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愛され人形使い!  作者: 天眼鏡
最終章
483/492

何故それが見返りに?

『ごめんね……いたかったよね、くるしかったよね……っ』

「……? 一体、何が──」


 コアノルが死後ゆえの自虐めいた感傷に浸る中、本調子ではない事を考慮して優しく抱きしめながら誠心誠意の謝罪を本心からぶつけてくる望子に困惑しっぱなしのローアに。


『──妾が直々に産み直してやったのじゃ、ローガン』

「ッ!? ま、魔王様!? その御姿は……!!」


 全てを諦めた様に、それでいて晴れやかな様にも感じる声音でコアノルが声をかけた瞬間、蘇生から間もないがゆえ仕方ない部分もあろうが漸くその存在に気がついたのとは裏腹に、創造主に起きている異変については一瞬で気がついた。


 既に、存在そのものが希薄となりかけている事を。


 ……望子の手により、野望が潰えたのだという事を。


『貴様であれば察しておろう? 既に妾は斃された、他でもないミコの手によって。 そして今、妾を斃したミコへの褒美として貴様に再び命を与えたという訳よ。 それも全ては──』


 また、一方コアノルはコアノルで魔王軍でも随一の知恵者だったローガンが一目で全てを悟るであろうと踏んだ上で。


『──ミコの力で妾を人形パペットへ変える事の意義を、ミコ自身へ簡明に伝える要員を欲したが為に。 分かるな? ローガン』

「は……? 魔王様を、人形パペットに? この、状況で──」


 間もなく命とともに力も完全に失う運命にある自身が残る力の殆どをかつての部下の蘇生、もとい産み直しに割いてやった理由と、その意味を問うてきた魔王に返答を促され。


 病み上がり──という表現が正しいかどうかはともかくとして、再誕したばかりで頭がボンヤリしていたローアは魔王の言葉を反復するしかなく、数秒程きょとんとしていたが。


「──……委細、承知。 我輩が噛み砕いて伝えましょうぞ」

『結構。 ()()()()()()()()()()()()、確実に伝えよ』

「はっ」

『……?』


 その茫然自失もほんの一瞬の事、正しく数秒で〝己が死んでいた間に起きた全て〟を把握するとともに、〝産み直された己が成すべき事〟をも理解して頭を下げるかつての部下の所作にコアノルが満足げに頷く中、独り首をかしげる望子。


 当然と言えば当然だろう、既に死んだ筈の魔王と蘇ったばかりのお友達が自分だけを置いて通じ合っているのだから。


 しかし、そこは望子公認の〝お友達〟の傾聴力の見せ所。


「ミコ嬢。 何故、魔王様が御身を人形パペット──もとい、ヌイグルミにせよと要求しているのかが理解し得ぬのであるな?」

『う、うん……ろーちゃんは、わかるの?』

「如何にも」


 そもそもの前提として望子が何に疑問を抱いているのかという事を聞かずとも理解していたローアの発言に、こくりと首を縦に振りつつ問い返す事で説明を促す望子に対して。


 ローアが告げたのは、あまりに酷で望子に利がなく。


 そして、対処しなければ確実に訪れる最悪の未来──。


「結論から語ろう。 ミコ嬢の意思がどうあれ、魔王様の人形パペット化は必ず成さねばならぬ。 もしも成し得なかった場合──」











「──()()()()()()()。 他でもない、()()()()()()()()()

『え……!?』

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