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172 闇ギルド仕事中

誤字報告いつもありがとうございます。

 SIDE:闇ギルド、チームリーダーポール


 俺達は出来得る限りの手段を使い、最速の行動にてわずか20日間でリャンシャンへと辿り着いた。まぁ当然強行軍だった訳だから皆消耗はしているがな…

 とりあえず現状捕獲対象と事を構えるのは悪手でしかないから休息を取らないといけない、まずは宿屋だな。


「よし、あまり経費はかけたくないが今日くらいは良いだろう、宿を探して美味い飯と酒で前祝と行こうぜ」

「おお、話が分かるじゃねーかポール、そのついでに女はダメか?」

「ここはダンジョン都市らしいからな、娼館も探せばあるんだろうが体を休める事を優先させろ。逆に疲れさせてどうするよ」

「わかってねーなポール、あの心地良い疲労感が良いんだろうよ」

「今日はダメだな、それは依頼完遂まで取っておけ」

「チッ、お堅いことで」


 アホかこいつら… 確かに前祝という言葉を使ったが、現地に到着しただけでまだ何も始まっていねーんだぞ? それなのに女とか無駄金使わせようとするんじゃねーよ、それは自分の金で行けよ。少なくとも俺はそうするぜ? まぁ他人の金なら有難く行くが、今回は俺が任されている依頼の経費だ… 俺だけが行くのならともかくお前達には出してやらん!



 それにしてもここがリャンシャンか、確かに活気があっていろんな奴がうろついている… これは俺達のような余所者が動き回るのに都合が良いじゃねーか。まぁダンジョンが攻略されたという噂は結構前の事だ、その噂を聞いて一旗揚げにきた冒険者や商人で賑わっているんだろう。まさに都合が良いもんだ、これで俺達が例の捕獲対象の事を嗅ぎまわってもただの追っかけにしか見えないからな… いや、俺達の面構えを見るに追っかけというよりも悪徳商人のようにしか見えないか。フハハッ! まぁ見た目の事はどうでもいいか、早く宿を探して束の間ののんびりを楽しみたいぜ。



「なかなか旨かったじゃねーか、田舎だと思っていたが侮れないもんだな」

「ああ、酒も良い物が流れてきている、この品質であればこの街に長期滞在しても苦にならないぜ」

「ああ、なんでも王都を拠点にしている老舗がこの街に支店を出したんだってよ、それで普通の食料品だけじゃなく酒肴品も流通し始めたらしいぜ」

「そうなのか。まぁ何日かかるかは不明だが、旨い飯と酒があれば確かに苦にならないかもな。よし、じゃあ明日からの流れを説明する。とは言ってもそれほど変わった事をする訳ではない」

「おう、まずは例の冒険者パーティの動向の把握だろ? 何日ペースでダンジョンに潜っているのかと、次に戻ってくるだろう時期の予測」

「その通りだ。パーティ名は明かされていないがオーガにエルフに獣人を連れたパーティだ、この辺りでは話題に事欠かないだろう」

「おっし、じゃあ役割分担だな? 俺はギルドの受付嬢からの情報収集をするぜ、ついでにナンパもするがな」

「おいおい、手籠めにするのは構わんがしつこくしすぎて失敗だけはするなよ? 今後の活動に支障をきたすからな」

「大丈夫だって、俺のナンパ成功率は高いんだぜ? 70%はあるな」

「ギャハハハッ! 3割失敗してんじゃねーかよ!」

「まぁやる事を理解しているなら話は早い、明日は早朝から動き出すからそのまま寝ろよ」


 ふぅやれやれ、普段は単独で行動している奴らだからチームプレイがちゃんとできるか不安だったが、これならなんとかなりそうだ。元々難しい仕事ではないというのもあるが、捕獲時にあまり人目につくのはマズいだろう。襲撃ポイントも探しておくか。



 翌朝、3人はちゃんと起きてきて仕事のための準備をする。大事な物や貴重品、麻痺毒などは俺がギルドから預かっているアイテム袋に入れてある。だから各自装備品の確認をするだけだ。


「よし、じゃあお前は昨日言っていた通りギルドの受付嬢を担当しろ。一番情報を持っているだろうが口は堅いから先走って暴走だけはするなよ?」

「おうさっ!」

「残り2人はダンジョンに向かい、出入り口で駄弁っている奴をターゲットにしろ。連中の追っかけが出待ちしているかもしれないからな、運が良ければ出入りした時間を聞き出せるかもしれん」

「わかったぜ」

「俺はギルドにいる冒険者から聞き出してくる、まぁ早朝だと話を聞いてくれるやつはいないかもしれないがな。後は連中を見つけ出した後の襲撃ポイントの調査か」

「朝の冒険者ギルドはせわしないからな、暇な奴を探す方が大変だろうよ」

「じゃあ行くぞ! 調査中で仕方ない場合を除き、夕暮れ前にはこの宿に戻って来い」

「「「おうっ!」」」


 こうしてお目当てであるエルフを探しに出かけるのだった。



 そして夕暮れ時


「おいポール、どうやら例の冒険者パーティ… もうずいぶんと姿が見えないらしいぞ」

「ああ、俺もその情報は耳にした」

「じゃあどうするんだ?」

「面倒だが移動するしかないだろうな」

「移動するったってどこにだよ? あの連中がどこに行ったのか分かってるのか?」

「いや、具体的な場所は分からん。…が、どうせ冒険者の考える事だ、ここのダンジョンを攻略したから今後は違うダンジョンとか考えてるんだろうぜ」

「なるほどな! 無駄に名声が欲しい奴の考えそうな事だぜ!」

「つまり… リャンシャンから一番近い他所のダンジョンといえば、ペンチャンダンジョンだろうな」

「せっかく旨い飯と酒にありつけたってのにもう移動かよ… こりゃご主人である人間種の冒険者にはキッチリお礼をしないといけないな」

「よし、じゃあ2日連続になってしまうが明日からの事を考えて今日は英気を養おう。昨日と同じく酒を飲んでもいいぞ」

「「「おおおお!」」」

「ただし、飲みすぎるなよ?」


 次はペンチャンの街か… 面倒をかけさせやがって。だがまぁ良い、俺達のホームから遠ざかる訳じゃないからな。むしろ人が集まりすぎているこの街よりも仕事がしやすいかもしれん、移動は面倒だが。

 よし、これから移動時にはまともなものは食えないんだ、俺も英気を養うとするか。

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