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愛され人形使い!  作者: 天眼鏡
最終章
477/491

失われし技法

 魔術、武技アーツ恩恵ギフト


 地球における〝武器〟や〝兵器〟よりずっと身近でありながら、時にそれらを上回る程の影響力を持ち得る三つの力。


 この異世界は、ともすれば出自よりもこれらの力を手にしているかどうかで全てが決まると言っても過言ではなく。


 実際、過去の戦で活躍した人族ヒューマン亜人族デミが王族や貴族に肩を並べる程の権力や発言力を持っている事も珍しくない。


 ……というのは、あくまで現在の話。


 かつて、この世界には人族ヒューマンが開発した魔術や武技アーツは勿論の事、神の気紛れたる恩恵ギフトさえ凌ぎ得る力が存在した──。


 その力の名は──〝魔法〟。


 人族ヒューマンの叡智の結晶とも、亜人族デミの研鑽の成果とも、ましてや神々の悪戯の産物とも違う、とうに風化した第四の力。


 人族ヒューマン亜人族デミ、魔族はともかくとしても、あろう事か天上に座す神々にさえ扱う事が能わなかった──〝異能〟。


 その力を一言で言い表すなら──〝事象の誇大化〟。


 斬撃、打撃、射撃、魔術、武技アーツ恩恵ギフトといった戦闘に関する事象のみならず、呼吸や発声、思考や制動といった生きとし生ける者であれば誰しもが当たり前の様に行う事象にさえ過剰な程の影響力を及ぼさせんとする禁忌の力だったとか。


 例えば、呼吸一つで周囲の酸素や魔素を独占したり。


 何気なく発した声が世界の反対まで届く様になったり。


 思い描いた空想が現実の世界へ飛び出したり──と。


 上述した三つの力とは、そもそもの縮尺スケールからして異なる。


 使途を誤らなかったとしても、その力の影響は術者や対象となった生物どころか周囲一帯の環境や生態系にすら及び。


 事実、小国が一つ滅んだ例もあるという。


 では一体、如何なる存在がそれを扱う事が出来たのか?


 ……そう。


 その存在こそが──〝召喚勇者〟。


 より正確に言えば、〝異世界からの来訪者〟であった。


 この世界には、〝召喚〟以外にも〝転生〟や〝転移〟といった様々な手段で異世界からやってくる者たちが居る。


 今は亡き聖女カナタ──日本人、来栖彼方もその一人。


 そういった者たちは基本、前世や直前までの記憶を継承した状態で異世界こちらへ来る事が殆どだが、ごく稀に最後の最後まで何一つ思い出す事なく異世界こちらで天寿を全うする者も居て。


 確率は低いとはいえ種族が違っても交配が可能なこの世界において、人間と人族ヒューマンは呼称こそ違えど他種族と比べれば遥かに子を成せる確率が高く、やはり稀ではあったが〝魔法の発動権〟が遺伝した場合、単純に世界を揺るがす程の力を持った存在が一人増えたという事になってしまうのだ。


 ……だからこそ。


 かつて、この世界を生きていた者たちは未来を案じ。


 異世界からやって来たと前世の記憶を語る者、確証はないが異世界からやって来たと思われる者、そのどちらもを見つけ次第、徹底的な排除を実行したという記録が残っており。


 存在するだけで世界を揺るがしかねない〝魔法〟という異質な力を、()()()()()にしようとした、という事をローアは人族ヒューマンが書き記した数々の文献や歴史書から知ったという。


 ちなみに、〝己の魂を切り分け、ありとあらゆる非生物に生命を与える〟力、【魂魄付与ソウルシェア】もまた魔法の一種であり。


 魔王コアノル、側近デクストラ、幹部ラスガルドの三体と並んで唯一その事実を把握していた当時のローアは是が非でも魔法を己の物とするべく研究に没頭していたが、幸か不幸か研究部隊リサーチャーが総力を挙げてもそれは叶わなかったらしい。


 そして、先代勇者の手によってコアノルごと魔族全体が封印されるその瞬間まで魔法の解析を続けていたローアだからこそ、()()()()に気づく事が出来たと言えるだろう──。


(ユウトがミコ嬢の肉体を借りて放っていたアレは──)











「──……魔法、であったか」

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