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プロローグ
『君はルミエラだよ』
そう言ったアナタの声が、アナタの顔が、脳裏に焼き付いて離れない。
アナタは私に名前をくれた、
初めてのキモチを教えてくれた。
そんなアナタに私は何か出来ていたのかしらね・・・・・・。
アナタと出会ったのは、アナタが迎える5回目のクリスマス・イヴ。
ガラスの向こうからは楽しそうな、幸せそうな声が聞こえてくる。
私の家はルウテ通りの真ん中から少し南寄りにある玩具屋を営んでいる。
今日は12月23日。
クリスマスプレゼントを求めてやってきた人で通りはいつもの何十倍もの人で溢れかえっている。それを、私はガラス越しに見ていた。
みな、幸せそうな顔をして通り過ぎてゆく。
私はこの時が世界で一番大嫌い。いつもなら暗い顔をして歩いていく人々もなんとなく軽やかな足取りになり、数日も経てば、頬を赤らめ、恋人と腕を組んで歩く人々でここも直に溢れかえる。
そのことに少し悲しさと寂しさを覚えた。ふと目の前に視線を戻すと、そこには1人の小さな男の子が立っていた。