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158 ナイトハルトが戻ってきたよ

誤字報告いつもありがとうございます。

「いや、やはり魔境という場所は恐ろしいな。これほどの浅層でありながら魔物の数が多い」

「そうじゃな、魔力の無駄使いをしておるとすぐに戦えなくなってしまうのじゃ」

「やはり魔術師だけのパーティだと継続して戦闘をすることは厳しいと言わざるを得ん。剣の修練は増やすべきだな」


 ガラハドとクローディアの会話が聞こえてくるが、確かに魔物は多い。特に群れているわけではないんだけど、割と密集しているという感じだね。


 そろそろ昼になる、グレイ達は時間に遅れる事は無いだろうがこの2人は要注意だな。魔法関連での論議が白熱すると、多分時間を忘れるタイプだろ… 腹ペコオーガを待たせるわけにはいかないからここでちょっと口出しをするか。


「クローディア、そろそろ集合地点に向かおうか。もう昼になるぞ」

「む? 確かにそろそろ時間じゃな、グレイの奴を待たせるとしばらくうるさいから戻るとしようかの」


 やはりクローディアも同じ認識をしているね、グレイを待たすと機嫌の悪さが顔に出るんだよ… ただでさえ顔が怖いのにさらに悪化するからな! 周囲の警戒をしつつも集合地点へと向かう事になった。


 昼食はグレイのアイテム袋から出したふりをして、ポテトとオニオンリングを出す事に。俺達はいつも普通に食事をとっているが、普通であれば狩りの最中に腹一杯になるまで食べる人はいないという。まぁね、満腹だと体の動きが鈍くなるし、警戒心も薄れるからかもしれない。

 まぁこれだけだと足りないだろうが狩りの最中だ、狩った獲物を食べる事も出来るので大喰らいのグレイの心配はいらないな。あのアイテム袋には調理器具も入っているし、勝手に肉を焼くのだろう。



 そんな感じで夕暮れ直前まで訓練という名の狩りをし、その素材はグレイのアイテム袋に入れられる。これらの素材は食べられる物は拠点にいる者で処理をし、残りは塩漬けなどにして保存食へと加工される。


「いや、実に有意義な訓練であるな! たとえ魔境の魔物が相手だとしても、ヒビキ殿のパーティがいるだけでこれほど安心して戦う事ができるとは」

「いずれはそなたらだけで戦えるようになってもらわないとならんのじゃ、まずはレベルをしっかり上げて部下達をけん引するのじゃ」

「そうだな。俺達が模範となり、今後集まってくる部下達を指導していかなければいけない」


 バンガードに戻って早々ガラハドとクローディアがまた長くなりそうな話を始める… これはスルーしてもいいよね? こっそりとこの2人から距離を取り、いつも寝床にしている塀際までやってくる。


 ふと見ると、グレイとシフが対人訓練をしている… まぁ疲れないのかね、あの2人は。

 しかしグレイの金棒とシフの釘バットがガチンガチンと重そうな音を立ててかち合っている… もう音だけで強いと確信できる感じだな、俺だと受けきる事すらできるかどうか… うん、難しいね。

 アイシャはいつの間にか俺の横にいて、毛皮を敷いてリラックスしている。意外とこの子もブレないよな。


 まぁこんな感じで数日が過ぎていった。




 そして俺達がこの拠点の戻ってきてから20日ほどが過ぎた頃、ナイトハルトが数台の馬車と共に戻ってきたのだった。


「ヒビキ様、随分と時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。ガラハド殿との話し合いにてリャンシャンに立ち寄り、魔術師団員とその家族を3組お連れしてきたんですよ」

「あ、そうなんだ! その家族ってここに定住する予定なの?」

「ええ、そのように聞いています。こちらとしてもこの拠点に定住者がいるだけで荒れずに済みますからね、しかも腕の良い魔術師となれば防犯面でも安心ですし」

「ふむふむ、それは良い事だね。まぁ俺達も魔境進出に向けて道を作ったりとやっていたから、倉庫の方に猪の物ばかりだけど素材を入れておいたよ」

「おお! すでに倉庫を活用されていたとは! ではその素材は私達カヤキス商会が責任を持って売り捌いてきましょう」

「うんうん、よろしく頼むよ。もう魔術師団だけで猪程度なら楽に狩ってこれるようになったから、それなりに素材も集まると思うよ。

 それでなんだけど… ナイトハルトの方でアイテム袋を手に入れる伝手とか持ってないかい? 金なら買えるだけは用意できると思うんだけど」

「アイテム袋ですか… まぁ正直言えば私達商人が仕入れたとしても売るとは思えないですね。私でさえ手に入るのならば自分の商売で使った方がすぐに元は取れますし、それ以降の儲けにも繋がりますので」

「デスヨネ… はぁ仕方がない、素材輸送のためには必須だと思ったんだけど手に入らないならどうしようもないね」

「ご主人よ、このアイテム袋を手に入れた経緯を忘れたか? 欲しいというのであればまだダンジョンアタックをすればいいのだ」

「グレイ、そうは言うけどなかなか時間がね」


 そうなんだよね… 確かに俺達が持っているアイテム袋はダンジョン産だ、しかも隠し部屋からのね。でもこうして魔境攻略のために色々と着手し始めた今、ダンジョンアタックのために抜けるというのはいかがなものか… 単純に考えても数ヵ月はかかると思うし、その間この拠点の者達は何をすればって話になるよね。


「それは問題ないのではないか? ガラハドたちは今後ほかの魔術師達に指導する時間が欲しいじゃろうし、ナイトハルトも販路を考える時間も必要じゃろ? とりあえず馬車2台分ほどの素材もあるのじゃ、これを売りに行くというだけでも2ヶ月は軽くかかるのではないかの」

「クローディアは他のダンジョンに行く事には賛成なの?」

「賛成というかじゃな… まぁ他の者達にも準備をするために時間が必要じゃろうと思っただけじゃ。そしてその間私達はやる事がないじゃろ? ならばダンジョンに行き、新たなアイテム袋を探すというのは非常に建設的じゃと思うがの」


 ふむふむ… まぁ確かにとっかかりだけしかやってはいないが、新しくこの地に住民が増えた事だし馴染むためにも時間が必要か。

 というか、リャンシャン以外のダンジョンってどこにあるんだ? ぶっちゃけそれ次第って面もあるんじゃないのかな。


「ダンジョン探索においてはヒビキ様達のパーティはトップクラスだと思います。なのでダンジョンに行かれるのであればレアな素材はこちらに持ち込んでくださると非常にありがたいですね」

「そうか…」

「ところでヒビキ様、以前お話したこの拠点の名称は決まりましたかな?」

「ああ、それはもう決まっているよ」

「ほほぅ! して、その名はなんと?」

「バンガードだ!」

「バンガード… なるほど、何やらいい響きですね。では本日よりこの拠点はバンガードと名乗りましょう!」

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