147 奴隷購入
誤字報告いつもありがとうございます。
以前皆にやった奴隷契約書に血を垂らし、ウサミミ奴隷についている首輪にも同じことをする。奴隷契約書にはクローディアがやられていたのと同じく魔力吸収の文字が見えたため、首輪に魔力を吸収されているのだろう。まぁこれは宿に戻ったら解除してやらないとな。
「よし、これでこいつは今日からあんたの奴隷だ。何をしても構わないが売った後で急死したとか言われてもこっちは関与しないからな、そこだけ覚えておいてくれ」
「ああ、邪魔したな」
こうして兎人族の奴隷を手に入れた。
しかしこの子、一言も口を開かないな… まぁあんな環境の中にいたんだ、精神的に参っていても不思議ではないからな。とりあえず着る物は体型的にクローディアのものを流用できるだろうし、まずは着替えからだな。その時にお手拭きで全身を拭ってもらえば衛生的にも何とかなるだろう、そうしたら飯だな! ああ、まずはポテトだけでも先に食べさせておくか、体力を消耗しすぎて歩くのも大変そうだしね。
名前も知らない奴隷を連れ、3人で奴隷商店街を抜けていく。やはり臭いのせいなのか、この周囲には民家はないようだ。
「主よ、ちょっとここらの路地に入ってこの者を身綺麗にしないか? 首輪の調整もせんといかんしの」
「そうだね、着替えはクローディアの予備で良いよね? お手拭きと着替えを出すからちょっとやってきてくれ、さすがに女性の着替えや体を拭くなんて俺がやるのは問題だからね」
「む? なんでじゃ? 主なのじゃから何も問題は無いじゃろう。それに2人でやった方が早いのじゃ!」
「あ、ハイ」
さすがに奴隷とはいえ… いや、奴隷だからこそ主人という権限で女性の尊厳に関わる事をするのはどうかと思ったが、クローディアに軽く論破されてしまった。うん、仕方がないね。
布切れ1枚脱がすと即全裸という、さすがにこれじゃあ寒くて体調を壊すだろうに。路地とはいえ人が来ないとは言い切れない、手早く済ませないといけないね。
まずはお手拭きで全身を綺麗に拭ってやり、髪の毛や大きな耳も綺麗にする。服を着せるのはクローディアに任せ、俺は奴隷契約書に記してある魔力吸収の項目を削除して血を垂らす。首輪も同様に処理し終わる頃には着替えも済んでいたので、ポテトだけじゃなくオニオンフライも食べさせなきゃね。
「よし、じゃあまずこれを飲んでくれ、オレンジジュースと言って甘い飲み物だ」
「…………」
何も言わないがオレンジジュースを受け取り、ストローに口をつけてカップを傾け始める。
「あ、それを吸えば良いんだよ。傾けなくても大丈夫」
俺の説明にビクっと動きを止め、言われた通りに吸い始めたようだ。ストローに黄色い液体が通っていくのが見えるからね!
「んっ!?」
「甘くて美味しいじゃろ、それは私も好きなやつじゃな。主よ、私にも一つ」
「あいよ」
かつてグレイとクローディア、アイシャが見せたのと同様、驚きの表情を頂きました!
「じゃあ次はこれを食べてくれ。これは体力を回復する効果があり、こっちには魔力を回復する効果がある。少しは体が楽になると思うよ」
ポテトフライを俺、オニオンフライをクローディアが持ちウサミミっ娘の口に放り込んでいく。これまた予想通り、一口食べた直後に驚愕したって顔になる。
「美味しいじゃろう、主と共にあれば今後も美味しい食事にありつけるのじゃ。お主もこれから鍛えてやるが、きっと人生の評価がひっくり返るじゃろうから安心するがよいのじゃ」
「宿に俺達の他に2人待っている、その時に自己紹介するか」
「そうじゃの。もう匂いも取れているし戻るとしようかの」
「む? 早かったではないかご主人、そいつが新しい奴隷か?」
「ああ、クローディアのお眼鏡に叶ったんだよ。まぁこれから仲間になるからよろしく頼むね。言わなくても分かっていると思うけど、俺はこの子を奴隷扱いをするつもりはないから皆もそんな感じで」
「わかっているぞご主人、俺達がご主人にしてもらったように扱えば良いのだな? とりあえず近接戦闘の訓練なら俺に任せてくれ」
「落ち着くのじゃグレイ、こやつは支援候補じゃから魔法中心で鍛えていくつもりじゃ」
「あ? 魔法使いだといっても体力と緊急時の近接攻撃くらい出来ないでどうする、必要な事だぞ」
「………」
あ、クローディアが黙ってしまったぞ! まさかのグレイに言い負かされたのか? まぁでもグレイの言う事はもっともな話だ。魔法使いだからって逃げなきゃいけない時に走れなかったら困るもんね、担いでいくわけにもいかないし。
「まぁアレだ、とりあえず自己紹介でもしておこうか。俺は響だ、役割としては支援だな」
「私はクローディアじゃ、戦闘では魔法攻撃を担当しておる。他にも交渉事なんかもやっておるな」
「俺はグレイ、見ての通りオーガの戦士だ。近接担当だな」
「ボクはアイシャだよ! 戦闘だとグレイの横とか後とかで戦ってるよ!」
「わ、私はシフといいます、何ができるかは分かりませんがよろしくお願いします」
ふむふむ、シフというのね。半分近く失ってしまっている耳が非常に痛ましいが、汚れを取った状態になればこの子も美人さんかもしれないな。
しかし残念な事に部位欠損を治療するなんて言う奇跡は持ち合わせていないからな… このままいくしかないだろう。
「さて主よ、思ったよりも早くに奴隷が見つかったがもう少し近辺を調べておきたいのじゃ。急いで鍛えてやらねばとは思うのじゃがな」
「まぁそれが目的の一つでもあるからね、それは構わないよ」
「さすがにこれ以上主を連れ回すのはどうかと思っての、次はグレイを護衛として連れて行っても良いか? さすがに私1人じゃと奴隷狩りが来そうでの、負けはせんが騒ぎになれば憲兵が悪さをしてきそうなのじゃ」
「ああ… 言いがかりをつけられた時点で負けになってしまうんだな。グレイはそれでいいか?」
「む… まぁ臭いのはある程度耐えられるからアイシャよりかはマシだろうな、構わんぞ」
「アイシャはシフを見てやって欲しいのじゃ、リャンシャンに戻るまでに体力だけでも回復させとかないといかんからの」
「うんわかった! 一緒にゴロゴロしてるね!」
あはは、一緒にゴロゴロするんだ。まぁアイシャらしくていいかもしれないな。
 




