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――・23・――
ホワイトパールを基調としたオーダメイド車椅子。足の欠損に始まりアケコンの使用、果ては扱う魔法とのシナジーにまで気を配った特注品だ。
この日のために新調した相棒に身を預け、俺は敵を見据える。
模擬戦2試合目、対戦相手はヒューリー・シャック。勝利は絶対条件。
「まさか俺を指名とはなぁ……思い違いも大概にしろッ!」
開始とともにヒューリーは右手を突き出し、いつものワンパターンな光線を繰り出す。
コマンド――『怒気』からの『白雷』。
強烈な光とともに車椅子が駆ける。常軌を逸した速度は難なく相手の目をかいくぐり、その背後を取るに至った。
――反応するか、さすがだな。
コマンド――『形態変化:剣』。
「コハッ」
ヒューリーの注意が俺へ向いたと同時に、4本の光剣が彼を串刺しにしていた。出どころは彼の背後、俺が元いた場所の頭上だ。
「おいおいおいおい!」「まじかよ相手はヒューリーだぞっ」「…………」
動揺と衝撃が一同に走るこの空気感。力で圧倒し、黙らせるこの感じ……嫌いじゃない。
光剣が光となって霧散していく中、血溜まりに沈む男を俺は見下す。
開幕、ヒューリーが光線を放つことを俺は読んでいた。
基本的に不可避の範囲と速度で襲いくる光線に、対処するすべは限られる。拘束というゴールへ誘導するには、もってこいの技だろう。ヒューリーが多用するのも無理はない。
だからこそ見え透いていた。
きっとこれまでは明確に咎められてこなかったのだろう。たとえ読まれたところで悪いことにはならない――なんて態度が透けてしまうぐらいには驕っていたわけだ。
事実軍事科トップに上り詰めているのだから、その気持ちもわからなくはない。
――俺はそんな甘えた行動許さないけどな。
「俺を見上げる気分はどうだ?」
「テメェ……ッ!」
残す力を振り絞った一撃――魂の拘束魔法は、しかし俺を捕らえることはなかった。
――もう見たよ、ワンパターンなやつだ。
ひどく冷めた目で「何かしたか?」と暗に告げると、俺は意に介した様子もなく彼から視線をはずした。……その後すぐに意識を失ったのだろう、鈍い音が耳に届いてきた。
「次はお前だ、セドリック――」




