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高校生カップルの正しい過ごし方(休日編)②

 大船駅から電車に乗って一駅。

 藤沢駅に降り立った俺とりこは、駅北にある家電量販店にやってきた。

 手は恋人繋ぎのまま――、俺たちは目が合うたび、照れくさいねと笑い合った。


「ええっと、どうやって見て回ろうか?」


 エレベーターの隣にある案内板を眺めながら、りこに問いかける。

 普段だったら、目的の売り場を調べて直で向かうから、俺の買い物は長くても十五分ほどで終わる。

 だけど、今日はりこが一緒だ。

 できることなら、りこと過ごすこの時間を少しでも長引かせたい。

 そんなふうに考えていた俺は、りこが「一番上の階からゆっくり見ていかない?」と提案してくれた時、思わずガッツポーズしそうになった。


「もちろん湊人くんが嫌じゃなければだけど……!」


 りこが慌てて付け足す。

 嫌なわけがない。


 そんなこんなで、俺たちはエレベーターで最上階まで向かい、各フロアをのんびりと見て回った。


「あ! ここは家電のフロアみたい」

「ほんとだ。じゃあサーキュレーターもこの階に置いてあるかな」

「探してみよ!」


 手を繋いでいるからか。

 それとも休日で店内がにぎわっているからか。

 話しかけるとき、りこは少し背伸びをして俺の耳元に唇を寄せてくる。

 そこまで距離が近づけば自然と肩や腕、太ももが触れ合うもので、そのたび俺はわっと声を上げそうになった。


 りこはどう思っているのだろう。

 始終にこにこしていて、楽しそうなのは伝わってくる。

 とにかく退屈していないならよかった。


「見て、湊人くん! サーキュレーターあったよ!」


 りこが指さした先を見ると、扇風機売り場の向かいにサーキュレーターがずらりと並んでいる。

 想像していたよりも品数が多い。

 ざっと見た感じ、値段も機能も千差万別で、この中からどれか一つを選ぶのはなかなか骨が折れそうだ。


 ちょうどそのとき、タイミングよく店員が通りかかった。


「りこ、あの人に相談してみる?」

「うん、そうだね。――すみません、このお店で一番高いサーキュレーターはどれですか?」

「んっ!?」


 一番高い!?


 店員がほくほくした顔で駆け寄ってくる。

 安めのものと比べて桁が違うサーキュレーターを案内した店員は、その商品についている様々な機能を諳んじてみせた。

 りこは真剣な顔で、ふんふんと頷いている。


「いかがでしょう? 業務用としても問題なくご使用いただけますよ」


 いやいや。家で使うだけなのだから、業務用である必要はまったくないって。


「……りこ。もっと安いのでいいんじゃないかな……?」


 できるだけりこにお金を使わせたくなくて、ひそひそ声で話しかける。


「でも湊人くんの生活を支えるものだよ? それなら私は一番いいものを買いたいな……」


 困ったことにりこはこの商品を買うことに対して、かなり乗り気なようだ。


「うーん、だけど……」


 高い商品を買わせたいであろう店員は、状況をさっと読み取り、りこの側に回った。


「まあまあ彼氏さん。大は小を兼ねるといいますし!」

「……! み、湊人くん……! 今、彼氏って……!」


 一瞬で顔を赤くさせたりこが、繋いでいる俺の手を軽く揺さぶる。

 その目が「聞いた? 聞いた?」と言っている。

 なんだこれ。めちゃくちゃかわいい。


 見ず知らずの人にりこの彼氏扱いしてもらったことも初めてだし、店員の言葉に反応しているりこもかわいすぎるしでやばい。


 ……俺、ちゃんとりこの彼氏に見えるんだ。


 信じれない気持ちと、うれしい気持ちが同時に押し寄せる。


「それでいかがでしょうか?」


 揉み手をして尋ねてきた店員に向かい、りこは食い気味に「買いますっ!」と答えた。

 なぜだかりこが舞い上がっているように見えるけれど、気のせいだろうか?

次回の更新はもうちょっと早くできる予定……です


スクロールバーを下げていった先にある広告下の☆☆☆☆☆を、

『★★★★★』に変えて応援してくれるとうれしいです……!


感想欄は楽しい気持ちで利用してほしいので、

見る人や私が悲しくなるような書き込みはご遠慮ください( *´꒳`*)੭⁾⁾


書籍版のイラストを掲載しているので、是非下まで見てください~!↓

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