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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

記憶喪失になった彼女から『全然好きじゃない』と言われて別れてしまったけど彼女はヤンデレだったので後悔はしていないしすごくモテるようになったから記憶が戻ったからよりを戻したいと言われてももう遅い。

超短編投下します!

最後のほうに残酷なシーンがありますのでご注意ください。

ラノベみたいな恋をした。


学校一の美少女でクララスメイトの綾乃郷あやのごう万理華まりかと陰キャでぼっちな俺は様々な苦難を乗り越えて恋人同士になった。


そしてあるデートの日の事。


俺たちにすごい勢いでトラックが突っ込んできたんだ。


「きゃあああああっ!」

「あぶないっ!」


俺はとっさに万理華をかばった。

しかしトラックを避けきれずに二人ともはねられ…。




「ここは?」


見知らぬ天井だった。


だが一目でわかる。

ここは病室だ。


俺はナースコールのスイッチを押し、すぐに看護士さんがやってきた。


「目が覚めたんですね?!」

「えっと、俺は事故で…」

「そうです!自分の名前はわかりますか?」

的場まとば嵯峨斗さがと。高校2年生。好きな食べ物はかっぱ巻き」

「そこまで言わなくてもいいです!でもあなたのほうは・・・・・・・記憶に異常がないみたいで良かったです」


あなたのほうは・・・・・・・


「まさか万理華は…」

「はい。実は…」




トラックが手前のガードレールでかなり減速していたことと、吹き飛ばされた先が店頭に並べられた商品の真っただ中だったせいでクッションになり、外傷はふたりともほとんどなかったらしい。


ただ、二人とも頭を強く打っており、しばらく意識が戻らなかったそうだ。


彼女は三日。俺は一週間も。


そして万理華は軽い記憶喪失になったらしい。


何でも3か月間の記憶がまったくないのだとか。


3か月前って、俺と初めて会話をしたころじゃないか!


「それで万理華は?」

「もう退院されて学校に通っているそうです」

「そうか、良かった」


とりあえずRINEを送っておく。


目が覚めてすぐに送らないと怖い・・からな。


『今目が覚めました。記憶とか異常無いみたいだよ』


あれ?

いつもなら秒で返事が来るのに?




『私みたいに記憶が消えればよかったのに』


え?!


そうか。やっぱり記憶が消えて、俺との思い出も全部消えたんだな。


『記憶はともかく怪我がないようでよかったよ』

『そうね。あなたとのこともすっかり忘れられて良かったわ』


まるで『氷河期のアイスエイジ女帝エンプレス』だった頃に戻ったかのような冷たい反応。


『もうあなたのことなんか好きでも何でもないから、別れましょう』


なんだって?!


