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132 ナイトハルトが戻ってきたよ

誤字報告いつもありがとうございます。

 更に1ヶ月が過ぎた。

 来る時は1ヶ月弱だったから、補給を含めてもそろそろナイトハルト氏が戻ってくる頃じゃないかと思っている。


 この1ヶ月… さすがに木材を使ったアレコレも飽きてしまい、かなり生活がマンネリ化していたな。まぁダンジョンに通っていたころも同じだったと思うが、留守番をしなければいけないために全員で魔境に行く事ができなかったんだよ。

 迷いやすいというからクローディアは必須、次に候補に挙がるのは当然グレイという事になる。俺がこの拠点の番人である事は確定済みの話だね。

 アイシャは好んで魔境に行くとは言わなかったため、俺と一緒に留守番係をやっていた。

 まぁ日が差す時間は日当たりの良いところにケルベロスの敷物を敷いて、ゴロゴロと日光浴を楽しみ… いや、他にやる事が無かったと言う方が正解だな!


 とはいえ、そんな暇な時間を過ごしていたわけだがアイシャの方はのんびりと出来たようだな。時々なんかモジモジとしている事もあったけど、概ね苦痛の無い時間を過ごせたみたいだな。


 そして今! 冒頭にも言ったように東の方角に作った物見櫓に登って遠くを眺めている… 荷馬車はいないか~! うん、さすがに見えないね。



 しかし、そろそろ日が暮れようかという時間になった時、アイシャの耳がピコッと動いたのだ!


「ご主人様! 何か馬車の音が聞こえるよ!」

「マジか! ようやく戻ってきたか!」


 アイシャの耳はとても良いので、馬車の音が聞こえたと言っても実は結構遠かったりするんだろう。ちょっと物見櫓に登ってみるか。


「おー! 馬車が結構来ているな。もしかするとそれなりに人材も連れてきたんじゃないのかな?」

「んーわかんない。けど先頭に見える馬車はカヤキス商会のものだね!」

「よーし、じゃあ出入り口を開ける準備をしようか。グレイ達もそろそろ戻ってくると思うしちょうどいいだろう」

「はいっ!」


 この拠点、出入り口は西側に一つだけしかないのだ。つまり魔境の方角に門があるという事だね。

 なぜこのようにしたのかというと、特に意味はないらしく、ただ簡易的に魔境の方を見やすくするためなんだそうだ。まぁ造った当時は物見櫓なんて無かったからね、魔境から魔物が出てきたとしてもなかなか気づけないなんて危険だからね。

 でもまぁ次は東側にも門を作るんだろうな… 輸送を考えればそっちの方が幾分楽だろうしね。



 出入り口に取り付けていたグレイ作の門を開放する。おや? 魔境からグレイとクローディアが走ってきているね、どうやらこっちも丁度良かったようだ。


「主よ、どうしたのじゃ?」

「ああ、ナイトハルトっぽい馬車が見えたから開門しておこうと思ってね」

「とうとう来たか」


 まぁね、楽しくやっていたとはいえたった4人で何も無い場所での生活だ、そろそろ何かしらの変化が欲しかった頃合いだったろう。特に俺ね!

 だって暇だし! なぜか留守番担当だから魔境で狩りも出来ていないし! すでに2ヶ月も経っているからそろそろミスリルの納品もしておきたいし!


 そんな訳で門の前で待機だ。まぁまだまだ遠くに見えてたから到着にはもう少し時間がかかるだろうけどね。



「いやぁお待たせしましたヒビキ様、補給が上手くいかずに時間がかかってしまいまして」

「そうなんだ、まぁこっちもそこそこあったから情報交換しておこうか」

「そうですね。外壁の外側を見ていた時から気になっていましたが、櫓が… 作ったのですか?」

「暇だったんでね… 本職の人から見れば大したもんでもないとは思うけど、現状無いよりはマシって感じだね」

「いえいえ、十分ですよ。連れてきた職人には補強をお願いしておきましょう」


 そんな訳で、ここ2ヶ月に起きたことを報告して情報の共有を図るのだった。もちろん追い返した盗賊の事もね! 実はこれが一番重要な事だし!












 SIDE:タケノ・コノサト


「姿が見えなくなってもう2ヶ月になるか… これはマズいな」

「隊長っ! 大変です!」

「どうした!? 一体何が?」

「キノ参謀が来ています!」

「なんだと? どうしてこんな所にキノの奴が… 不甲斐無い我らに文句を言いに来たとでもいうのか?」

「そうかもしれませんね… なんせあのキノ・コノヤマ参謀ですし」

「そうだったな。仕方がないから会うとするか、本当に嫌なんだがな」



「クハハハ! タケノよ、久しいな。しかしどうだ? 勇者様が満足できるような報告が全く来ないではないか」

「それについては言い訳もできん。例のパーティはこの街のギルドからも重宝されているのでな、勇者様の名を出してもなかなか言う事を聞いてはくれんのだ」

「言う事を聞かない? それでも何とかするのがタケノの役目のはずだが? まぁ良い、無能のお前には勇者様から撤退命令が出されたぞ。もはや部隊長の役目も外されるかもしれんな、クハハッ!」

「勇者様が? 何と不甲斐ない事か」


 なんと言う事だ! 我らの仕事が遅々として進まぬからお怒りになられたか、だが命令というのであれば従う他はない… が。


「本当に勇者様がそう言ったのか? お前の言う事は信用できんのだがな」

「クハハ! 確かに俺もお前に信用されているとは思ってはいない、だが真実なのだ。さぁ発行された辞令書を読んで絶望するがいいぞ」


 辞令書だと? そんな大仰な物まで発行されたというのか?


 ぐっ、どうやらこの辞令書は本物のようだ… こうなればナイトグリーン王国に帰るしかないか。


「タケノよ、お前が出来なかった勧誘とやらはこの俺が引き継いでやる。お前と違って即座に終わらせるからすぐに追いつくかもな! だが仕事として一応聞いてやる、例の冒険者達は今どこにいる?」

「仕事として… か、お前の役になんか立ちたくはないが仕方がないか。例のパーティはここ2ヶ月姿を現していない。てっきりダンジョンに入っているもんだと思っていたが、もしかするとこの街を離れているかもしれないな」

「なんだと? 街を出た事すらも気づかなかったのか? 本当にお前は武力だけの脳筋だな! 引継ぎも満足にできないとは勇者様に報告しないといけないな、ここまで役立たずだとは」

「ぐぬ…」


 キノの奴、調子に乗りやがって…! だがここでは何も言い返すことはできん、堪えるんだ。どうせ一筋縄でいかない予感はあったんだ、キノの奴も例のパーティに翻弄されて無様に戻ってくるがいいさ。

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