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188 意外とあっさり?

誤字報告いつもありがとうございます。

 そして日が沈む。ここまでアイシャとシフが何かの気配を察知する事は無かったが、なにかしら嫌な雰囲気があるのは何となく感じるんだよね… 視線を感じると言うか。これはどういう事なんだろうね? こちらが察知できないほど離れた場所から望遠鏡みたいなもので監視とかしてるんだろうか? そもそもそんな道具はあるんだろうかね? まぁ聞いてみた方が早いか。


「ところで遠くを見れるような望遠鏡とか双眼鏡とかって道具はあったりするの?」

「む? 遠見の魔道具の事か? 確かに遠くまで見渡せる魔道具はあるらしいぞ、俺は良く知らんが」

「そっか、やっぱりあるのか」

「それがどうかしたのか?」

「いやね、アイシャとシフは何も感じないって言ってたけどどうもなんか見られているような気がしてたんだ」

「なるほど… なんか妙な感じがするのはそのせいだったかもしれんな。俺も気配は感じないが違和感があるとは思っていたんだ」

「つまりアレじゃ! 闇ギルドの連中はこちらの策にハマっておるという事じゃな! アイシャとシフよ、そろそろ気合を入れるのじゃ!」


 魔法使いが根性論を唱えている件について…


 胡坐をかいて座っているグレイの肩の上にアイシャが肩車のようにして座る… 元々高身長のグレイだから座ってるとしても誰よりも高い位置取りが出来るからね、アイシャも迷わずに飛び乗っていた。

 さすがに日が沈んだとはいえ至近距離だ、なんとかみんなの動きは捉えられるね。さすがに少しでも離れてしまうと何も見えないし感じないけど、俺を中心に4人が位置取っているから四方の索敵は恐らく万全だろう。クローディアの言っていた気配や音などを消す魔道具が無ければだけど…



 その状態で1時間ほど過ぎただろうか、何かを感じ取ったシフがそっと声を出す。


「ご主人様、こちらの方向から足音が聞こえてきました。1人分です」

「1人分じゃと? それはまた舐められたものじゃのぅ」

「待てクローディア、それは囮かもしれんぞ。アイシャはどうだ?」

「うん、その1人分の足音は聞こえるよ。コソコソしている感じだけど、とても暗殺者って感じじゃないかも」

「ふむ…」


 さて、どういうこった? でもわざわざ真っ暗になってからこちらの方にやってくるなんて闇ギルドしか思い当たらないんだよな… まぁグレイの言う通り囮かそんなところだろう。


「ご主人様! 街の方から足音、4人分だよ!」

「お、どうやらそれが本命かな?」

「そのようだな。アイシャは4人分の足音を気にしろ、シフは1人分の足音を気にして接近して来たら攻撃しろ」

「わかったよ!」「了解しました」


 アイシャとシフの耳は良いからな、聞こえたといっても相手が足音を気にしないくらいの距離はあるんだと思う。これからしばらくはジリジリしながら待たなきゃいけないんだろう… この間がなんか嫌だね。


「あ、4人組の方… 二手に分かれたよ!」

「シフ、単独の方はどんな動きだ?」

「ゆっくりと近づいてきていますが、相当遅いです」

「よし、ではシフも4人組の方を重視しろ。ご主人は単独の方を無視する形になるからいつでもバリアを張れるように」

「オッケー!」



 そのまま時間が経ち、アイシャとシフによる実況だと二手に分かれた方は更に分かれ、四方から囲うような陣形で接近中との事。その間合いを鑑みると四方からの一斉攻撃ではないかと… あらあらまぁまぁ! それだと落とし穴に4人全員が落ちるんじゃないか? バリア解除のタイミングが肝だね! 別な意味で緊張してきたよ。


 そうそう、実は今の俺はシフと手を繋いでいるんだ。闇ギルドの連中がバリアを踏んだ時、俺の手を叩いて合図をしてくる予定だ。しかしこんな状況で女の子と手を繋ぐという異常なシチュエーション… これもまた緊張の原因でもあるね!


 そんな感じでちょっとだけドキドキしていたら、シフから合図が出される。俺史上最速の超反応でバリアを解除!


「なっ!?」

「グハッ! 痛ぇ!」

「うぐっ!」


「ご主人様! 1人回避した!」

「アイシャは追ってくれ! クローディアは穴に落ちた3人に雷撃を!」

「了解なのじゃ! 眩しいから目を瞑るがよい… 雷撃!」


 バリバリッ!


 反射的に目を瞑ったが、瞼越しでも分かるほどの閃光… これだけで目潰しになるんじゃないだろうか。


「ご主人様! 単独の方がこちらへやってきます!」

「俺が行こう。クローディアよ、灯りの魔法を使ってくれ」

「うむ、ではシフはアイシャの援護に向かうのじゃ」

「はいっ!」


 いつもバリアの中で使っている灯りの魔法が暗闇を照らすと… あれ?


「む? お前は昼間のエルフか… やはりお前も何か企んでいたか」

「え? あれ?」


 そう、そこにいたのは俺に突っかかってきていた方のイケメンエルフだった。なんか素っ頓狂な声を上げているけど、今この場にいるってだけで怪しさ満載だからね!


 グレイは一足飛びで近寄ると、またしてもイケメンエルフの腹部に重そうなパンチを繰り出す。なんて事だ… あのイケメンエルフは1日に2度も腹パンを喰らう羽目になるとはね。ま、同情は出来ないけど。


「ご主人様~、やっつけてきたよ!」

「おお! アイシャもシフもお疲れさん。怪我はしていないか?」

「大丈夫!」


 灯りの魔法のおかげで近づいてくるアイシャとシフを視認、逃げた1人がシフに引きずられて連れてこられていた。


「ふっふっふ、一網打尽じゃったのぅ主よ」

「そうだな。面倒な作戦だと思っていたが、確かにこれだと一纏めにできて良かったぞ」

「お外でご飯もボクは好きかも」

「はい、こういうのも良いですね」


 などと感想を語りながら次々と闇ギルドの者達を拘束していく… いっぱい持っていたオルトロスの毛皮を惜しげもなく使って簀巻きにしていくのだ。厳密には簀巻きとは違うのだろうけど見た目がそうだから良いんだよ!


 皆がそんな作業中、俺はというと… 自分達が寝そべっていた場所の後片付けをしていた。まぁ敷いていた物とかをしまうだけなんだけどね。


 そんなわけで… 全員が無傷での完勝で終える事ができたのだった。

 まぁエルフは何がしたいのか良く分かんないが暗殺者達はね… 俺達を殺しに来ているわけだし、手練れだという事もあって怪我人が出るかと思っていたから良かったよ。


 雷撃を喰らって失神している3人と、アイシャに殴られて失神している1人… まとめて4人をグレイが担ぎ上げる。両肩に2人ずつ4人を担ぐなんてさすがはオーガというところか、腕の長さや肩幅が無いと出来そうもないもんね。

 そして同じく失神しているイケメンエルフはシフが担ぎ、クローディアの灯りの魔法を頼りにダンジョンへと向かうのだった。

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