表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛され人形使い!  作者: 天眼鏡
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

502/506

山から街へ

 リフィユ山にて翼人ウィングマン鷲獅子グリフォンたちに別れを告げた望子たちは、『急ぐ旅でもないし』と休息を取りつつ長閑に下山。


 実に半日近くが経過した頃、彼女たちの目に映ったのは。


「あれって、とおりみちだよね? なんていうんだっけ……」

「街道、であるな」

「じゃあ、もうちょっとでつくんだ」

「あぁ、ちょうど日が暮れる頃に到着するだろうさ──」


 街と街、或いはその先にある場所とを繋ぐ整った街道。


 つまり、もう間もなく目的地へ辿り着くという事。


「──あたしの店もある、〝ドルーカ〟の街にね」

「……」

「ミコ? どうしたんだい」


 かつて望子たちも訪れ、あまり使う機会のなかった免許証ライセンスを得る為に冒険者の登録をした街でもある、ドルーカへと。


 漸く腰を落ち着かせられる、と喜んでも良さそうなものだが、どういう訳か望子の表情は決して明るいとは言えず。


 何かあったのだろうかとリエナが問うてみたところ。


「……おししょーさまとも……おわかれ、なんだよね?」

「……そうだね、あたしはこの世界を気に入ってるし」

「そっか……うん、だいじょうぶ。 わがままはいわないよ」

「最後まで偉いね、あんたは」


 望子から返ってきたのは、別れを寂しがる旨の呟き。


 実を言うと既に、リエナは望子に対して『自分は望子の世界には行かない』と宣言しており、もしかしたらまだ一緒に居られる未来もあるかもしれないと期待しての呟きだった様だが、何を言われたところで彼女の心が揺らぐ様子はなく。


 望子にしても駄目で元々だったのか、すぐ気を取り直してリエナに微笑み返し、そんな少女の健気さに胸を打たれそうになりつつもリエナは師匠として二番弟子の黒髪を撫でた。


「街の門が見えてきたな、まだ閉じていない様で何よりだ」

「おっと、人化ヒューマナイズを発動しておかねば」

「当然の様に街へ入るのだな、魔族の生き残りが……」

「我輩、ミコ嬢の〝おともだち〟であるがゆえ」

「……免罪符か何かと勘違いしていないか?」


 その後、レプターとローアの漫才めいた会話を尻目に。


「……まえより、ひとがおおいような……?」

「魔王との戦の影響だろうさ」

「そっか……せかいが、あぶなかったんだもんね」


 以前より明らかに門番や衛兵の数が多いという望子でさえ気づく異変に対し、ほんの数日前に勃発していたコアノルとの戦いの影響、というより余波だけでも世界全土が闇に包まれていた事を思えば当然だと返しつつリエナが門へ近づき。


「……ようこそ、ドルーカの街へ。 身分証明を──おや?」

「門番ご苦労、精が出るね」

「リエナ殿! 少しの間、お姿が見えませんでしたが……」

「ちょっと用事があってね、外へ出てたんだよ」

「そうでしたか。 本来ならリエナ殿の身分証明は不要なのですが、数日前の異変を受け厳戒態勢を敷いておりますゆえ」

「いい心がけだね、ほら」

「ありがとうございます。 では、お連れの方々も」

「「「……」」」

「はい、こちらも結構です。 どうぞ中へ──」


 流石にドルーカの門番や衛兵の中で自分を知らない者は居ないと踏んだ彼女の判断は正しかった様で、きっと他の誰かなら魔術や魔道具アーティファクトによる身体検査なども行われていただろう事を思えば身分証明だけで済んだのは非常にありがたく。


 すんなり街の中へ入れてもらえそうになっていたその時。


「──っと、そう言えば領主様がリエナ殿をお探しの様でした。 『異変の件で話を聞きたい』と仰られておりましたが」

「あぁ、後で寄らせてもらうよ」


 一行を呼び止めた門番曰く、どうやらドルーカの領主がリエナを探していたとの事で、もう日が暮れかけている為に今日は諦めるとしても近い内に必ず赴くと約束し、漸く入街。


 以前に訪れた時より活気がないのも先の異変のせいなのだろうが、それでも街の人々はリエナの帰還を素直に歓迎し。


「さて、今日はもう遅いしウチに泊まっていくかい?」

「いいの?」

「今からじゃ宿も取れないだろうしね」

「ありがとう、おししょーさま!」


 おそらく異変の事もあって宿は問題なく空いているのだろうものの、この時間から探すのもそれはそれで面倒極まりない為、九重の御伽話(ナインテイル)というリエナの魔道具店を宿泊先とする事にした一行は、リエナの案内でそちらの方へと向かい。


「そこの角を曲がればウチだよ、何だか懐かしい──ん?」


 歩いて数分、人気のない立地に建てられた魔道具店が間もなく見えてくる辺りまでやってきた一行を出迎えたのは。


「……漸く戻ったか、リエナ」


 ドルーカ領主、クルト=シュターナだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