『さようなら』


一方的にそう言われて、俺たちの関係は終わってしまった。





そして俺は10日ぶりに学校に戻った。


「よう!嵯峨斗!久しぶりだな!」

「何言ってるんだ歩夢あゆむ!昨日も見舞いに来てくれてただろ!」


ボッチだった俺が万理華と色々あった頃にできた親友である工藤歩夢に軽い拳骨を食らわせる。


「いたたた。でも良かったよ、お前まで記憶を失っていたらどうしようかと思ったからな」

「万理華は記憶を失ったことをみんなに言ってるのか?」

「それどころか『もう的場君のことなんて好きじゃないから恋人関係は解消した』なんて言ってたんだぞ!」

「ええっ?!」

「しかも以前のように毎日のように告白されているんだ」

「もう俺と恋人に戻る気は無いんだな」

「でも全部断ってるんだぞ」


だろうな。

伊達に『氷河期のアイスエイジ女帝エンプレス』なんて呼ばれてない。

あらゆる男性からの告白を冷淡に追い返す所からきた呼び名だからな。


「でも記憶が戻ったらきっと…」

「もういいんだ」

「え?」

「お前も知っているだろう?万理華のヤンデレ・・・・っぷりを」


俺が万理華と付き合い出してすぐに発覚したのは、万理華が重度のヤンデレだったことだ。


RINEでこまめに連絡をさせるのは序の口、同性の親友である歩夢と一緒に居るだけでも『浮気だ』と言う始末。


そして毎朝毎晩、一人暮らしの俺の家に入り浸って『既成事実』を作ろうとしていた。


美少女でスタイルもいい万理華に迫られて悪い気はしないが、俺はまだ責任を取れる年じゃないからそういう関係にならないようにしていたんだ。


そのたびに『私に魅力がないって言うの?』『誰か他に好きな人が居るのね?』から始まり、睡眠薬を入れた飲み物を飲まされそうになったり、近づく女性を実妹ですら排除しようと画策していたくらいだ。


いつか誰かを殺すかもと思っていたのだが、記憶が無くなっていつもの彼女に戻ったのならもう安心だ。


「俺はもう万理華と復縁はしないよ」

「そうか。それは良かった」


事情を知っているだけに喜んでくれる歩夢。


「それならさ、ちょっと頼みがあるんだけど」

「頼み?」

「俺の姉貴も心配していてさ。放課後に生徒会室に来てくれないかって」

「そうか。わかった」


歩夢の姉貴は高校3年生で生徒会長の工藤夕美先輩。

万理華と並ぶ学校屈指の美少女でクールな才女だ。


俺が万理華と付き合うまでにあったトラブルの解決に力を貸してもらった恩もあり、今回の事故の事も心配してくれてみたいだ。



放課後。

俺は生徒会室に行った。


「失礼します」

「嵯峨斗くんっ!」


いきなり抱きついてきた夕美先輩。

その破壊力のある胸を押し付けないでほしいんだけど。


って、どうしたんだ急に?

あのクールな夕美先輩はどこに?!


「私のことわかる?」

「夕美先輩ですよね?」

「先輩?」

「え?違うんですか?!」


何が違っているというんだろうか?


「夕美よ!あなたの恋人の!」

「ええっ?!」


ちょっと待って?どういうこと?!


「事故で記憶が消えたのね。でも心配しないで!私が愛と胸の力で思い出させてあげます!」


そう言うや否や、俺の頭を自分の大きな胸に押し付け始めた!


むにゅうううううううっ


「どう?私たちが恋人同士だった思い出したかしら?」

「わ、わかりませんっ!」

「これでも?!」


むにゅうううううんっ!


「ぜ、全然思い出せませんっ!」

「それなら、も、もうキスして思い出させるしかないわねっ!」


キス?!

夕美先輩と?!


ガラッ


「会長!何してるんですかっ!」


そこに入ってきたのは副会長で夕美先輩と同級生の一ノ瀬亜里沙先輩。

クールビューティな夕美先輩とは対照的にスポーティで活発な美少女だ。


「彼が私と恋人同士だったことを忘れたって言うから、思い出させようとしていたのよ」

「何捏造してるんですかっ!会長は嵯峨斗さんのこと好きだったけど告白できないヘタレだったくせに!」


え?そうなの?

好きだったとかマジなの?


「だから勇気を出してアタックしてるのよ!今なら『実は恋人だった』っての記憶で上書きできるから!」


好きだって言われただけでも驚きなのに、何をしようとしてるんですか?!


