02 ハンバーガーを食べてみた
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スキルの使い方はどういうわけか体が理解している感じがするので、全種類を出してみるとするか。
スポンって感じで出てきた食べ物たち… プラスチックのトレイに乗せられたハンバーガーセットが目の前にあるんだが… やはりというか安っぽい感じはするな、とりあえず食べてみるか。
おっとその前にお手拭きで手を拭かないとな、ふむ… これがクリーンの魔法か、思いの外スッキリするんだな。それに乾くまで有効って事は結構長時間使えるって事だよな? まぁ環境依存になるけれど。
手を拭き、ついつい顔まで拭いてしまってからいざ実食といこうか。
「ふむ、実にシンプルだな。これは早くレベルを上げて他のハンバーガーを作れるようにならないとすぐに飽きそうだ」
薄っぺらいバンズにこれまた薄いハンバーグ、そして申し訳程度に挟まれているレタスにケチャップで味付け… うん、ピクルスが入っていないからアレだけど、一番安いハンバーガーってこんな感じだよな。
個人的にはテリヤキビーフが至高だと思っているので、早くレベルを上げたいもんだ。
しかしスキルのレベル上げっていうのは… やっぱり稼働回数になるのかな? 俺1人で食っているだけじゃ時間がかかりそうだな、これは後で考えるか。例えばスラムで人を集めて配ってやるとか、孤児院とかがあったらそこで配るとか…
相手も美味しい俺も経験値が美味しいとなればwin-winだよな! 後は魔力の消費しだいだな。
そしてハンバーガーの効果を感じてみる… 全ステが3%上がるという事だが、さすがに体感できるほどのもんじゃないな。
オレンジジュースは飲んだらすぐに分かった。胃がなんか急に軽くなったというか、今まで感じていた倦怠感が綺麗さっぱりと消えてしまったのだ。まぁ俺の胃はストレスではち切れそうになっていただろうから、それがきっと治癒されたんだろう… うん、良い事だ。
ポテトフライも食べてみる。少しずつ体力が回復との事だけど、確かにだるかった体が軽くなった気がするね、これは良い。オニオンフライも食べてみるけど、魔力はハンバーガーセット1個分しか使っていないから体感は出来なかった。
でもオニオンフライを食べてから、スラムとかでたくさんハンバーガーを出してやれば魔力の消費については解決するかもしれないな。
「結論、いつでもどこでも食料と飲み物が手に入るなんて最高かもしれない! 能力的に俺のスキルはバッファーという事になりそうだし、どこかで強そうな奴と組めば安心安全になるかも?」
とりあえずポテトフライの効果が残っている内に走りながら移動をしてしまおう、あの外道な王の気が変わって連れ戻されたりとか、何なら殺し屋を雇ってくるとかも考えられるからな… さっさと離れた方が身のためだ、そんな気がするよ。
食べたゴミをスキルのゴミ箱に入れて処分っと… おや? これはアレか? パソコンのゴミ箱と同じ感じなのか? とりあえず整理する時にゴミ箱に放り込むけど一応データは生きている。最終的に削除するまではゴミ箱の中で残っている… と。
もしそうならもしかして… ゴミ箱の中は時間停止しているかもしれないな! そうじゃないと生ゴミが腐ってしまうから。
上手く使えばアイテムボックスみたいにやり繰りが出来るかもしれないな、これは最優先で検証しないといけない案件だ。後はアレだ… 間違って本当のゴミと一緒に消してしまわないように気をつけないとだな、あまり大事すぎる物を入れるのも考え物かもしれない。
とりあえずさっき飲んだオレンジジュースには氷が入っていたからな、ゴミ箱に入れておいて時間が経ったら取り出して確認してみよう。
これが想定通りだったとすれば… 俺ってもしかして有能スキル持ちなんじゃね?
大学に入学してから変なサークルに入会してしまい、それからずっと毎日のように嫌がらせを受けていて鬱になりそうだったけど、案外この世界の方が性に合ってるかもしれないな。
まぁまだこの世界の事は何も知らないけれど、少なくとも見た感じ日本の常識は通用しないだろう… 道にある轍も車じゃなくて馬車っぽい細いやつだし、まるで小説かのように中世レベルの文明なのかもしれないな。
「もしそうなら? ハンバーガーを売れば生きていける? バフ効果がついているからダンジョンとかがあるんだったらその町で商売すれば儲かったりするんじゃね? いや、それはきっとダメだな」
あんな横柄な奴が王だというんだ、もっとえげつないボンクラがきっと多数いるはずだ。もし商売を始めたら? 多分拉致されて死ぬまでハンバーガーを延々と作るだけの装置として使われるかもしれない… それは嫌だよな。
「まぁ食い物には困らないというラッキーな状況なんだ、色々見てから判断した方が良いな」
よーし! そうと決まれば道に沿って移動を開始しよう! バフが切れたらまたポテトフライだな!
移動を再開した俺だけど、ポテトフライのバフは正直言ってすごかった。歩くだけじゃちっとも疲れなくて、試しに軽く走ってみたんだけどそれでも疲労感は微々たるもの… 効果時間が10分というのは短い気もするが、これはこれで有能すぎるんじゃなかろうか。
魔力に対して同様の効果があるオニオンフライも多分使える効果なんだろう。もちろんハンバーガー1セット分しか魔力を使っていないから、体感する事は出来なかったけどね。
そして10分が経過… うん、走ると普通に疲れるね。元々俺は体力ある方じゃなかったし、しかたないね。
まぁハンバーガー1セットだけじゃ全然足りないから、もう1セット食べておこう。そしてバフを有効活用するために8分ほど走って進み、残り2分を歩いて疲労感を出さないようにする。この辺の活用方法も色々と調べておこうかな…
日が随分と傾き、太陽が地平線に近づいてきている… この様子だともう2時間もしたら日が暮れてしまうな。夜… どうしようか。
ここが日本であれば、虫さえ気を付ければ野宿しても大丈夫なんだろうけどここは異世界だしなぁ… まぁ王都らしき街の近くだから野良の獣とかも少ないんだろうけど、なんだか心配だよな。
「あ、そういえば最初に出したハンバーガーセットのドリンクのカップ、ゴミ箱から出してみて氷の解け具合を見てみようか」
思い出したのでさっそく実行してみると…
「おおう、やっぱり氷は解けていない! これはゴミ箱の中は時間が止まっているか限りなく流れが遅くなっている可能性があるね。これなら先にハンバーガーセットを何個か作っておいて、ゴミ箱に保管しておけば緊急時でもサクっと取り出して食べられるかも!」