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126 ここをキャンプ地と… いや、拠点とする!

誤字報告いつもありがとうございます。

 コッソメ集落から北上する事3日目、お昼を過ぎる頃にようやくナイトハルトのお眼鏡に叶う土地に到着した。

 どこらへんが決めるポイントだったかというと、窪んだ土地じゃなくてほんの少しだけ盛り上がった場所が良いとの事。大雨になった時に水没しないというのは条件の一つなんだそうだ。


 まぁね、俺のような日本人だと雨水や排水は専用の排水溝を通り、川へと流れていくようにされているからそういった点で土地を決める事はないからな。

 土木工事で排水路を作るよりも、最初から自然の状態で排水の水道ができている事が土地選びの基本なんだってさ。


「魔境の外縁部まで馬車で2~3時間といったところじゃな、ここからだと外縁部も目視できるから素材の運搬も楽になるじゃろう」

「ん? 目視できるから楽だって事は、素材を持って森から出て来たところを見つけて馬車を出すって事?」

「そうじゃの。まぁ外縁部とはいえその場での待機は馬にも危険が及ぶ可能性があるからの」

「ああなるほどね」


 どこにでもいるとされるブラッドウルフでさえ、群れていれば馬すら襲ってくるという。それを聞けば妥当な判断だと思うね。


「ではヒビキ様、グレイ様、外縁部にて木材の調達をお願いできますか?」

「了解したよ、グレイ行こうか」

「うむ」

「クローディア様には他の魔術師と共に井戸の方を」

「承知じゃ。アイシャはどうするのじゃ?」

「アイシャ様は… どうでしょうか、ちょっと仕事を頼むのに気が引けまして」

「大丈夫じゃ、アイシャはああ見えて強い子じゃからな! では主の方に行かせるとするかの」

「お願いします」


 ナイトハルト氏により人員の振り分けが行われ、俺とグレイ、アイシャは森から木を切り出す事になる。

 まぁグレイが大剣で斬り倒し、アイシャが枝を切り払って俺が収納するだけの簡単なお仕事だが… 怪力オーガのグレイが運んでくると思っているんだろうな。



 そんな訳で、馬車だと2~3時間の距離を俺達3人は30分程度で移動が完了。まぁ走れば馬車よりも速いからね。


「ご主人、俺が預かっているアイテム袋にも数本なら入ると思うぞ。まぁ長さを調整しないとダメだがな」

「いや、長い方が潰しが効くからそのまま持っていこう。今更収納がバレたところで問題は無いさ」

「そうか? 俺の見立てではナイトハルトはかなり強かに見えるんだが、ご主人の収納を知れば使い倒してきそうだがな」

「まぁここまで色々と進んでいるのに、今更俺達と敵対するような行動はとらないさ。どっちが得なのかを多分理解してるって」

「ふむ、そうか。では手前から斬っていくぞ、危険だから離れていてくれ」


 グレイがミスリルの大剣を取り出し、森と荒野の境目に生えている木を斬りつける。外縁部と言うだけあって、そこに生えている木はまだ若い木ばかりだったが直径20センチ以上のものを選んで切り倒していく。

 ある程度倒したらアイシャが駆け寄り、枝を切り払いながら使えそうな枝も分別。最後に俺が収納っと。うん、この仕事でも俺は楽な役割しかしてないな… いいんだろうか。まぁ俺に木を切れって言われても、グレイのようにスパスパとはいかないから適材適所か? 仕方ないね。


 そのまま夕暮れ寸前まで木こりをしていたんだが、俺の収納として使っているゴミ箱… 一体どこまで容量があるんだ? すでに100本以上放り込んでいるんだけどスルスルっと入っていくんだが。まぁいっぱい入るって言うんなら全然問題は無いんだけど、こうなってくるとどこまで入るのか試したくなってくるね。


「ご主人様! もう戻らないと夕食の時間過ぎちゃうよ!」

「お、じゃあそろそろ戻るとしようか。グレイもお疲れさん」

「この程度ではビクともせんから気にするな」


 俺達専用となるはずの場所を見てみると、どうやらすでに野営用のテントが立ち並んでいる。あっちも順調に進んでいるようだね。


「しかしご主人よ、さすがに全ての木材を一気に出すのは問題だと思うぞ」

「まぁね… さすがに容量がヤバすぎるよね」

「うむ。俺が預かっているアイテム袋は荷馬車1台分だが、これだって十分価値のある代物だ。しかしご主人の収納はどこまで入るか見当もつかんほど… さすがに名うての商人であれば…」

「戻ったらクローディアに相談してみるか」

「うむ、その方が良いだろう」


 さすがにクローディアなら、どこまで出せば許容範囲を超えるか分かるだろう。なんせ魔法のエキスパートだからね! アイテム袋や本当の収納魔法の限度ってのも知っているはず!



 戻ってみると、すでに夕食の準備が進められている。コッソメ集落で買い集めた穀物がメインのようだが… なんだあれ? ナンみたいに平べったい何かを野菜と共に鍋で煮込んでいるんだが。


「お疲れじゃのぅ主よ。一応断ったのじゃが夕食の準備をしてくれての、無碍にできんから受け取っておいたのじゃ」

「まぁ仕方ないね。どうせ皆これだけじゃ足りないだろうから、夜食って形で後で食べようか」

「そうじゃの。じゃが夜の見張り番の者には魔力が回復するオニオンフライを与えた方が良いの」

「そうだな… 魔術師メインだから少しずつゆっくり食べろって分けてやろう」

「うむ」


 まぁさすがにハンバーガーは奥の手だからね、これについてはそうそう明かすことはできないだろう。なんと言っても仲間になったとはいえ、目的に向かってまだ一歩も踏み出していない状況… 頑張って貢献してくれたら考えるよ。

 まずはこの場所の拠点化からだね! 魔術師はこういう時非常に役に立つとクローディアが言っていた、そこに期待だね。


 野営の準備も着々と進み、日も暮れてきてそろそろ活動限界に近付いてきた。見張り番用のオニオンフライはすでに出してあり、今は冷ましている最中だ。

 なぜ冷ますのか? それは冷めても美味しいからというのもあるけど、見張りの順番で暖かいまま食べられる人とそうじゃない人が出るから差別にならないようにだね。いらん世話かもしれないけど。


 そして俺達の休む場所にはすでにクローディアが待機しており、バリアを3面に張って待っていた。


「いやぁヒビキ様、この黒い壁を全周に張れたら本当によかったんですがね」

「ね。でもまぁ残念な事に5メートルの範囲にしか効果がないんだよ、便利なんだけどね」


 ナイトハルトがバリアを見ながらそうこぼすのだった。

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