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111 商人の勘ってやつですか

誤字報告いつもありがとうございます。

 SIDE:カヤキス商会、ナイトハルト


「クハハッ! まさか噂に聞こえた冒険者が我が店に来るとはな! リャンシャンダンジョンを踏破し、ミスリルを安定供給できる冒険者… 是非とも繋ぎを取りたいと思っていたのだ、まさか向こうから来てもらえるとは昔に行っていた奴隷商も捨てたもんでは無かったな」


 当商会としては、過去に奴隷を扱っていた事を黒歴史だと思っている。王家や貴族を相手にするにはマイナスのイメージがついてしまうからな。


「しかもだ、繋ぎが取れたうえで3人分… 金貨1200枚もの儲けも出てしまうとは、我ながら運が良いものだ。これを機に、ダンジョン素材の取引を当商会で執り行う事ができれば… 当商会はさらに大きく成長していくだろう」


 そのためにも明日の仕事は失敗が許されない… まぁ仕事自体は楽なものでも奴隷商を離れて80年以上あるから経験が無いというのは少し問題だ、彼らが来店するまでにしっかりと文献の確認をしておかないとな。



 当商会は雑貨や食料、大きな物になれば馬車なんて物まで販売している。しかし、ただ昔からあるだけの普通の店だと認識されつつあったのだ。

 他の商会ではどんどん新しいものを取り入れだし、出し抜かれている状態なわけだ。特にここ最近はリャンシャンダンジョン攻略の報が入り出し、珍しいダンジョン素材が王都に住む貴族達の目に留まっているのが現状だ。

 我がカヤキス商会でも取り入れ始めてはいるのだが、最初に出遅れたため珍しい素材は入手困難… 売る物が手に入らないのだ。しかし今日の出会いだ! ダンジョン攻略パーティと懇意になれば、こちらの欲しい素材を指定して依頼する事も可能になり、ギルドを経由しないならそれだけ出費も抑えられるというもの。


「この機を逃す手は無いのだ! 是が非でも流通の約束を取り付けなければ! そのためにもリャンシャンに支店を構えないといけないな… さすがに王都まで配達なんて条件では受けてはくれないだろう。早急に手配せねば!」


 我がカヤキス商会が落ちぶれつつある自覚はあった。どんどん他店に後れを取り、このまま閉店に追い込まれてしまうのも時間の問題だという事も。だが今日の出会いはまさに神の啓示! 今度こそ遅れは取らん!













 SIDE:ヒビキ・アカツキ


 3人部屋が空いていたので速攻で取り、部屋に入って敷物の準備をする。ベッドの位置もグレイと一緒に移動して、3つあるベッドを横並びでくっつけた状態にしておく。こうしておけば、アイシャがいくら転がっても落ちなくなるんだよね。


「さて、王都を探索って気分じゃないが皆はどうする?」

「俺はこのまま宿でもいいぞ、王都の人間は差別的な目を平気でするからな」

「うむ、私も同じじゃな。慣れているとはいえ気持ちの良いものではない」

「…………」


 うん、アイシャはすでにベッドの上だった。


「そういう事ならこのまま宿にいるとするか。ところで奴隷の解除って時間がかかるものなの?」

「いや、主の魔力を流して首輪を外すだけのはずじゃ。主が持っている私達との奴隷契約書、その記載がすべて消えれば完成じゃな」

「なるほど… まだ魔法的なアレコレは良く分からないな、あの契約書の文字が消えてしまうの?」

「うむ、解除されれば跡形もなく… な」

「へ~そうなんだ」


 本当に魔法って不思議現象だよな… まぁ魔力というものは理解できるし魔法も何度か見たことはある。もちろんステッキ以外の魔法の事ね。まぁステッキの魔法だってアホみたいな威力を誇るマジカルビームも十分ファンタジーだけどね!


 アイシャが楽しそうに転がっているのを邪魔するかのように塞いでベッドに座る、俺にぶつかったアイシャはチラリと俺の方を見るが、すぐにまた転がり始めた…


「じゃあ昼飯までちょっと寝るかな、時間になったら起こしてくれ」

「承知したぞ」



 こうして昼食後もダラダラと過ごしていく…

 一応ダンジョンに入った事にして出て来ているので、王都のギルドには顔を出す予定はない。しかしアレだな、奴隷でなくなるという事は3人も冒険者登録をしないといけないという事になる… まぁリャンシャンに戻ってからでいいかな? リャンシャンに入る時の入場税も大した金額ではないし、向こうで登録した方が何かと都合がいいかもな。


 気がつくと部屋の中はすっかり暗くなっており、クローディアに魔法で明かりを灯してもらって夕食にする。

 食べ終わるとグレイはすでにベッドの上で大の字になっており、クローディアもアイシャを抱えていつでも寝られる姿勢になっている。一応扉の前と窓のところにバリアを張って警戒し、ちょっと早いが俺も寝るとしますかね。明日は用事が済み次第王都を発つつもりだし、温存できるんならそうしておくべきだろう。



 翌朝、やはり早くに寝すぎたんだろう目が覚めたのは夜が明ける前だった。

 まぁいいさ! 早起きは三文の得だっていうしね! この世界では銅貨3枚かもしれないけど!


 しかしカヤキス商会には昼以降といわれている… それまでどうやって時間を潰すかだな。宿は朝になれば出ていかなくてはいけないだろうし、ギルドには行くつもりはない… あれ? もしかしてやる事が無い?

 リャンシャンにいればダンジョンに入ればやる事には事欠かないがここは王都だ、昼までどうしようかねぇ。


 しばらくして起きてきた皆に相談してみる。


「防具屋でも見に行けばいいのではないか? ダンジョン都市であるリャンシャンの職人も良い腕をしているが、王都というだけあってさらに良い職人がいるかもしれないぞ」

「ふむ、まぁ要するに買い物をして時間を潰せって事か。それは有りかもしれないな」


 それであれば、昨日は却下されたがやはり衣服を購入するというのも手だな。ハンバーガーセットに付属するお手拭きのおかげで、着ている服はいつでも清潔に出来てはいるがやはり着替えはあった方が良いと思う。特に激しく動き回るグレイとアイシャ… この2人は必須だよな!

 俺ももう少し何と言うか… 普通の服も欲しいしね。今着ている冒険者風の服も嫌いじゃないけど、宿とかでまったりする時用の普段着があってもいいかなーって。

 獣人も多いみたいだし、アイシャ用の尻尾穴がある見た目の良い服もありそうだしな! よーし、時間いっぱいまで宿で暇をつぶし、それから王都で買い物だな! 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 出だしが一見アレな口調だから一瞬勘違いしそうですが、よくよく言ってる内容を確認すると「ウチの商会ヤバいから、きっちり仕事して良い印象持ってもらってから交渉→御用聞きに…
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