103 大所帯、ダンジョン入り。
誤字報告いつもありがとうございます。
朝だ! 皆と朝食を食べながら、魔術師団員に食べさせるハンバーガーとポテトを計18セットの用意をする。グレイにはマジックバッグを持たせているが、生憎とマジックバッグは1個しかない… なのでクローディアには今までダミー用に使っていた鞄で持ち運んでもらう予定だ。
まぁハンバーガー9セットくらい重い物でもないしな… 後はドロップ品でも入れてもらうさ、今まで通りにな。
アイシャが自分用の毛皮の毛布を大事そうにクルクル丸め、紐で縛って俺のところに持ってくる。まぁ大きな荷物は俺の担当だからね、これを収納すれば準備完了かな?
「よし、忘れ物はないか?」
「大丈夫じゃな」
「アイテム袋の中身はいじってないからな、大丈夫だ」
いじってないのか… まぁ大丈夫だというのだから平気なんだろう、多分。
「今日はいつもと違うやり方でダンジョンに入る訳だが、安全対策だけはしっかりとな。1人で引率する訳だから後方の策敵が疎かになると思う、すぐに移動できるよう隊列とか上手くやってくれ」
「うむ。9人じゃろう? 2列でついてくるようにさせれば後方から襲われても移動するスペースはできるじゃろ」
「後はアレか、俺は全然詳しくないんだけど、経験値が分配されるようパーティ扱いにならないといけないんだよね? その辺のやり方は分かるんだよね?」
「ああ。仕組みは分からないが、メンバーになる者全員でパーティを組んでいるという意思疎通をするだけで出来たはずだ。ご主人とのパーティが切れてしまうがそれも仕組みの一部だと思ってくれ」
「まぁね、さすがに重複パーティができるなんて思っていないよ。じゃあいっちょ行きますか!」
「「「おー!」」」
今日は夕方までには戻ってくる予定なので、宿の方は朝の内に今日の分を支払っておく。これも今日次第だけど、魔術師団関係者の人数が多そうだったし数日続くかもしれないからね。まぁとりあえずやってみてからだ。
ダンジョンの前に着いてみると、予定通り9人のローブを着た人と9人の一般人に見える人がすでに待っていた。
ローブを着た魔術師団員は全員男性だが、一般人枠の人達は… うん、師団員達のご両親なのかな? って感じの年齢層の男女で揃っていた。これは魔術師団の方でもある程度人員をまとめたって事なのかな?
「おはよう、今日はよろしく頼む」
「ああガラハドさん、おはようございます。魔術師団員の方はオーガのグレイが担当する、乱暴そうに見えるかもしれないけどちゃんと話は通じるから」
「それは理解している。正直に言えばあのエルフの魔法を見てみたかったというのはあるが、さすがに師団員じゃない組にグレイ殿は相性がな…」
「まぁそれは今後慣れてもらうしか… じゃあとりあえずこの場でパーティ分けして、それぞれ転移陣で行ってもらう。各自注意事項とか聞き漏らさないように」
「うむ。さすがに80階層や90階層に置いて行かれたら我らではどうしようもないからな、それは各員注意喚起はすでにしてある」
「じゃあ今日は夕方までだけど、気を付けて行きましょう! グレイ、クローディア、頼むな」
まずグレイ率いる魔術師団員達がパーティを組み、10人が90階層へと転移していった。そしてクローディアが残った9人の一般人とパーティを組む、まぁ俺とアイシャも80階層でミスリルゴーレムを狩るので一緒に転移だな。
80階層に到着後、クローディアはコカトリスを狩るために81階層へと向かっていく事になる。まぁその前に朝食をこの転移陣のある場所で食べさせるって寸法だ。俺とアイシャはこのメンバーを置いてすぐにボス部屋へと入っていき、早速ミスリルゴーレムとの戦いだ。
アイシャのような軽量級戦士にとって、ゴーレム系の魔物は天敵に近いというのが一般的な話らしい。確かに言われてみれば軽い攻撃なんて物ともしない防御力を誇る訳だから、攻め手に詰まるというのは自明の理というものなんだが… やはりそれらの理屈を覆すのがレベルによるステータスアップという事らしい。
まぁ自分で試したわけじゃないからなんでもかんでも『らしい』になってしまうんだが、少なくともアイシャがミスリルゴーレムに後れを取るという事は現状では無いのだ。
ただでさえ安定して狩れていた魔物に、新たに手に入れた剛力のスキル効果が乗る… これでは魔物がどうとか言うよりも、その腕力で武器が壊れてしまわないかの方が心配だったりする。まぁそこは上手く加減をしてるみたいだけどね。
ドゴォォォン!
そんな事を考えている内に、アイシャがミスリルゴーレムを叩き壊していたようだ。さぁドロップは? おっといきなりミスリルのインゴットかい! 幸先良いね! これで次にミスリルゴーレムが現れるまでアイアンゴーレムを狩るルーティンの始まりだ!
昼飯時、アイシャと共に80階層転移陣の前にやってくる。ちょっと早めに来たせいでまだ誰も来ていない… ここで俺を含めて22人分のハンバーガーを出して、スキルの経験値を稼ぎたい思いはあるけれどここは我慢。まだ俺のスキルの詳細を知られるのは怖いからね… 朝のハンバーガーは仕方のない処置と割り切り、ここはコカトリスの肉を焼いて昼食としよう。
まぁこれをやると肉よりも野菜が好物なクローディアは辛いだろう、だからこっそりとサラダを食べさせようとは思っている。まぁ昼休憩となれば身内でグループを作るだろうし、きっとこちらの動きには目も留めないだろうとの希望的観測だ!
俺が持っている魔道コンロに火を点け、手ごろな大きさにカットしたコカトリスの肉を焼いていく。早速ケルベロスの毛皮を敷いてリラックスしていたアイシャも、この肉の匂いに気を取られているようだ。
肉だけかよって思ってしまうが、事前に食事の話はしていないため、きっとそれぞれ携帯食を持参している事だろう。皆袋やら鞄やら持っていたからね、追加で肉が食えるとあれば多分喜んでくれるはず! 年配の人もいたけど食べるだろう。なんたって高級肉だからね!
良い感じで焼けてきた頃、下に降りる階段からクローディア一行が戻ってきた。この転移陣の部屋に充満する肉の匂いに皆興味津々のようだね! まぁこの匂いはヤバいからな、涎が出てしまうほどに。
そして間を空ける事無く転移陣からグレイ一行が現れた。よし、昼飯だ!




