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207 2人のギルマス

誤字報告いつもありがとうございます。

「よく来てくれた、冒険者ギルドカンチャン支部のギルマスとして君達パーティを歓迎しよう。そしてなんだ? もううちのダンジョンを踏破しただって? ちょっと階層の情報をギルドに売っていってくれると有難いな」

「何を言っている。ダンジョン情報は共通していると報告が出ているだろう? 我がリャンシャンダンジョンの報告書がすでにあるからそれを見ればいいだろう」

「自分の耳で確認がしたいから聞くのだ。しかしどうしてお前がここにいるのだ? 何も報告は受けていないが」

「ああ、俺も今着いたところだからな。すぐに顔を出すつもりだったんだが、入り口でヒビキ達を見つけたのでな」


 なんだか2人のギルドマスターが話し始めたんだけど? それにダンジョンの情報ったって、ついさっきクローディアが報告してあるんだけどね… まぁ簡易的だろうけど。

 そしてやいのやいのと繰り広げられている会話には親密さを感じる… 本人が言っていたように知り合いというか、それ以上の関係がありそうだな。



「と、まぁそんな感じで50階層が最深部だったって事だね。クリア時に出てきたのは短剣で、これをどうするかは考え中だ」

「ふむそうか… その短剣は売りに出す気はないのか? お前たちの装備を見るに、多分必要は無いと思うのだが」

「まぁそこはクリア記念とかあるかもしれないからね、後でゆっくりとみんなで検討する予定だよ」

「そうか、不要となればいつでも売りに来てくれ。後はこの町に紛れ込んでいた闇ギルドと思われる者達を見なかったか? 数日前から姿を消したんだ。まぁ素行の悪い連中がいなくなったってのは良い事なんだが、さすがに楽観視はできなくてな」

「そ奴らかどうかは分からぬが、ダンジョン内で私たちを襲ってきた4人組がおったのじゃ。もちろん返り討ちにしたがのぅ」

「む! 連中の人相書きがある、ちょっと確認してくれ」


 そして話は闇ギルドの事へ… しかしやはりというか、ギルド側も把握はしてたんだね。素行が悪いと言っていたから何かしらの悪行はしてたんだろうけど、とっ捕まえるほどでもなかったということかねぇ…


「ふむ、こ奴らで間違いないのじゃ。いやぁ突然襲ってきたからのぅ、私達も必死で応戦した結果での返り討ちじゃ、罪に問われる事など無いのじゃろう?」

「まぁそうだな… ダンジョン内での事件は証拠が消えてしまうからな、それが事実かどうかはぶっちゃけ判断がつかん。だがギルドの方でも連中を闇ギルド、もしくは犯罪組織のメンバーであることまでは把握していたからいなくなって困るような事はないとだけ言っておこう」

「ま、そうじゃろな」


 うーん… さすがに闇ギルドだと断定はできていなかったか。でもまぁギルドが知っていようが知らなかろうが俺達には関係ないんだけどね、単純に襲ってくる奴が悪い! こっちだって黙ってやられてやることは無いんだから来るなら相手をするだけだ。


 そしてなぜか俺抜きで話が進んでいる… 2人のギルドマスターにグレイとクローディアで。まぁそれぞれ専門知識のある2人だからね、俺に聞くよりも話が早いのだろう。うん、大正解! 俺に聞かれても毎回2人に確認するからね、そうしてもらった方が有難い事である。俺はアイシャの頭を撫でるので忙しいからね!

 リャンシャンギルドでこれをやると、受付嬢を含むギルドの女性スタッフに羨ましそうな目で見られるんだけど、ここカンチャンギルドは若い女性スタッフがいないんだよ… ちょっと年配の人が多いので、アイシャを見る目が孫を見る祖母のような雰囲気なんだよね。まぁ別にそれはそれで悪くはないけど…

 グレイは言わずもがな、クローディアは見た目は若そうだけど喋るとアレだからね… シフに至っては男性からの目線が激しいようだ。まぁ美人だしスタイルもいいからね! どうにかしてちぎれてしまった耳を何とかしてやりたいものだ。


「主よ、考え事をしているところ悪いのじゃが今後の動きについて問われておる、どう返答すればいいのじゃ?」

「うん? 別に教える必要性を感じないんだけど?」

「まぁ私も同意見なのじゃがこ奴らがしつこくてのぅ」


 こ奴ら… まぁ2人のギルドマスターですね。どうしてそんなに俺たちの行動を気にするかねぇ… 意味が分からないよ。


「じゃあ未定だからとでも伝えておいてよ」

「承知したのじゃ」


 面倒なやり取りはクローディアに押し付けて、そろそろおいとまでもしようかね。


「じゃあ俺たちはそろそろ…」

「ちょっと待て、たった今今後の動きは未定だと聞いたぞ? ならば急いで発つ必要もないだろう。もう少しこの町でゆっくりしていったらどうだ?」

「いやいや、ゆっくりするのであればやはり慣れたリャンシャンの方がいいだろう? 移動するというのであれば俺と一緒にどうだ?」

「ちょっと何言ってるかわからないよ。俺達は俺達だけで自由に動く、どこに行くかも歩きながら考えるよ。

 ああそういえば、この近隣で他にダンジョンのある場所を聞こうと思っていたんだった。聞いておけばその内攻略に行こうと思ってるけど」

「ふむ、そうか。今日はさすがにこの町に泊まっていくのだろう? 明日の朝にギルドに来てくれ、この近隣からダンジョンをピックアップしておこう」

「それはどうも、じゃあ明日またギルドに顔を出すよ」



 ようやくギルドを出ることができたよ。

 2人のギルドマスターが何を企んでいたのかは結局のところ分からなかったが、こうして俺達の行き先を知れるという事が落としどころになったのではないかと思う。


「よし、じゃあ宿だな!」

「うむ。ギルドお勧めの『カンウーマン』の宿に行こうではないか」


 こうして俺達は翌日、カンチャンダンジョン攻略とともに情報を手に入れて町を後にしたのだった。









 SIDE:冒険者ギルドカンチャン支部、ギルドマスター


「さすがに手懐けられるとは思っていなかったが、次の行き先をギルドで決められるという言質が取れたのは僥倖だったな」

「ああ。あいつらは放っておくとすぐに行方をくらませるからな… どこかのギルドに現れたからと報告が来るとしてもどうしても後手に回ってしまう」

「うむ。こうも容易くダンジョンを攻略してしまうパーティはぜひともギルドで押さえておきたいからな… 少なくとも次の候補ダンジョンはナイトグリーン王国から遠い所だな」

「ああそうだな。さすがにここのダンジョン攻略のことも、いずれは勇者の耳に入るだろう。そうなれば… またいらん行動を起こすかもしれん」

「起こすかもしれんではない、間違いなく起こすだろう。ならばギルドの方で情報のかく乱を仕掛けるべきだ、そうすればギルド内部にいる不穏分子もあぶりだせるかもしれんからな」


 ま、不穏分子というか、ナイトグリーン王国にある支部はそうなのだろうがな。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやいやいや。 「次のダンジョンの場所が分からないから教えてくれ」が「次の行き先をギルドで決められる」に聞こえるのかいキミたち。 もうギルドもダメかも分からんね。
[良い点] 更新お疲れ様です。 まぁ勇者みたく『実力に見合わない無理難題』はふっかけて来ない・下手に出て交渉すれば多少は譲歩してくれる実力者となれば、ギルド側からすれば囲い込みたいですわなそりゃ。 …
[一言] 本来味方ボジであるはずのギルドが鬱陶しくなってきたなぁ
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