね。
しかしクローディアの噂を流したというエルフの存在も目障りね… 恐らく昔からのクローディア信者なのでしょうが、少なくとも私に害をなそうという意図が見え隠れするわ。このエルフも調査して特定し、捕獲しなければいけないでしょう。放っておけば更なる噂が流されるやもしれない。
「いくら同胞とはいえ、この私… 現魔法省長官に仇なすというのであれば捕縛されても仕方ないわね、新しい魔法の被検体として有効活用させてもらいましょう」
とりあえずこの忌々しい疑惑の視線を早急に対処しなければならないわ。魔石の事が噂の中に紛れ込んでいたせいで弁明もうまくいっていない… これは実際に魔石が無いから弁明も何もないのだけれど、どうにかしないと延々と言われ続ける事になってしまう、長寿の種族ならではの悩みね。人間種であれば噂など数か月で消え失せるというのに、エルフだと数十年は言われてしまう… その間に万が一クローディアの生存が明るみに出れば、間違いなく私は追い落とされるわね。
「でもそうはさせないわ! せっかく手に入れたこの地位、たった100年そこそこでは満足できるほど研究ができていないのよ! 指向性を持たせた重力を局所的に発生させる魔法… 方向さえ合致すれば天空に漂う星すらも誘引できる極大の破壊魔法を完成させるには、魔法省長官の地位と資金が必要なのよ!
これさえ完成してしまえば我らエルフは大地の支配者となろう! いえ、違うわね。エルフなどという大きな括りではなく、この私! このバーバラが世界の頂点になるのよ!」
うふふ、私が大地の支配者になった暁には、今まで忙しくて我慢していたあんな事やこんな事を、種族を越えて実現させるのよ!
世界中にいるはずの美少年達、すぐに囲ってあげるから待っていなさい!
SIDE:ヒビキ・アカツキ
「よーし、今日はこの辺で野営にしようか」
「そうじゃの。バンガードにも明日中には到着できるじゃろうし、良い塩梅じゃ」
俺達はカンチャンを出て数日、ただひたすらに移動をしていた。そのおかげで明日には拠点であるバンガードに到着できるほどの移動を終えていた。
冒険者ギルドから提示されたダンジョン情報… どうも意図的にナイトグリーン王国を外してある感じだね、まぁ俺達としてもあの国に良い印象はないから後回しにするつもりだったし良いんだけどね。
「しかし主よ、複数のダンジョン情報を得られたのは良い事じゃが、これは次の行動を決めにくいのぅ」
「まぁね、まさかここでゴーマンレッド王国のダンジョンが情報の中に入っているとはね…」
「ご主人はゴーマンレッド王国には二度と行かんと言っていなかったか? つまりそこは除外という事だな?」
「確かに言ったね、俺にとって嫌なことしかない国だから。でもまぁそこに拘る必要はないかなってちょっと思っているんだよ、だってアイテム袋が手に入るかもしれないんだからね… それに比べたら当時の俺の決意なんてちっぽけなんじゃないかってね」
「ふむ、まぁその思い切りの良さは賛同できるが… 行ったとしてもしもゴーマンレッド王国が動いたらどうするつもりなのだ? 戦えというのであればもちろん戦うが、ご主人はそういう考えではないのだろう?」
「それについてじゃが… ガラハドを含めた国家が主導する魔法師団、そのほとんどが失われている今であれば何も起こらないかもしれんのぅ」
「うん、それは俺も思っていたよ。魔法師団がごそっといなくなって一体どう運営しているのかなってね、魔物だって結構出てるって聞いてたし」
「うむ、魔物討伐は仕事じゃったとガラハドは言うてたからの。仮に有能な騎士団がいたとしても、魔物の相手で四苦八苦しているというのが私の予想じゃな」
うんうん、確かに俺もそう思うよ。なんだったら出奔した魔法師団に倣って似たようなことを画策しているかもしれないしね! まぁそれをやるには相応の覚悟が必要だろうけど。
「なるほど、つまりある意味狙い目だという事だな? しかしギルドはどうする? ギルド職員にだって国家の回し者がいるかもしれないだろう? ご主人の噂がゴーマンレッド王国に届いていなくても、ギルドには情報は伝わっているはずだ。そこから国に話が伝わるのではないか?」
「まぁそれは考えられるというか、間違いなくスパイ目的の人は入り込んでると思う。なんせあのゴーマンレッド王国だからね」
「うむ。つまりどうするのじゃ?」
「うん、行く途中通り道にリャンシャンがあるでしょ? そこに立ち寄って今の話を簡単に伝えてくればいいんじゃないかな。ギルドが気になっているのは俺達の所在でしょ? ちゃんとゴーマンレッド王国にあるダンジョンを攻略してくるよと伝えつつ、ゴーマンレッド王国との確執を多少話をぼかしながら伝えてギルドに寄らないと言えば良いんじゃないかな」
「ふむ、まぁギルドの方はそれで納得するじゃろうな。どう急いだところで、今から間者を捜索して排除するとなれば時間的に無理じゃろう」
「そういうこった。魔境でのあれこれも大事だけど、そのための準備は抜かりなくやっておきたいからね。バンガードで一息入れたら次はゴーマンレッド… それでいいかい?」
「私は主の指示に従うのじゃ。そっちの方が楽しそうじゃからの」
「俺も当然構わないぞ。魔境でもダンジョンでも前衛は俺に任せておけ」
「ボクは行き先とか全然気にしていないよ! ご主人様と一緒にいられるんなら!」
「私はご主人様の奴隷ですから、命令を頂けたのならば従うだけです」
おいおいシフさん… ちゃんと奴隷は解除するって言ってあるでしょ? なぜそこで奴隷である事を強調するんだい?
感想返しできなくですいません(o*。_。)oペコッ
全部見ていますので\(^o^)/




