水底に澱む怨嗟
ここからが十二章です!
そろそろ最終章間近……!
頑張っていきます!
──怨めしい。
──あぁ、怨めしい。
異界よりの人族風情に封印される程度の力しか持たぬ矮小な存在如きが、この母なる海を穢すとは──。
──何が『生ける災害』か。
随分と好き勝手に暴れてくれた様だが、どちらが災害と呼ぶに相応しいか目に物を見せてやるとしよう。
……あぁ、怨めしいのはあの愚者だけじゃない。
私の可愛い──可愛かった『眷属』たちもそうだ。
優しさなんかを始めとした不要な感情を全て取り除いた事で、あんなにも従順になっていたというのに。
……今となっては、まるで普通の女性であるかの様な体たらくとなってしまっている──なんてザマだ。
おまけに、あれだけ注いでやった力を薬か何かで消されているらしいし、その力も返ってこないときた。
絶対に、絶対に──この手で取り戻してみせる。
……無論、眷属たちを誑かした者も怨めしい。
千年以上も前に、あの愚者も含め全ての羽虫どもを封印した人族と同じ世界から喚び出されたあの少女。
同じ世界の出身というだけじゃない、あの黒い髪も黒い瞳も瓜二つに思えるし、何かの関係があるのかもしれないけど──そんな事は、もうどうだっていい。
私の可愛い眷属を奪った代償は払ってもらう。
……その命を以て。
何しろ──同胞の仇でもあるのだから。
あの娘は満足して死んでいった──それは分かる。
けれど、それで割り切れるものじゃあない。
もう、この世界で生き残っているのは私だけだ。
土、風──そして火も最近になって吸収された。
あろう事か、あの愚者の首魁──『魔王』に。
それを考えれば、まずは魔王を──と言いたいところだけど、あれを討ち滅ぼすにはまだ力が足りない。
……たとえ少女でも、あれは紛れもなく召喚勇者。
あれの傍にいる、あの人魚ごと吸収出来れば──。
私の──私たちの悲願を達成出来るかもしれない。
決して楽ではないだろう。
返り討ちに遭う可能性も充分にある。
それでも、やる以外の選択肢を選ぶつもりはない。
……そうでしょう?
ストラ、ナイア、アグナ──私の大事な同胞たち。
貴女たちの仇、勝手に討たせてもらうわ。
この世界に最後に残った『邪なる神』である私が。
水を司る邪神──……『ヒドラ』がね。
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