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173 地上が恋しいんだぜ!

誤字報告いつもありがとうございます。

「ご主人様! ドロップはミスリルだったよ!」

「そうかそうか。どうやら初回だからか、いきなりミスリルとはね」

「そういえばリャンシャンダンジョンでもそうじゃった気がするの」


 よしよし、ようやく80階層に辿り着き、そしてミスリルゴーレムの討伐を完了したわけだ。これはアレか? 一度地上に戻って休憩するには良いタイミングじゃないかな? 結構長い事ダンジョンに潜っていたし、そろそろ宿に泊まって休憩してもいい頃合いじゃない? 気にしないようにしていたけどそろそろお日様が恋しいよ。


「という訳で、一度戻ろうと思う」

「ふむ、まぁ主にしては長い事よく耐えたと称賛してやるのじゃ」

「そうだな。普段のご主人は10日前後で音を上げていたからな、よく頑張ったと思うぞ」

「おいおい…」


 まぁ皆の言う通りなんですけどね! でもいいじゃん! 何十日もダンジョン内にいると気が滅入ってしまうんだよ!


「私はご主人様に従います」

「ボクも!」

「よし、じゃあ一度戻って休養日を取ろう。じゃあ転移陣を使おうか」


 そんな訳で、途中から何日潜っていたのか分からなくなってしまったダンジョンアタックは、キリの良い80階層で戻る事にした。

 まぁ目的は83階層のモンスターハウスなんだからもうすぐじゃんって思うかもしれないが、ワンフロアに数日かかってしまうこの階層域だと予想がつかないしね。うんうん。



 地上に戻る。

 このペンチャンという街は、リャンシャンと違って街中にダンジョンがあるというわけではないんだ。だからダンジョンの出入り口から少し移動しないと街へは辿り着かない… まぁ魔物の棲むダンジョンが街中にあれば良い気はしないだろうけど、そう考えるとリャンシャンに住む住民は精神的にタフなんだなって思う。


 さて… 太陽の位置から察するに今は午後2時くらいかな? この時間だと宿も混み合っていないだろうから容易に取れるだろう。

 とはいえ、あまりにも安宿だと雑魚寝になってしまうからそこそこの宿を探さないといけない。


「それならば主よ、まずは貯め込んだ素材をギルドに売りに行こうではないか。そこで良い宿の情報を得るのじゃ」

「それが一番手っ取り早いよね、じゃあその方向で」


 しかし売ると言ってもどの素材を売ろうかね? このダンジョンの最高到達階層を考えれば、あまり深層の素材だとリャンシャンの時のように時間がかかるのでは? まぁいっか、そこは受付と話をしてみて長くなりそうなら止めるとしよう。



「お疲れ様です皆様! 随分長い間潜っていらしたようですけど… これは高価な素材を期待しても良いって事でしょうか?」

「高価というが、値付けはちゃんとできておるのじゃろうな?」

「大丈夫です! ちゃんとリャンシャンからの情報は共有していますので、リャンシャンと同等の値段で買い取らさせていただきます!」

「そうか」


 このおばちゃ… いやいや! この受付嬢さんは見た目年齢の割にはハキハキと喋るんだな… まぁ話好きってイメージの通りだけど、この様子だと世間話の合間に何かしら情報を抜き取られてしまうそうな勢いだね、気をつけないと。


「じゃあそうだね、30階層から40階層までの素材を出すよ。買取りよろしくね」

「ええ? もっと深い階層の素材はないんですか?」

「後、ちょっと良い感じの宿を教えてもらいたいんだけど」

「え? あの… スルーですか?」


 はいスルーです。話術の巧みな人と喋っていると、いつの間にかペロッとアレコレ喋ってしまうんだよね… そんな時はスルースキルを使うんです! はい、俺は誘導尋問に弱い自覚があるから自衛しますよ!


「ほれ、主の言うた通りじゃ。これらの素材の買い取りを頼むのじゃ」

「はぁ…」


 グレイのアイテム袋に入れていた空の背負い袋を取り出し、いかにもそこから出しました風を装って袋の中で収納から魔石と素材を多少出す。今までの最高到達階層は31階層との事だから、どれもこれも新規になるはずだから問題は無いだろう。


 受付嬢さんは不満そうな顔をしているが、素材や魔石を扱うその手腕は一見して分かるほど手馴れていたね。まぁ見た目が30代に見えるから、それだけの経験はあるという事だね! まぁ女性に年齢の話はしないけどさ。


「良い感じの宿とはどれくらいのレベルですか?」

「そうじゃの… 貴族が泊まるほどではないが、防犯などに力を入れておるところが良いじゃろうな」

「なるほど… それだと1泊1人銀貨5枚ほどの商人が集まる宿があります、そこでよろしいでしょうか?」

「良いのではないか? どうせ宿に行っても食堂などに行かんじゃろうから、鬱陶しい商人がいたとしても平気じゃろ」

「そうだね、じゃあそこを教えてもらえる?」

「はい。ギルドを出て街の中心部に向かってしばらく歩くと『ペンチーソウ』という宿と『ペンサンピン』という宿があります。その2店がこの街では中級に値する宿となっております」

「ふむ、ペンチーソウとペンサンピンという宿じゃな? あいわかったのじゃ」


 中級の宿か… まぁ下手に高級の宿に泊まるよりも気が休まりそうだな。仲間とはいえシフの立場は奴隷のままだし、高級志向の宿だと奴隷の宿泊を嫌がるかもしれない… せっかくの地上なんだし、なるべくケチの付かない方向で選んでいこうかね。



 ギルドを出て街の中心部に向かって移動を開始! そういえば満足に街並みを見る前にダンジョンに入ったんだっけ… まぁ少なくともリャンシャンと同等レベルの規模だという事はぱっと見で分かったし、ナイトグリーン王国の王都のように臭いわけではないのが非常に良いね! あの王都はぶっちゃけもう二度と行きたくないレベルだったしな… さすがにもう用事なんて無いと思いたい。


「主よ、あそこにペンチーソウと書かれた看板が見えるの。むむ? ペンサンピンという宿はその隣じゃったか… どちらにするのじゃ?」

「ぶっちゃけどっちでもいいと思うんだけど、皆はどう思うんだ?」

「ふむ、ギルドの案内の仕方からすると、どうしても最初に見えるペンチーソウに入るのではないかの。じゃから意表をついて奥にあるペンサンピンとやらに行ってみようではないか」

「ふむふむ、じゃあそうしてみようか」


 変わった基準で決定するクローディアを見つつ、俺達はペンチーソウという宿を通り過ぎ、奥にあるペンサンピンという宿に向かうのだった。

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