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01 追放とかひどくない?

新作スタートです、どうぞよろしく┏oペコッ

「キャハハ! ほ~ら、早く飛び降りてよ~」

「そうそう、待っててやってるんだから早くしてよね!」

「おう、姫達がこう仰られているんだ、光栄だと思わないか? まぁいい、この俺が手伝ってやるよ」


 ドスッ!


 大柄な男… サークルの先輩がバンジージャンプの飛び降り台にいた俺を蹴り飛ばした。


「うぐっ」


 痛みと共に浮遊感が訪れ、150メートル先にある谷底へと落ちていくのが分かった。

 そして俺は高所恐怖症… もうすでに意識は薄れ、走馬灯のようなものがチラチラと脳裏をよぎる。


 どうしてこんな事になったんだっけ? 確か大学に合格して自然鉱石サークルに入ったはずだ。自然鉱石には特に興味は無かったんだが、勧誘してきた人がすごい美人で押し切られたというかなんというか…

 それで今回初の合宿となっていたわけなんだが、なぜか俺がバンジーをする事を強要されている。いや、たった今蹴り落とされた。


 ものすごい風の音だけが聞こえてきて、蹴り落とされたものだから体は回転しているらしくてどっちが上かすら分からない状況。すでに目も開けていられない程の恐怖…


 その時、体に取り付けられていた器具が反応し、強烈な力で引っ張られていく感覚があった。


 ああ、一番下まで落ちたんだな? じゃあもしかしてこれで終わりなのか? どうにか耐えきったって感じかな。


 訪れる安堵、もう本日をもってこのサークルは脱退だな! 美人な先輩は姫として扱われているため傲慢の鏡のような人だ、もう二度と関わらないぞ!


 ブチッ


「え?」


 嫌な音がした瞬間、俺を引っ張っていた力が消え去り落下を再び開始する…


「おいちょっと待って、さすがにこれはヤバイだろ!」


 半端にゴムに引っ張られたせいで、予定外の方向へと体が飛んでいっている… 真下に落下したならば川があるからワンチャン助かる芽はあったかもしれないが、今向かっている方向は大きな岩がゴロゴロしている場所… この勢いではどう考えても助からない。


「くそっ! 絶対に恨んでやるからな!」



 だが俺は見てしまった。

 岩場に落ちる瞬間、地面に光が現れてその中に吸い込まれていく自分を…



「陛下! 儀式召喚成功しました!」

「おお、見たことの無い服、それに黒い髪… 間違いなく異世界人のようだな。早速鑑定を始めろ」

「はっ!」


 そんな会話が聞こえていた… でもどういう事だ? 俺は助かったのか?


「良くぞ我らの呼び声に応えてくれた。これより界渡りによって授けられるというスキルの鑑定をさせていただく、こちらの水晶に触れてくれたまえ」

「え… これに?」

「そうだ。言葉の方は通じているようだな、うむうむ」


 頭の中では混乱を極めている状況だが、声をかけられて言われるがまま大きな水晶に触れてみる。


「では… ふむふむ? はんばーがーくりえいたー? これは一体どういうスキルなんだ?」

「大神官様、そのような名前のスキルは聞いた事がありません。彼に聞いてみた方が早いのでは?」

「それもそうよな… 異世界人の君、はんばーがーくりえいたーとはなんぞや?」

「えっと、ハンバーガーはパンを使った庶民料理で、クリエイターってくらいだからそれを作る人って事かな」


 ハンバーガークリエイターなんて俺だって聞いた事がないよ。だけどそれは何だと聞かれたらこう答えるしか無いよね。他に思いつかないし、そう答えてもしょうがないよね。


「パンの料理だと? そんな物戦で何の役に立つというのだ! 今回の召喚にどれだけ金がかかったと思っている、お前のような能無しを呼び出すためではないわ!

 もういい、こやつを追放しろ! 二度と王都の門をくぐらせるな、これは王命である!」



 そんな国王の絶叫をどこか他人事のように聞いていた。

 すぐさま兵達に取り抑えられ、担がれて馬車に乗せられて王都の外へと運ばれた。そこで初めて、ここが異世界だという事を実感したのだが… 乗せられた馬車が猛獣を入れるような鉄格子に囲われていて、まるで晒し者かのように街中を走られたのだ。街行く人々もなんだなんだと見ていてとても気分が悪く、外に放り投げられた後にはなぜかほっとしたんだよ。


「よいか! お前は二度と王都に入る事は叶わん、とっとと他所へ行くんだな!」

「ああそうかい、勝手に呼び出した挙句にこの仕打ち、覚えておくからな」


 なんとか絞り出した憎まれ口、しかしこれからどうしようか… 何の知識もないまま放り出されるなんて思いもしなかったからな、まぁあのまま落ちていたら間違いなく死んでいただろうから、人生やり直しだと思って頑張るか? うーん、そこまで開き直れるかが問題だな。



 とりあえず門の前に立っていても仕方がないので、道に沿って歩き出す事にした。


「とりあえずハンバーガークリエイターだっけ? その名前の通りだとすればハンバーガーはクリエイトできるんだよな、つまり食べ物には困らないって事かな?」


 大きな門から大分離れたあたりで立ち止まり、通行の邪魔にならないよう脇によってスキルを試してみよう。

 いや、その前にゲームのように自分のステータスがさっきの水晶のように見えたりしないか試す方が先か? 


 なんて思っていたが、自分のステータスというのは案外簡単に見る事が出来た。


 ヒビキ・アカツキ 19歳 Lv.1

 力 E

 体力 E

 知力 C

 魔力 B

 敏捷 D


 ユニークスキル:ハンバーガークリエイターLv.1


「お、レベル1にしてはそこそこ良いステータスなんじゃないかな? まぁ知力がCって所は遺憾ではあるが… それともレベルが上がっても変化しない系か?」


 目の前に現れた半透明のステータスボード、ユニークスキルとなっているハンバーガークリエイターのところを指で触ると詳細な項目が出てきた、マジでゲームの世界かよここは。


 ハンバーガークリエイターLv.1


 現在作成可能なメニュー

 ハンバーガー:食べると全ステータスが3%アップする、効果時間は120分

 ソフトドリンク、オレンジジュース:飲むと内臓疾患、毒、寄生虫などを除去できる。

 ソフトドリンク、コーラ:飲むと内臓疾患、毒、寄生虫などを除去できる。

 ポテトフライ:食べると体力が少しずつ回復する、効果時間内であれば怪我も治癒する事が出来る。効果時間は10分。重症の場合は完治できない場合がある。

 オニオンフライ:食べると魔力が少しずつ回復する。効果時間は10分。

 お手拭き:クリーンの魔法が付与されたウェットティッシュ、乾くまで有効。

 ゴミ箱:食べ終えたゴミやトレイなどを処分する事が出来る。ゴミ箱に入れた後も所定の行為を行わなければ削除はされない。


「ふむ、ユニークスキルにレベルがついているという事は、スキルを使うとか魔物を倒したりとかでレベルが上がるって事だよな? まずは一通り出してみるか」

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― 新着の感想 ―
[一言] オニオンフライが有るって事はモスかな?
[気になる点] 「大柄な男… サークルの先輩がバンジージャンプの飛び降り台にいた俺を蹴り飛ばした。」 このけり落した者たちは、殺人罪で逮捕されたのかな?
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