表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

「ダンジョン主だと?」

「ダンジョン主だと?」


驚愕の事実にざわめく。


「このダンジョンのすぐ近くに、別のダンジョンがあるなんて・・・・」


黒髪の麗らかな女性の眼がまん丸になっている。


「だが、その方角は、龍神殿の・・・・・・しかし、下位吸血鬼に手こずるような奴らだ。まぁ、人違いだろうな」


「ダンジョン主がダンジョンを攻めてきたんだ。覚悟はできているだろうよ」


「ああ、戦争だな」


赤髪の女が立ち上がる。


「宣戦布告はあたしに任せておきな」


「よし、リリは宣戦布告に、エリは俺と戦争の準備にかかるぞ」


「はい」


「任せろ」


「さーて、久しぶりの戦争だ。張り切っていこう」





「鈩爺、三日で出来るとか言ってたくせに、5日たってもできねぇじゃねえか」


「全く、殿を待たせるなど。私が一度締めてきましょうか?」


「ふっ、いや、いいよ」


「何を笑われておられるのです」


「いや、なんでも。さて、今日も組手でもしよう・・・・ん?」


ごぼごぼと音をたてて、何かが湖の底から上がってくる。


「なんだ、なんだ?」


小妖怪が騒ぎ出した。


「河童!」


「おうよ!」


河童が湖に入る


「やべえ、なんか、すごいのがくるぞ!」


「すごいの?お前一体何を」


天狗がそういった瞬間だった。


大きな水柱を立てて、赤髪の女が湖から飛び出してきた。


「だれだ、人のダンジョンに勝手に入ってきやがって!」


烏天狗たちが突っかかっていく。


「やめろ、お前ら!」


天狗が叫んだその瞬間、女の姿がぶれ、烏天狗たちが倒れた。


「てめぇら!」


「殿!」


俺はすぐに女にとびかかった。


腰の回転と体のひねりを使い、太ももから膝、足へと力を流していく。


「はっ!」


女が足を蹴り上げる。


俺の攻撃は相殺され、距離を取る羽目になった。


「誰だ?お前は」


「誰だ?うちのダンジョン侵略しておいてよく言うぜ!宣戦布告に来た!」


「はぁ?」


「ダンジョン主同士で争う際、負けた方のコアを吸収、合併するという決まりの元、戦うことがあります。しかし、ダンジョンコアがあるダンジョンの方が珍しいので・・」


「なるほどな。しかし、なぜあいつはコアがあることに気が付いたんだ?」


女が懐からコアを取り出す。


「これを持ってきておいてよかったぜ。コア同士が近づくと、ダンジョンがお互いを侵食しあう。それを宣戦布告という。互いのダンジョンの入り口が完全に開いたところからが始まりだ」


女が池を向く。


「じゃあな。次合うときは戦争だ」


女はこちらをにらみつけると水中に潜っていった。


「河童、追いかけろ!」


天狗が叫ぶ。


「やめておけ!深追いは危険だ。アイツが出ていったかどうかだけ確認しておくんだ」


小妖怪の方を向く。


「お前ら、水を見張っておけ。もし誰か来ても戦うな。俺に知らせろ!」


ダンジョンコアに意識をリンクさせる。


「向こうのダンジョンとこっちがつながるまでどのくらいかかる?」


「20時間ほどでつながります」


「わかった。俺は鍛冶場に行く。お前らは戦える準備をしておけ」


「は」


「ど、どうすんだよ!」


「やべー!!!!!殺されるよぉおお」


すぐにかしずいたのは天狗のみ。ほかの奴らはパニックになって暴れている。


「強くなければ、誰も従わない・・・・か」


突然、壁に亀裂が走る。


爆音の発生源は俺の拳だ。


「落ち着け。あんな奴は俺の敵じゃねぇよ。それになぁ、妖怪が魔物にビビッてどうするんだ。それで強くなるのか?ああ?」


妖怪たちの動きが止まる。


「確かに、下位吸血鬼に俺と天狗は殺されかけた。でもな、妖鬼になった俺はそのあと一撃も喰らわなかったし、天狗は相性が悪かっただけだ。それでも怖えってのか?」


「だがよ、あいつはただの体術で俺たち烏天狗を沈めたんだぞ?」


ボロボロになった烏天狗の一人が声を絞り出す。


ぽろぽろと不安の声が漏れ出る。


「はぁ、どいつもこいつも意気地なしだぜ」


「な、若!何言って・・・」


「そんなに不安ならなぁ!!!百鬼夜行の一匹として俺の後ろについてきやがれ!!!」


「っ!」


「俺は準備がある。お前らも戦う覚悟を決めておけ!!」


「「「はっ」」」


『やはり、殿は妖怪の主となられるお方だ』


天狗は何ができるか、知恵をめぐらすのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