表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私の髪はもふもふじゃなくて、もじゃもじゃです。

作者: 腹きゅん

 桜の花が綺麗なあの日、私は先輩に告白されて恋人になった。でも、私達がしたあることのせいで、二人の仲に危機が訪れる。私達、このまま別れちゃうの!?

 

 三分で読める超短編な二人のらぶらぶストーリー♡

 

 ――桜の花が綺麗に咲いていたあの日。


「君に一目惚れしたんだ。……俺とつきあってほしい」


 彼の癖ひとつない黒髪が風になびく。

 その日、私達は恋人になった。


 彼……先輩は、美しい髪を持っていた。

 私は、ひどい癖毛で恥ずかしかった。

 でも、先輩が私の髪がもふもふで可愛いと言ってくれたことは、嬉しかった。


 それから、私は見た目に気を遣うようになった。

 そして、昨日縮毛矯正をかけた。

 彼の髪には及ばないけれど、歩く度にさらりと揺れる真っすぐな髪が嬉しい。

 先輩、褒めてくれるかな。


 そして、待ち合わせ場所に着く。

 あれ、先輩まだ来てないみたい。

 しばらく待ってみるが一向に来る気配がない。

 ふと、隣を見るとアフロヘアの男性が立っていた。


 え、まさか……。


「先輩⁉」


 嘘⁉サラサラヘアがアフロに⁉

 いったい、どうして⁉?


 先輩も目を大きく見開き、震えている。


「もふもふがない⁉」


 もふもふって私の髪のこと?


 先輩は崩れ落ちるように座り込んだ。

 そして、私のもじゃもじゃに一目惚れしたこと、髪目当てで付き合っていたことを俯きながら話し出した。


 もじゃもじゃに一目惚れしたなんて……。

 なんて趣味が悪いんだろう。


 じゃあ、もじゃもじゃじゃなくなった私には興味がなくなった?

 そんな、先輩と別れたくない。

 私は、悲しそうな先輩を置いてここから逃げ出した。


 先輩と過ごした楽しい時間を思い出す。

 先輩と別れたくないよ。


「待って!」


 先輩、追いかけてきてくれたんだ。

 そして、先輩は勢いよく頭を下げた。


「ゴメン、君のもふもふが本当に好きだったんだ。でも、もふもふじゃなくてもいい。どんな髪型をしていても君のことが好きだって気づいたんだ」


 先輩……。

 私も先輩に謝らなきゃいけないことがある。


 私も先輩の髪目当てで付き合ったのだ。

 先輩には興味がなかったけど、そのサラサラヘアにひかれ付き合った。

 でも、今は先輩自身が好きだとわかったの。


 私達は抱き合い、お互いの髪を好きになる努力をすることにした。

 アフロヘアはイメチェンだったらしい。


 私達はお互いが髪目当てで付き合うという、ちょっと変わった恋人だった。

 でも、今は違う。

 お互いがどんな髪型をしてもいい。

 どんな姿でも、好きだと気づけたから。

 だから、先輩が禿げても私の髪が灰色になっても好きでいるよ。

 ずっと一緒にいようね。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