「とにかく、もうやめてください!生徒会の恥です!」

「わかったわよ」


俺を離して生徒会長の席に着席して、いつものようにクールな笑みを浮かべる夕美先輩。


「ともあれ無事でよかったわ。これからも歩夢と仲良くしてやってくれるかしら」

「夕美先輩、俺の事好きだったんですね」


消えかけた爆弾の導火線に再度火をつける俺。


「なっ、何をっ!誰からそんなことをっ?!」

「今言ってたじゃないですか!それにあんなに積極的だとは思いませんでしたうよ」

「そ、それは…ここで積極的にしないと君が誰かに奪われてしまうかと思って…」


真っ赤になって人差し指同士をつんつん突き合わせている夕美先輩が可愛すぎる。


「亜里沙みたいに話しやすい相手の方が早く関係を築けるかと思ったのよ」

「え?」

「だから亜里沙があなたに告白する前に私が…」

「ストップ!ストップ!会長、それまでよ。私は別に彼の事なんかなんとも思っていませんから!」

「亜里沙先輩」

「何ですか?」

「愛しています」

「(ぼっ!)」


真っ赤になる亜里沙先輩。


「俺の事、何とも思ってないんですよね?」

「そ、そうよ!不意打ちだから驚いただけだから!」

「亜里沙先輩、今度デートしませんか?」

「喜んで!…って違いますっ!うそだからっ!」


両手を子供みたいにバタバタ上下に振っている亜里沙先輩何て初めて見たぞ。


ガラッ


「嵯峨斗先輩!」


いきなりドアが開いて今度は書記であり1年生での倉橋くらはし弥里みさとがやってきた。


美少女ではあるけれども子犬っぽくて生徒会のマスコット的存在だ。


「万理華先輩と別れたって本当ですか?!」

「ああ。お互いそのほうがいいと思ってさ」

「それならそれなら!生徒会に入りませんか?」

「えっ?!」


この学校の生徒会は会長だけが選挙で決定されて、役員は会長がスカウトする。


「役職は何でもいいんです!とにかく生徒会に入って、ハーレムを作ってください!」

「「いきなり何言ってるのよっ!」」


夕美先輩と亜里沙先輩の声がハモる。


「まさか弥里ちゃんも嵯峨斗くんのこと好きなの?!」

「駄目ですからっ!絶対にゆずらないからね!」

「だから『ハーレム』と言ったじゃないですか。ボクたち全員が嵯峨斗先輩の『モノ』になるんですよ」

「「「はあ?!」」」


今度は俺を含めて3人でハモってしまった。


「弥里ちゃんも俺の事が好きなのか?!」

「いいえ、全然」

「だよねー!」


全くそんなそぶりは無かったものなあ。

夕美先輩と亜里沙先輩はまだ思い当たることが多少はあるけど。


「ボクは会長と副会長を愛しているんです!」

「「「え゛?」」」

「だから、ハーレムになって4Pをすればボクが二人とエッチなことできますよね?」

「「「ぶぶっ!」」」


何言ってるんだコイツ?


