119 話し合い終了
誤字報告いつもありがとうございます。
ナイトハルト氏の泊まっている割と高級そうな宿に到着し、宿の人に早速呼び出してもらう。ほどなくして次男と紹介された男性が降りてきて軽く挨拶を…
「よく来てくださいました、父が待っていますので部屋の方へとどうぞ」
部屋へと連れて行ってもらい、ナイトハルト氏の姿を確認。
「ようこそヒビキ様、そちらが?」
「ああ、元ゴーマンレッド王国の宮廷魔術師団長のガラハドと…」
「元副団長のジャンと申す、よろしく頼みますぞ」
ジャンというのかこの人は… というかさっき会った時に聞いとけって話だよね、俺もうっかりしていたよ。
「私どもはアキナイブルー王国王都に店を構えておりますカヤキス商会の会頭ナイトハルトと申します、こちらは次男と三男です」
「「どうぞよろしく」」
「じゃあ始めようかね。まずこの街に支店を作るのも魔境付近に倉庫を建てるのも時間がかかると思うから、それまでの行動と資金稼ぎの事かな」
「そうですな。昨日調べてみましたが、この街で店を構えるには新築しなければ店舗が無いという事です。規模にもよりますが、これだけで軽く半年はかかるかと」
「半年は結構長いねぇ…」
この世界の建築技術の事は知らないが、日本で店舗を新築するとなったら半年じゃ済まなくないか? まぁ設備が違うんだろうけどね。
「我ら元魔術師団は10階層から30階層の間で狩りを行なっていて、魔法技術を磨く事を優先しているので収集できる素材の数はあまり多いとは言えないな」
「俺達は80階層から100階層だね。目立ったドロップは鉄のインゴットにコカトリスの肉と嘴とかの素材、先日渡したオルトロスの毛皮は90階層以降で拾えるね」
「なるほど… 皆様が集めてくる素材だけでこちらも十分な収益が見込めます、店舗が完成するまでの間は空き家でも借りて仮店舗にして営業するとしましょうか。
しかしこれも昨日調べたのですが、空き家といっても店舗用ではなく一般住宅なのですよ。なのであまりストックする事ができないのです」
「まぁこの街にはギルドもあるし、買い取り切れない時はギルドに持ち込んで良いんじゃないかな? そこは商人として利幅の大きいものだけを厳選してもらっても良いと思うよ」
「そう言ってもらえますと有り難いですね。魔境の方に関しては近々視察に赴き、場所を選定してまいりますのでしばらくお待ちいただく事になりますが…」
「その事じゃが、その視察に行く時は私達も同行しようと思っておるのじゃが良いじゃろうか? 護衛を雇わなくて済む事になるのじゃがどうじゃろう」
クローディアが口を開き出したね、これなら後は任せても良さそうだな。まぁただ、突拍子もない話になったら急いで突っ込まないといけないからしっかりと話を聞いていないとな!
「利幅の話をするならば、先日お分け頂いたオルトロスの毛皮が一番ですね。なんと言ってもヒビキ様のパーティにしか採集が出来ない上に、私の目から見ても極上の毛皮です。火耐性という付加価値も相まって高値で捌けるでしょう」
「うむ、あの毛皮であれば私達も優先して収集しておるからの、上手く売って資金にすると良いじゃろ。魔境からの輸送を考えれば馬車も増やさんといけなくなるじゃろうし、金はいくらあっても足りんからの」
「その通りです!」
どうやらクローディアとナイトハルト氏はウマが合うみたいだな…
そんな感じで夕方まで話し合い、お開きとなる。
とりあえず今日決まった事というと… このリャンシャンで支店を運営するために商業ギルドに色々と申し込みをするという事。店舗を新築する事。空き家を借りて仮店舗とする事。
まぁこの仮店舗は間違いなく俺達と元魔術師団しか使わないと思うけどね。
そして魔境への視察は1ヶ月後を予定しているとの事。これは商会頭であるナイトハルトの都合という事だ。
本店となる王都にある店はすでに長男に仕切らせているから店の方は大丈夫だとしても、さすがに付き合いというものがあるらしい。まぁ魔境に行くといったら長期になるのは間違いないもんね。
その間俺達と元魔術師団はリャンシャンダンジョンで狩りをして素材を集める。
元魔術師団の方は食品以外の素材を受け付け、俺達は鉄のインゴットとコカトリスの嘴、そして大本命となったオルトロスの毛皮を納入する事になった。
まぁね、単純に買い取るといっても大量の資金が必要だから、王都とリャンシャン間に自社の馬車で定期便を作らなきゃいけないとか… 売らないと金は減る一方だから仕方ないね。
当然これも人件費を含めて金がかかるが、この定期便の護衛を元魔術師団に頼みたいという話になった。これは良いね! 魔境から輸送する時にも護衛をする訳だし、事前に護衛というものを経験できてある意味練習になるはずだ。
こんな先の事まで考えられるとは… さすがは長年王都で生き残ってきただけはあるね。確かにいきなり危険地域の護衛とか、頼む方も怖いだろうよ。リャンシャンと王都の間は割と安全だという事からこういった話になったのだろう。
「ではヒビキ殿、我らは拠点に戻り今日の事を仲間に話してこよう。護衛の経験がある者はいないはずだが、先んじて練習… というか、実地訓練ができるとなれば非常に助かる」
「一応安全な道のようだけど油断はしないようにね? 人員はローテーションしてダンジョンでの訓練もさせるように。これも何かが起きた時に生き残るためだから」
「もちろん承知している。命を守る事はもちろん、その上で荷物も守って見せようではないか」
「命の方を最優先してね、もちろん商会の人も」
いつになくやる気を見せているガラハド氏とジャン… まぁ宮廷魔術師団から冒険者じゃ稼ぎから立場から急転直下だっただろう。それが王都に店を構える商会と繋ぎが取れ、いずれは間接的にしろ魔王討伐に参加する事になるのだ… 英雄譚が書かれる事になれば名前が載るかもしれない偉業に手を貸す事となるから気分が高揚しているのかもしれないね。
ガラハド氏と別れ、俺達も宿へと向かう。
「しかし主よ、急展開のはずじゃが色々と捗るのぅ。調子が良すぎて却って不安になってしまうのじゃ」
「そうだね、こういう時って案外落とし穴とかがぽっかりと口を開けて待っているもんだ… 注意しないとな」
そう、色々と俺達にとって好都合の出来事が重なりすぎているんだ。これってフラグか? 止めて欲しいんですけどね!




