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134 収穫はボア!

誤字報告いつもありがとうございます。

 俺にとって初めての魔境での狩り… ダンジョンと違って自然の中でってのが緊張を誘うね。ダンジョンだとどうしてかわからないけど整備された道を進むけど、ここは自然の大森林だ… 足元に飛び出している草や根っこにも気を使わないといけない… こんなところで転んだりしたら恥ずかしいしね!


 アイシャが斥候の如くススっと前に出ていく、これはダンジョンでも変わらない行動だ。前衛にグレイが立ち、その後ろに俺が歩いて最後尾にクローディアという編成だ。

 グレイとクローディアはともかく、俺とアイシャの戦闘経験はダンジョンで養殖されたものだ… まぁパワーレベリングによって上げられたレベルだという事だね! つまり初心者だって事だよ!


 アイシャは獣人の勘なのか、特に戸惑いのようなものは感じられないから俺だけが戸惑っているって事だ。こりゃー足手まといになっちゃうかもしれないな。


 大森林と言っても大地の上、時折吹き付ける風が頬を撫でていく… いやぁこんな状況で魔物を察知なんて出来るの?


「慣れれば分かるものだぞ。特に魔物は殺意を持って襲ってくるからな、その殺気を感じ取れば良いのだ」

「いや、もうすでに難易度高いんだけど?」

「心配はいらんのじゃ。主もすでにレベル90台に乗っておる、そう言った感覚もダンジョンで養われておるはずじゃ」

「そうかなぁ?」

「そのはずじゃ。じゃがダンジョン内にいる高レベルの魔物の殺意に慣れ過ぎて、弱小の魔物の気配には疎いのかもしれんな」


 まぁ確かにダンジョンに籠ると言ったら俺の担当はミスリルゴーレムとアイアンゴーレムが主流だ、たまにケルベロスやオルトロスなんかも相対するけど慣れたせいか怖いという感情はなかったかもしれない。

 これって危機に鈍感になってしまっているって事なのか? ヤバイな、ちょっと気を引き締めないとダメかもしれない。こんな魔境の入り口で困るなんて事があれば、中心部まで乗り込んで魔王を討つなんて夢のまた夢だ。


「これは修業が必要だな」

「うむ! 俺で良ければいつでも付き合うぞ!」

「私もじゃな」

「ボクも~!」


 ちょっと離れているアイシャまで返事をしてくるとは、どんだけ耳が良いんだって話だよ!



 グレイはなんとなくウキウキしている感じだな… やはりダンジョンと違うこの状況を楽しんでいるって事なんだよな。まぁいつ魔物が出てくるか分からないスリル、魔物以外にも危険な動物はいるからそれらにも配慮しなければいけないという危機感が、戦闘狂であるグレイを喜ばせているのかもしれないね。うん、俺には良く分からん感覚だね。


「この辺にはボア系の魔物が多いのじゃが、草むらには小さな蛇などが紛れておる… まぁ噛まれたところで問題は無いのじゃが、足を取られぬように気を付けるのじゃ」

「了解だよ。でもボア系か… まさに肉だね」

「そうじゃ! 1頭狩れれば2日は大丈夫じゃな!」

「よし、昼には戻るなんて言ってしまった手前、なんとか見つけてやろう」


 ちょっとだけ意気込んでみたんだが、前方を歩いていたアイシャがスルスルっと戻ってくる。これは魔物を見つけた時の行動だ。


「小さいボアを見つけたよ、まだ子供みたいだったから近くに親がいるのかも」

「そうか、ではその子供のボアをちょっと殴って泣かせてやれば、親が血相変えて飛び込んでくるだろう。それを叩くぞ」

「そうじゃの、子供だと食える部分が少ないから大きくなってからじゃの。アイシャよ、この子供ボアを殺してしまわぬよう手加減して石でもぶつけてやってくれ」

「分かった!」


 ふんふん、可食部が少ないから子供のボアは見逃すのか… やっぱりボアの子供はウリ坊みたいな模様なのかな? 俺もどこかで画像を見たことあるけど、どんな生き物でも子供は可愛いんだよね! ウリ坊も同様で可愛らしく見えてたもんだが、はたしてこの森にいるボアの子供はどうなのかな?


「ピギャー!」


 ガサガサッ!


 おっと、今の悲鳴のような鳴き声は子供ボアかな? 俺が考え事をしている間にもう石をぶつけたのか… 手が早いな。


 草をかき分けるような音がして… うおおっ! でかい! これが魔境のボアか!


「マジカルビームじゃ!」

「あっ! おいクローディア!」

「なんじゃ? 誰がどうするなんて話はしておらんじゃろう、先手必勝じゃ」

「ぐぬ… 相変わらず手の早い奴だ、次は俺が倒すぞ!」

「好きにせい。主よ、アレの収納を頼むのじゃ」

「はいよ。なんだか緊張感が全然無かったな」

「それはそうじゃろ。外縁部にいる魔物じゃとそのレベルはせいぜい10から15といったところじゃ、苦戦する訳がないからのぅ」

「あ、そうだったんだ。でもレベル10とかだったら俺が1人でも狩れるんじゃない?」

「まぁ狩れるじゃろうな。狩れるじゃろうが別の意味で無理じゃな」

「ええ?」

「私達がこうして共にいるのに、主を前線で戦わせる訳がなかろう。グレイが張り切っているのはそのせいでもあるのじゃ」

「まじすか…」

「いつも言っておるじゃろ? やれる事をやれる者がするのじゃ。グレイは前衛として壁になれるからそれをやり、私は後ろから攻撃できるからやる。アイシャは身軽じゃから遊撃をしているじゃろう? 主はどっしり構えて私達を支援してくれればいいのじゃ。じゃがヒールステッキはまだいらんのじゃ」

「あ、はい」


 本当に心配性だな…

 まぁ支援はしているさ、スキルで食べ物を出すだけだから辛くも苦しくも何も無い仕事… ただそういう支援ってすぐに終わっちゃうだろ? 手すきの間、ただついて行って歩くだけってのが申し訳ないって感じるんだけど、どうもこういった感情はこの3人には理解できないみたいだね。ある意味俺の我儘と言えるのかもしれないな… 邪魔になるだけだったらしない方がマシだし、自重しようか。



 その後、すぐにもう1頭のボアを見つけたのでグレイがサクっとミスリルの大剣で斬り払い、今日は戻る事にした。魔境に入って1時間にも満たない時間であった。

 大森林の出口付近で血抜きをし、いそいそと拠点に撤収だ!


「おおヒビキ殿、これは何と大きいボアですな! 解体してよろしいので?」

「うん、解体が終わったらみんなで食べよう」

「分かりました、ではお預かりいたします」


 護衛を担当している元魔術師団の人にボアを渡し、後の事を頼む。

 魔術師団と言っても亡命して移動中に、色々と狩った獲物を解体して食べていたそうで、そこそこ解体が出来るんだとか。エリートだったはずだけど、まぁ生きるためには食わないといけないからね… そういった作業もこなせるんだから大したもんだよね。

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