152 シフ用の武器と冒険者ギルド
誤字報告いつもありがとうございます。
リャンシャンダンジョンである!
今回の移動は、シフの事を一度も背負わないで自身で走ってもらった。前回と違い15日かかってしまったけど、まぁダンジョンアタックの前の体力作りみたいな感じだね。
「こ、ここがリャンシャンですか… 意外と賑わっていますね」
「ダンジョン都市だからね、冒険者が大多数って欠点もあるけど」
「そうですか」
そう、あの寡黙だったシフがかなり喋るようになったのだ! まぁその功績はアイシャにあるんだけどね… アイシャがニコニコしながら先輩ぶって話しかけ続け、シフにダンジョンでのアレコレを教えていたんだ。
「さて、ダンジョンに入る前に武器屋だな」
「うむ。まさか俺もシフが剣ではなく鈍器を選ぶとは思わなかったぞ」
「そうじゃのぅ… 主の持つ釘バットにあれほど目を輝かせるとは…」
うん、シフにどんな武器をって話になった時、グレイが俺の手持ちを一通り見せてやるといいと言ったのが原因だ。
グレイの持つ大剣はオーガじゃないと扱えないほど重くて長いので却下になったが、俺用に作ってもらってた短剣や普通の剣、警棒もどきに釘バットをモチーフにした棍棒などを見せてやったんだ。そうしたら釘バットの形状がとても気に入ったご様子で… 金棒も大して形は変わらないと思うんだけどね、なぜか釘バットがクリティカルヒットしたらしい。
俺は警棒もどきと短剣を使っているので釘バットを譲る事にし、1本しかないからスペアを頼まないといけなくなったのだ。
「ご主人よ、もういっそミスリルで釘バットを作ってみても良いのではないか? その警棒とかいう武器もミスリル製なのだ、壊れにくいし魔力を通しやすくなるのであれば使い勝手は良いと思うんだが」
「そうだねぇ。どうせ今日から80階層に籠るんだ、インゴットの5個や10個盛大に使ってやるか」
「うむ、装備に手を抜かない所は非常に好感が持てるぞ。戦闘中に武器が壊れた時ほどの絶望はないからな」
ミスリルの在庫はまだまだある、釘バットの形状で総ミスリル製にしてもインゴット5~6個で足りそうだしな… それをメインウェポンと考えて、予備用も含めて2本頼んでいくか。
「ええ? お客さん本気ですかい?」
「もちろん本気だ。鉄のインゴットも山ほどあるから支払いは金貨でも鉄でもいいよ、なんならミスリルでも」
「おお? 相変わらずの太っ腹だね! こっちとしてはミスリルを打つ経験を積めるし、鉄も多めに手に入るからお客さんの依頼する仕事は好きだよ!」
「それは良かったよ。どれくらいかかりそう?」
「そうだねぇ… その釘バットという武器は2度目になるけど、ミスリル製となればちょっと時間は欲しいな。10日ってところだな」
「10日ね、じゃあそれでよろしく頼むよ。その間俺達はダンジョンに入って鉄とミスリルを集めてくるから」
「商談成立だな! じゃあ任せてくれ!」
さすがに何度も頼んだ鍛冶屋、色物とも言える武器の発注でも嫌な顔はされないね。まぁ個人的に鉄のインゴットは余しているんで、それで支払いができるというのも魅力的な店なのだ。今回も多めに鉄を置いて行こうかね、これは決して不良在庫を処理しているわけではないからね!
「さて、じゃあダンジョンに入る前にギルドマスターのところに顔を出しておこうか」
「む? 俺はロビーにいてもいいか? ギルマスの部屋に行ったからといって、俺に出来る役割はないからな」
「ああ、それは構わないよ。説明はクローディアがするし、シフの顔を見せる程度しか用事はないからな」
「じゃ、じゃあボクもグレイと一緒に待っててもいい?」
「ああ、アイシャも話し合いの場の空気は苦手だもんな、絡まれないようグレイから離れるなよ?」
「はいっ!」
よし、いつも暇そうで眠そうにしていた2人はギルドマスターの部屋に行く事を拒否! これは想定内だ。まぁ今までよく付き合ってくれてたなっていうレベルだもんな、まぁグレイの言う通り2人がいてもいなくても内容は変わらないから問題無しだな。
それに… まぁアイシャが1人でギルドのロビーにいたとしても、ぶっちゃけ絡んでくる冒険者もいないだろう… 以前決闘した事を覚えているならね。
まぁ心配があるとすればここのギルドの受付嬢だな! 隙あらばアイシャを構い倒して撫でまくっていたからね、しばらくぶりだから恐らく撫でまわすだろう。グレイという壁を突破できるならね。
「戻ってきたか、思ってたよりも早かったが何か掴めたのか?」
「いや、残念じゃがナイトグリーン王国の王都の様子を見てきただけじゃ。まぁ奴隷商も見てきたがな」
「ふむ、まぁそこにいる兎人族を見れば分かる、買ったのだろう?」
「まぁの。しばらくダンジョンで鍛えてやり、自身を守れると判断した時に私達と同様奴隷解除されるじゃろう」
「まぁそれが正解だな。弱い時に隙をついて拉致でもされたら取り戻せなくなるからな、奴隷商売に厳しいアキナイブルー王国内でも馬鹿な奴は後を絶たないからな」
ギルドマスターにはシフの顔を見せ、俺達の仲間だという事を知らせておく。そしてクローディアがナイトグリーン王国の王都で見てきた事を話していき、情報を共有している。
「ふむ、まぁこちらで調べた事と大差ないな、つまりナイトグリーン王国は進歩していないという事が良く分かった。ご苦労だった」
「ああそうだ、一つ聞いてみたい事があったんだ」
「お? 俺の知っている事なら教えてやるぞ? 一体どんな事だ?」
「アイテム袋を複数欲しいんだよね、買えばどれくらいする物なんだ?」
「アイテム袋か… あれは袋の内部に応じて金額が変わるし、何よりその手の物は商人が目ざとく買い漁っていくからなぁ。この机くらいの大きさでも金貨1000枚はくだらないぞ」
ギルドマスターの机サイズか… 俺の方から見て縦が1.5メートル、横が2.5メートルで高さが1メートルほど… という事は、3.75㎥か。しかし思ったよりも高いものなんだな、そして俺達が拾ったアイテム袋は良い物だったという事も分かったね。だってあのアイテム袋、そこらを走っている馬車の荷台くらいはいるみたいだから、軽く計算しても15㎥はあるはず。大体荷台を後ろから見ると奥行きが3メートルほどあり幅は2メートルほど、そして高さは2.5メートルほどだから大体そのくらいだろう。
「まぁ残念だがそうそう手に入るような物ではないという事だ」
うん、本当に残念だよ。
 




