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106 アキナイブルー王国の王都?

誤字報告いつもありがとうございます。

「よーし今日はお疲れ様! 夕食を食べてしっかり休んでくれ」


 宿に戻った俺達は、ベッドの上にハンバーガーを並べていた。


「まぁ正直つまらん作業でしかないが、弱い人間たちを育てるのだからと割り切っている。飽きたからと言って投げ出さないから安心するがいいぞご主人」

「そうじゃの、確かに温い作業には違いないの。じゃがこれもきっと後に効果が出る事じゃ、今やっておかないと危ないからの」

「ボクはいつもと変わらなかったよ!」

「81階層をアイシャにやってもらっても良いかとは思うのじゃが、アイシャは可愛いからのぅ、あの人間達に撫でくりまわされる未来しか見えんのじゃ。じゃから却下じゃの」


 そうなのだ。夕方に集まった時の一般人組… 随分と余裕が出たからなのか、アイシャの事を孫でも見るような雰囲気を醸し出してたもんな。うん、あれは絶対甘やかしてくるやつだ、間違いない! 国から逃げ出して精神的にも不安定な印象もあったし、きっとここぞとばかりにアイシャを慰みもの… というか、アイシャに癒しを求める未来が何故か見えるんだよね。まぁアイシャの尻尾は確かに癒しではあるが。


 その後も少し話をし、今回の問題点なんかを聞いてみたが特に何もなかったとの事。やはり深層部のせいかみんなは最初ビビっており、言いつけを破ろうとする者は皆無だったそうな。まぁ言われてみればそうだよな、俺もどこか慣れ過ぎてしまって一般人の考えるところを履き違っていたのかもしれない。ま、問題が無ければこのままでいいね。

 ただ、今回のパワーレベリングで個人差が出てしまわないようにするため、討伐する魔物の数は合わせるという事で話し合いは終了した。

 まぁ人によっては1つ2つのレベル差でごちゃごちゃと言う奴が出るかもしれないしね… 僅かとは言えそれが普段の狩りの妨げというか、格差になってしまえば対勇者がどうのという前に身内同士で何かが起きそうだ。気のせいだといいけど。




 そんな感じで10日間のパワーレベリングが終了した。

 師団長であるガラハド氏だけは師団員をまとめ上げなければいけないため、複数回レベリングを行なった。一般人枠の方は全員参加ではなく、持病がある者だったり妊婦であったりと参加したくても出来ない者も多数いたので割と早めに終了したのだ。その部分を使ってガラハド氏を育成したんだけどね。


 武器制作を頼んでいた鍛冶屋からクローディアとアイシャの武器も受け取り、その後で魔術師団と関係者の武器を注文。武器は全て鉄製で、取り回しが良いと言われるショートソードを100本ほど頼んだ。

 基本魔術師団の人達は、国から出てくる時に魔術師団用に配布されていた杖を持ち出しているためそれを使うという事。その中で若い師団員が念のためという事でショートソードを装備するらしい。


「いや、ヒビキ殿には世話になりすぎて頭が上がらないな。武器の費用は必ず払うので少しだけ待っていて欲しい」

「もちろん構わないよ。それに魔術師団員のレベルを上げたのだって俺達の都合もあるからだし、それも後々仕事で返してくれればいいから」

「うむ、任せてくれ。では我らはレベルに見合った戦闘が出来るよう修練を積んでくる、稼ぎながらになるがな」

「うんうん、ちゃんと食べないと力は出ないからね。それに急に上がったレベルに体を慣らさないと、いざという時の動きに支障も出ると思う。そこは重点的にやっておいた方が良いね」

「一般人枠の方も低階層で狩りをするだろうが、武器が出来上がるまではあまり深く入らないよう通達してある。それでもこれからの生活は少しはましになるだろう… 感謝する」


 なんだかんだと礼を言いながらガラハド氏はダンジョンに向かっていった。

 魔術師団員の平均レベルは40なんだけど、ガラハド氏だけは50まで上げたんだよね。まぁ師団長クラスとなれば他の師団員よりも頭一つ二つは抜きんでていないと統率に支障が出るかもしれないし…


 とはいえ、ゴーマンレッド王を見た後だととても同じ国の人には見えないんだよな。最初はお国柄なのかもと思っていたから多少の警戒はあったんだが、ガラハド氏を見る限り話は解るし礼儀も知ってて本当に普通に接する事の出来る人だと分かった。これが一番の収穫だったかもしれないな。



「ご主人よ、魔術師団の方は予定通り終わったわけだが俺達はどうするのだ?」

「そうだねぇ、どうしようか」

「やる事が決まっていないのであれば一つ提案したい事があるのじゃが」

「お、なんだい?」


 クローディアがなにやら真面目な顔をしながら話しかけてくる… 提案とか言っていたけど何かあったっけ?


「実はじゃな、主がこれから勇者共と対峙するかもしれん状況と、魔境へと向かうかもしれないという事で一つ懸念を払拭しておきたいのじゃ」

「懸念? それは?」

「うむ。一度この街を離れてアキナイブルー王国の王都に行きたいのじゃ、そして私達全員の首輪を外してほしいと思ってのぅ」

「それは構わないよ、最初からそうする予定の事だったし。でもそれと勇者が何か関係があるの?」

「あるかもしれんのじゃ。私達が奴隷である限り、それは主人である主の所有物として扱われる。勇者はナイトグリーン王国の王子であるからの、その権力を使って主の所有物… つまり私達を何かしらの冤罪によって押収しにかかってくるという事が考えられるのじゃ」

「ええ? いくら何でもそこまでするか?」

「するじゃろうな。少なくともリャンシャンダンジョンが私達によって踏破されたという事は、もうすでに勇者の耳にも入っておるじゃろう。ダンジョン探索の常識としてパーティの平均レベルと進める階層数の事があるからの、少なく見積もっても私達のレベルは100に近いと思われておるはずじゃ。

 魔術師団長のレベルを見てお察しじゃろうが、勇者一行のレベルも高く見積もっても40も無いと思う。

 奴隷は道具と同じじゃ、他所にそんな便利な道具があるとなればどうする? 魔境攻略の大義名分を掲げるか、主に何かしらの因縁を吹っ掛けて奪い取るくらい平気で仕掛けて来ると思うのじゃ」

「な、なるほど…」


 確かに言われてみればそうかもしれない。人ではなく道具として見るならば、さすがのギルドも擁護しにくいというわけだな? もし本当にそんな事を考えて実行するようなら、もう完全に敵だな。

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― 新着の感想 ―
[一言] クローディアがちゃんと考えてくれてるおかげで主人公はだいぶ助かってますねえ
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