117 日程を決めよう
誤字報告いつもありがとうございます。
宿の受付で問い合わせ、待つ事数分でナイトハルト氏がロビーに降りてきた。
「お待たせしました、ここではなんですので部屋に参りましょう」
今度はナイトハルト氏の案内で泊まっているだろう部屋へと入っていく。
部屋には身内と思われる男性2人がいたが、まぁどう見ても似ている顔なので息子とかそんなところだろう。
「さすがに王都からでは遠いですな、リャンシャンは」
「そうかもしれないね…」
「こちらは当家の次男と三男です、この街に店を構える事になればこの2人のどちらかが店主となる予定です」
「なるほど、よろしく」
やはり息子だったか。しかし次男と三男という事は、長男は本店であるだろう王都の店を継ぐって事になるのかな? まぁ他所様の家庭所事情には首を突っ込む気はないけど…
「今日はただの挨拶じゃ、店を構えるかどうかは今後予定しておる話し合いの後にすると良いじゃろう。まだ卸せる物があるかは不明なのでな」
「承知いたしました。して、その話し合いの日程はどうしましょう? こちらはいつでも構いません」
「それについては協力者の方に伝えてある。これからそのものに会いに行き、向こう側に予定を聞くつもりじゃ」
「なるほど…」
最初の挨拶以外は事前に言っておいた通り、クローディアが前面に立ち話が勧められていく。まぁさすがに着いたと連絡がきた当日に、全ての都合がつく訳じゃないからな。
それにしても… 息子とやらをチラ見しているが、見た感じどちらも30代後半から40代前半といった感じか? 前に立つクローディアに視線が釘付けだな。
まぁ王都にもエルフはいるんだろうけど、商談でもない限りこれ程の至近距離で見る事は少ないのかな… 実際美人だしな、クローディアは。
そんな感じで簡単な話し合いが始まっているのだが… まぁガラハド氏の方に何があるかは分からないけどそれほど深く潜っていないだろうし、そっちの買い取りの話は後でも良いだろう。
なんでも先日卸したオルトロスの毛皮… 早速付き合いのある貴族に見せたところ非常に好感触だったとか、あればあるほど欲しいなんて話も出ているね。
「この街の服飾職人がオルトロスの毛皮には火に耐性があると言っておったのじゃ、そこら辺の価値も知っておいた方が良かろう」
「なるほど… さすがは90階層以降で出現する魔物素材ですな!」
まぁこの様子なら任せておいても大丈夫かな?
「ではの、詳しい事は明日以降に詰めようではないか。魔術師団の方のダンジョンアタック次第という事もあるのでの」
「わかりました。こちらはギルドの買い取り価格を今日中に調べておきましょう、ギルドよりも安いなんて言われたくありませんからね」
「うむ、ではそういう事での」
よし、サクっと話は終わったね。後はガラハド氏からの連絡を待つばかりだな…
一応泊まっている宿を教えて引き下がる。まぁそろそろ晩飯時だからね、グレイもアイシャも空腹でげんなりしているよ…
「では主よ、一応私達のダンジョンアタックはこれまで通りで良さそうじゃの」
「そうだね。ミスリルを集めつつケルベロスとオルトロスの毛皮を集め、コカトリスの肉を回収する3か所狩りだね」
「うむ。主はゴーレム固定として、他はローテーションで良いじゃろ。もはやこのダンジョンで怖い魔物などおらんからのぅ」
「その通りだ。なるべく早く話をまとめ、他のダンジョンか魔境へと足を延ばしたいぞ」
「それは魔術師団の話を聞いてからだな。魔境付近に倉庫を作るにしても時間がかかるだろうし、魔術師団にもある程度の選別をしておいてもらわなきゃいけないからな」
「そうじゃの。素材配達の護衛をするのであれば、対人戦闘の経験もしておかなければいけないからの」
「それなら俺とアイシャで訓練すれば良いと思うぞ。クローディアほどの魔法使いなんぞそうそういないだろうからな」
まぁその通りなんだけど、この2人を相手に訓練する? それはとても怖いんではないだろうか…
「まぁとにかくだ、宿に戻って飯にしよう」
翌朝、俺達が宿を出る直前にガラハド氏が宿までやってきた。
「いや昨日はすまない、戻るのが遅くなってしまってここに来れなかったのだ。しかし王都に店を構える商会と伝手が出来たと聞いたが?」
「本当だよ、なんならここのダンジョンで手に入った素材も適正価格で買い取るかもしれないってさ」
「なるほど… とにかく落ち着いて話したいのだが?」
「そうだね、部屋に戻ろうか」
ダンジョンに行こうと思っていたが、そんな感じで急遽俺達が借りている部屋で話をする事になった。しかし話し合いの間はグレイとアイシャが暇になるだろうね…
「グレイとアイシャはダンジョンに行ってていいよ? こういった話し合いは全然興味無いだろ?」
「それは助かるな、そういう事なら100階層をメインに狩ってこよう。あとご主人には弁当を用意してほしい」
「そうだね、じゃあアイテム袋を貸してくれ」
「ボクはご主人様と一緒が良い」
おや? アイシャも話し合いみたいな席は苦手なように見えたんだけどな… いつもうとうとしていたし。
「大人しくしてるから!」
「あ、ああ。まぁ暇になるだろうけどそれで良いんなら」
「はいっ!」
「じゃあグレイ、怪我だけは気をつけてな」
「任せておけ」
アイシャは留まる事になったので、グレイ用の昼食をアイテム袋に入れていく。いつも通りハンバーガー全種類にウーロン茶、ナゲットを2セットだな… まぁ足りなければコカトリスの肉を焼いてくれ。
グレイを見送り、改めて部屋へと向かう。
そして構想している事を教えていく…
「なるほど… 確かに商会が間に挟まれば輸送も容易いかもしれないな。なにせ自分達は魔術一辺倒な者ばかりで、輸送のやり方など知っている者はいないと思う」
「そういうところはその道の職人に任せた方が間違いないからね」
「しかし商人の護衛ですか… そういった荒事であればある程度の熟練者を選んだ方が良いだろうな」
「その辺の人選は任せるし、護衛費についてもちゃんと調べて出すつもりだよ。間違っても食い詰めないように計らうから安心してほしい」
「まぁ師団員の家族もダンジョンに入っているからな、食事の心配はすっかり無くなっているから大丈夫だ。後はその商会との話し合い? その日程が気になるな」
「それはそなた次第じゃ。今日これから… はさすがに分からぬが、明日というなら大丈夫なはずじゃぞ」
「なるほど、では一応今日の昼からでもという事で話を聞いてみてはくれないだろうか、ダメであれば明日という事で」
「了解じゃ。では主よ、ちょっと向こうの宿に行ってくるのじゃ」
「ああ、頼んだよ」
なんだかそういう事になったらしい。




