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誤字報告いつもありがとうございます。
なんだなんだ、今日はえらい勢いがいいな。まぁレベル上げは望む所だし、全員が強くなってくれるなら俺も安心というもの… 否は無い。
「やはり何と言っても食べ物の心配の無いダンジョン攻略など夢のような話じゃからな、己を鍛えれば主もアイシャも強くなる… 良い事じゃの!」
「ああ全くだ。俺も過去に失われた誇りを取り戻し、強くなる事に没頭できるだろう… これもご主人がいてこそだ」
「ご主人様… ボクも強くなってご主人様を守ります!」
んんん? オーガはそうね… 戦闘種族的な人達だって言われても違和感ないし、なんかの小説で読んだ事があるかもしれないが… エルフってこんなに好戦的だったの? なんかクローディアがすっげぇやる気に満ちてるんですけど…
「良いか、私達で主のレベルを上げてハンバーガーの種類を増やすのじゃ!」
「「おー!」」
あーなるほど、それが狙いだったか… バトルジャンキーというわけではなかったのね。しかしなんて言うか、個人のレベルとスキルレベルは別だと思うんだけどね… まぁでもこの3人は良く食べるし、近い内にまたレベルも上がるのは間違いないだろうから良しとするか。
そんな訳で、ギルド登録したものの、一度も依頼を受ける事無くオーラスの街を後にした。
「ふむ、主のいた世界では魔法が全く存在せずに科学というものが発達していたと?」
「そうそう。人間の知恵によっていろんなものが生み出され、俺の世代ではかなりすごい事になってたよ。車もそうだし生活インフラや飛行機やロケットとか、まぁまだ人間が他の星に行って生活するって事は出来ていなかったけどね」
「むむむ… 空を飛ぶ乗り物か、それは興味があるのぅ」
「翼を作り、風の当たる角度まで完璧に計算されて浮力を生み出す… 航空力学なんて専門の学問とかもあるな」
「ほほぅ、それは是非行ってみたいのぅ。もしも帰る手段があったのならば、私も連れて行ってはくれないか?」
「マジで?」
オーラスの街を出て街道をしばらく歩くと、直進する道と左に折れていく道との分岐があった。当然南西を目指すという事で左に行く道を選んで進んでいるのだが… 道中暇なのでちょっとばかり世間話をしていたら、クローディアが日本の事に食いついてきたのだ。なんというか知識欲が半端ないな、大学生の俺が言うのもなんだけど。
「しかしご主人の国では争いは無いのだろう? 鬱憤はどこで晴らすのだ?」
「そうだねぇ… うーん、言われてみれば鬱憤を晴らす場所ってあんまり無いかも」
「ふむ… ならば闘争心を尊ぶオーガの一族には住みにくい国かもしれんな」
「そうかもねぇ」
うん、グレイはこの時点で興味を失ったようだな。まぁ確かに殴ってしまえば罪に問われる国だから… 俺以外の日本人ってどうやって鬱憤を晴らしているのやら。まぁ賭け事とかスポーツとかですかね?
「でも! ご主人様のいた国は食べ物がすごく美味しいんですよね? ボクも行ってみたいです!」
「食べ物はねー、俺も自国産ばかりを選んで食べていたくらいだし。島国だから海産物が特に美味しいね」
「海産物… じゅるり」
アイシャは食い気が満載だ。まぁ食い気といえば皆そうなんだけどね… 俺はすでに飽きてしまった通常のハンバーガーやチーズバーガーを、今でも旨いと言いながら食べているくらいだしね。
あー早くスキルレベル上がらないかなー! 次はどんなバーガーが追加されるんだろう… 欲を言えばジュースやお茶よりもコーヒーが飲みたいね。ああ、コーヒーシェイクってのもあったな! 甘いけど好きだったんだよなぁ。
オーラスの街をでて早数時間、周囲は荒野といった感じで見通しが良いようで所々に大きな岩があり、意外と隠れる場所は多そうだ。
道中は相も変わらず狼系の魔物が出没し、間合いに入り次第クローディアがマジカルビームを撃ちまくる。そんな事が数度あり、グレイが一言申した。
「クローディアよ、1人でやり過ぎなのではないのか? せっかく大剣が手に入ったのに使う暇がないではないか」
「んむ? なんも手間が省けて良いじゃないか」
「そうではない! 俺にも獲物を寄こせと言っている!」
ふむふむ、グレイは戦闘狂と… まぁ確かに、俺のレベルが5に上がるくらいは倒しているからね… ちなみに倒した狼は丸ごと俺の収納に入っているから機会があれば売ったりとかできればいいなって思っている。
「ところでパーティってやつは、一緒にいるだけでなれるもんなの?」
「いや、一般的な冒険者などはお互いが了承しないと出来ないらしい… 詳しい事は分からんが。しかし今このパーティは、ご主人がいて全員がご主人の奴隷だ。そういった場合は特に何もせずともパーティ扱いになるという事は分かっている」
「そうなんだ… なんだか奴隷ってシステムは本当に搾取されるだけって感じなんだな」
「奴隷とはそういうもんだ。まぁその奴隷になる経緯に問題は多くあるがな」
ま、ここにいる3人は犯罪とかで奴隷になった訳じゃないって聞いてるから、そのシステムに苛立ちを感じる事はあるんだろうな…
「あ、そういえば昨日言ってた話なんだけど、過去の勇者のレベルが65だっけ? それが最高って言ってたけどクローディアならすぐに超えそうな気がするんだけど?」
「何を言っている。確かに私のレベルは48じゃが、49にするのに何年かかると思っている?」
「え、そんなに時間がかかるの?」
「まぁの、単独で自分と同等レベルの魔物を数百と狩らないと上がらんのじゃよ。今のように4人パーティで得られる経験値が4分割じゃと… 分かるな?」
「そういうもんか…」
確かにゲームでもそうだったかも… レベル40台というとそれほど高い気はしないが、格上狩りをしないとそうそう上がるもんじゃないもんな。
「ご主人よ、ダンジョンに行けばそれらは解決するぞ。階層次第では強い魔物がどんどん出てくるしクローディアが預かっている杖の威力考えると、結構な階層に行けるのではないか」
「そうじゃの。しかも普通であれば深層に行くために多くの食料や資材を満載持ち込まねばいけないが、主が食料に休むための壁を作れるから他の冒険者以上に効率良く進めるじゃろう」
「あー確かにねー、飯も飲み物も持ち歩く心配ないからな」
「しかもだ、ご主人の出すハンバーガーで時間制限付きだが付与がかかる。これを上手く利用すれば格上とだって安全に戦えるんじゃないかと俺は思っている。
ご主人のおかげで体力も腕力も取り戻しつつある… ダンジョンに到着するのが待ち遠しいな」
そ、そうっすか…




