序章 海、波音、砂浜にて
目の前に広がる青空と辺りに漂う潮の香り、目を覚ました瞬間に私は砂浜で眠ってしまったのだと悟った。
体を起こして周囲を見渡すとそこはやはり砂浜だった。青く透き通った海と白い砂浜、その反対側には木が生茂り私が中に入るのを拒んでいるようだった。
しかしこのままここでじっとしているわけにもいかないので砂浜を歩きながらこれからのことを考えることにした。
ここが島なのか大陸なのかはわからないが、何処かに内陸に続く道はあるはずなのだ。それを見つけないことにはどうしようもない。
そんな事を考えながら砂浜を歩いていると突然背後から物音が聞こえた。
人や動物の足音ではない、何かが落ちたような、それもそこそこ重たいものが落ちたような音だ。
音のした方を振り返ると、そこには黒いバックパックが落ちていた。それもかなり新しい物だ。
私はバックパックを拾い中身を確認した。
中には瓢箪に入った水が2つとパンが10個、それに手のひらサイズの石板と笛らしきもの、そして手紙が1通。
宛名を確認すると、私に宛てた手紙だと分かった。
封を切って手紙を取り出し、手紙に目を向ける。
『拝啓、アスカ様
突然の事で驚かれると思いますが落ち着いて手紙を読んで下さい。
貴方にはこの島の開拓をお任せします。
無人島ではないので先住民と友好関係を築く事も時として大切です、まずはそこから始めてみるといいかもしれません。
今は長旅の影響で記憶障害があると思いますが、そのうち思い出せるので安心してください。
それから、徒歩での移動は大変かと思いこちらで移動用の動物を用意させていただきました。
荷物に入れておいた笛を吹けばいつでもどこでも駆けつけてくれる賢い動物ですので可愛がってあげてください。
今の貴方には伝わらない事もあるので今回はこれくらいにしておきます。
それでは開拓をお願いします。』
なるほど、そう言うことか。
どうやら私はこの島を開拓しなければならないようです。