「そうしてもらえるなら、嵯峨斗先輩の事は好きじゃないけどボクの初めてをあげてもいいから!」

「そんな理由でもらっても嬉しくないよ!」

「ボクって結構可愛いよ?こう見えても結構着やせするんだー。会長より胸は小さいけど身長が135センチしかないから、実際に見るとすごいよお」


それはちょっと興味あるかも。


「嵯峨斗くんっ!何興味持ってるんですかっ!」

「そうです!破廉恥ですっ!」

「ご、ごめん」

「とにかく!ボクの欲望のために生徒会ハーレムを作ってくださいっ!」

「遠慮するよっ!」


俺は大慌てで生徒会室から逃げ出した。


それにしても…夕美先輩と亜里沙先輩が俺の事を好きだったなんて…。



家に帰ると一人暮らしのはずなのに誰かが居た。


うちの合い鍵を持っている万理華からはもう鍵を突き返されている。


だから身内しか居ないはずだが…


「お兄ちゃん!おかえりっ!」


台所では中学校の制服にエプロンを付けた清乃が料理を作っていた。

どうやら学校帰りにうちに寄ってくれたみたいだ。


中3の清乃は俺の自慢の妹で、優しくて可愛くて頭も良くて運動もできる。


きっと将来素敵な女性になるだろう。


「もうっ。将来じゃなくて今も素敵って言ってほしいのに」


しかもこうやって俺の心と会話できる特殊能力?がある。


でもこの清乃も3か月前までは顔を合わせても会話すらしなかったんだよな。


「それはお兄ちゃんが悪いんだよ」

「なんでだよ?」

「だって、『お兄ちゃんのお嫁さんになる』って言ったら『実の兄妹だから無理』なんて言ったからだよ」

「それは幼稚園の時の話だろ!」

「幼稚園児にまで現実を突きつけてどうするのよ!」


それもそうだな。

ちょっと大人げなかったか。


「わかればよろしい」


そう言ってにっこり笑うと料理を並べ始めた。


清乃は料理も上手で、食べるだけで幸せな気分になれる。


「そう?嬉しいな」


だから俺の心と会話するんじゃない。


まあ、実の兄妹だからそのくらいできるのかもな。


俺はまったく清乃の心を読めないけど。


「ねえ、お兄ちゃん」

「何?」

「大好き」

「ぶっ!」


思わず吹き出す俺。


「な、何をくうにいうんら?」

「お兄ちゃん焦り過ぎだよ。冗談じゃないの」

「そ、そうだよな」


焦ったぞ。


「でも、兄弟としては大好きだからね」

「それは俺もだぞ」

「だから、これからもずっと兄妹でいてね」

「もちろんだ」

「兄妹なら戸籍はずっと一緒だし」

「そうだな」

「戸籍が一緒で苗字が一緒なら入籍する手間は要らないし」


ん?


「こうやって親元を離れて二人っきりで過ごしていたなら夫婦って思われるだろうし」


は?


「子供とか作れば完璧よね。法律的に実の兄妹で結婚はできないけど出産は認められてるから」


何の話をしているのかな?清乃さん?


「良かったわ!万理華さんと別れてくれて!遊びに来たら睨まれるか私、どうやってこっそり『種』をもらおうか悩んでいたから!」

「おいいいっ!」

「なんて冗談よ」

「こらあっ!せっかく今夜は一緒に寝ようと思ったのに!」

「うそ…」

「うん、うそだよ」

「もうっ、仕返しなんてひどいなあ」


そう言いつつも微笑む清乃。


なんて他愛のない冗談を言い合える日常が帰ってきたことに俺は心底ほっとしていた。



≪短編用エピローグその1『バッドエンド』≫


そして半年後。俺は高校3年生になった。


陰キャを卒業していた俺はその半年間、とても楽しく過ごせていた。


夕美先輩や亜里沙先輩だけでなく何人もの女子生徒からアプローチされてしまったが俺そその全てを断った。


正直、付き合い始めてから豹変されるのが怖いからだ。


実際、夕美先輩も亜里沙先輩も思わぬ一面があったわけだし。


もう、しばらくは恋なんてしなくていいから。


達観した俺は『とりあえず友人から』という感じで優しく振ったせいで自然とハーレムのような状態が出来てしまった。


もちろん恋人じゃないからキスもしないし手も繋がないけど、一緒にお昼を食べたり遊びに行ったりするので『ほぼハーレム』なんて言われている。



そんなある日。


万理華の記憶が戻った。


俺のRINEには


『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』

『ごめんなさい』


ずっとこの言葉が送られてくるので怖くなってブロックすると今度は玄関のチャイムが鳴った。


カメラに映っていたのは恐ろしい形相の万理華の顔のアップ。


しかし鍵は返してもらったから開けられないはず。


かちゃん


え?ロックが開いた?!

まさかこんなタイミングで清乃が来たのか?!


ガチャリ


ドアの開く音。


そして廊下を歩いてくる音と、何かが引きずられるような『ガリガリ』という異音。


ま、まさか?!


「コイツ、邪魔だから始末しておいたわ」


引きずられてきたのは血だらけで息絶えている万理華。



そして万理華を放り出すと、持っていた大きなカバンからいくつもの『首』を取り出す。


「泥棒猫は残らず始末したわよ」

「ど、どうしてこんなことを…」

「それはあなたのことを愛しているからよ」


ズバッ!ズバアッ!


そして俺の両手足も切り裂かれて動けなくなる。


「さあ、二人の子供を作りましょうか」


動けない俺にのしかかってくる彼女。


や、やめろっ!


「やめてくれえ!おかあさんっ・・・・・・!!」


《Bad End》

お読み下さりありがとうございました!

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