192 買い物だー!
誤字報告いつもありがとうございます。
目覚めた。大岩に体が挟まって動けない夢を見ながら目が覚めたのだ!
そしてお腹に感じる重み… うん、アイシャが俺の腹を枕にしてスヤスヤでしたよ…
アイシャがこうして眠っているという事は、まだ朝食の時間ではないという事だね? まぁ夜食を食べたから腹時計が狂っている可能性はあるにはあるんだが、それでも大した誤差は出ないと思っているから早起きしすぎただけなんだろう。
いつもアイシャを抱き枕にしているクローディア… 見てみるとシフに抱き着いて眠っているね… 俺達のパーティでは間違いなく最年長のはずだけど、細くて小柄な体格をしている分寝姿は子供のように見えてしまうな… 言ったら怒りそうだから言わないけど! よし、二度寝するか!
「ご主人、飯の時間だ」
「う? もうそんな時間?」
「うむ」
やはり二度寝はちょうど良くいかないものだね… 大体予定時間を過ぎてしまうんだよな、これで何度寝坊した事か…
周りを見ると、どうやら俺が最後に起きたようで皆大人しく座って待っている… まぁ俺が食事を出さなきゃ食べるものは肉しかないからね! さすがにバリアで囲われた空間での焼き肉はご遠慮していただきたいから急いで支度をしないとね。
「さてご主人、今日の予定なんだが… このまま90階層以降の探索を進めていき、100階層以降があるのかどうかを知りたいのだ」
「まぁそれは分かるけどさ、せっかくだからペンチャンの街も探索してみようよ。露店を見るのもいいし、武器防具の店を見るのもいい。バンガードに持ち込めそうな食材もあるかもしれないだろ?」
「むむ? 露店か… それは有りかもしれんな」
「だろ? アイシャやシフも少しずつ体形が変わってきているし、衣類も増やしておかないといけない。俺達の装備品はミスリルでそれぞれ作ってあるから必要無いかもしれないが、消耗品は補充しておかないとね」
「ふむ… 確かにアイシャは少し大きくなったか? 体に合わない服は動きを阻害するから見繕わないとダメだな」
よしよし、なんとかグレイの興味を街の方へと逸らしてやったぜ! まぁ街というよりも買い食いの方に興味があるんだろうけど、それでもお日様の下にいられれば俺のメンタルも回復するだろう!
さすがにこの時間になれば、昨晩のイケメンエルフ君も旅立っているだろう。まさか昨日は疲れたからと、朝から宿に入ってたりはしないよね? まぁそこはいいか、クローディアが色々と言いつけたんだろうから俺がどうこう言う謂れはない。なんせ何も関与しなかったからね、彼は彼で上手く立ち回ってくれるだろう。
「シフ、どうかした?」
「い、いえ! 何でもありません!」
グレイと話をしていると、シフが何やらそわそわしながらこちらを見ていたんだけど… 何がどうしたんだ?
「まぁいいか。じゃあ今日はお休みという事で街中を見て行こうと思うけど、何か意見はあるかい? 予定としてはさっきも言ったけど全員分の衣類は買いたいと思っている」
「俺は露店と食材を売っている店だな。鉄板で焼けそうなものがあると良いんだが、生憎俺はそういった事に詳しくない。ご主人に色々と見繕ってもらいたいものだな」
「私はそうじゃのぅ… 特に気になる事もないんじゃが、衣類と野菜かの」
「ボクはお肉! いろんな種類のお肉を食べてみたい!」
「あ、私は皆さんと同じで良いです。お肉も野菜も好きなので」
「…………」
結局みんな食べ物かい! まぁわかるよ、ハンバーガーは間違いなく美味しいけれど食べ続けると飽きるもんね! 色々と種類を変えたりして工夫してるけど、ナゲット以外はガッツリお肉っていうのは少ないからね!
やっぱりハンバーグは挽き肉で作っているもんだから、子供でも簡単に嚙み切れる程度には柔らかい。ガツンとした歯ごたえがあるかと問われれば、否と言うしかないだろう。きっとグレイ達はそういった感触を求めているんだと思う。俺もそう思う時があるからね…
クローディアに関しては色々とサラダの種類はあるけども、使われている野菜の種類が豊富かと聞かれればねぇ… 基本レタス多めだしね、他の野菜も食べたくなる事もあるだろうさ。
「ただの、この街はダンジョン都市じゃから食材についてはあまり期待はできんかもしれんの。基本違う街からの輸入じゃろうし」
「確かにね… まぁ輸入品が多いんなら新鮮なものを求めても無理かもしれないね。って事は肉くらいか? ダンジョンで取れるから」
「そうじゃのぅ。まぁそれも主が調理すれば美味しくなるじゃろうから期待はしておるがの」
「うむ。やはりご主人のいた世界の調理法は旨いからな、できれば新しい食べ方など知りたいものだ」
「いやいや待って! 確かに俺のいた国の料理は美味しいと思うけど、それもこれも調理に使えるだけの調味料が豊富にあるからなんだ。ここでは塩胡椒だって結構な値段がするし、欲しい調味料が無いかもしれない。あまり大きな期待をしないで欲しいな」
全くねぇ… せめて胡椒だけでも存分に使えるだけあれば良いんだけど、この世界では非常に高価な物なんだ。ダンジョンで採集できたりすればいいんだろうけどさすがにそう都合良くは行かないだろう。
そんな訳で早速ダンジョンを出発だ! こうなってしまったからにはせめて塩だけでも多めに補給しておこうと心に決めたのだった。
色々と買い食いし、バンガードに持っていけそうな食材もついでに補給。塩もそこそこの値段であったが買い込みに成功した。衣類もさすがはダンジョン都市というべきか、グレイが着れるような大きなサイズの物もあったりして満足の行く買い物だったと思う。
「よーし、じゃあ宿を取って後は寝るだけだな! ダンジョンは明日ね」
「うむ、また明日からは100階層を目指すのじゃから15日以上は籠らんといけんからの。売っていた衣類も良いものじゃったし早速明日から着てみようかの」
うんうんと頷く女性陣。衣類だけに関してはこの街はリャンシャン以上に種類が豊富だったんだ。アイシャ用には尻尾を通せるよう加工しなければいけないが、そこは職人… その程度の加工はすぐに終わらせてくれたのだった。
まぁさすがに可愛らしい服かと言われれば答えはNOだが、冒険者として動きやすい服で機能的ではあったんだ。それに新しい服は、そういった事には無頓着そうに見えたクローディアですら嬉しそうだったから良い気分転換になったんではと思っている。
 




