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天狗は男勝りな赤毛の女と対峙していた。

天狗は男勝りな赤毛の女と対峙していた。


「テメェは火魔法が苦手らしいな。残念ながら俺の得意分野だぜ」


女が詠唱を開始する。


「フレアバズーカ!」


炎が大砲のように巨大な砲弾に膨れ上がりながら天狗に向かう。


「おい!天狗!」


河童が手に水を纏う。


しかし、天狗の表情を見て、彼は止まった。


笑っていたからである。


「確かに・・・・・」


天狗が体に風を纏う。


「私は炎に弱かった。風は残念ながら火には弱い。だがな」


天狗の纏った風が、つむじ風が火の玉を回り込み、女に向かった。


「なんだ!こんな風がきく・・・・・か」


女の後ろに強い妖気を感じ、振り向こうとすると背中越しに刀が光ったのが分かった。


「風はぶつけるものではない、本来はな。風は運ぶのだ。世界の様々なものを。天狗は風に乗り、天を舞う。そして、武を極めている私たちは」


「くそがああああああああああああ」


女の体から血がほとばしる。


天狗は血を払った。


「お前らなどには負けぬ」


「なぜ・・・・少し前に来た時には火魔法に手も足も出なかったはず」


「すべては殿のおかげだ。私は以前ここで死にかけたとき、配下を守ろうとする心に打たれて障害仕えようと誓った。その時、私は百鬼夜行の一員となった。殿が立派な妖怪になられ、百鬼夜行の一員として殿の力の恩恵を受けるようになったことで、私の力は増大した。もはやお前らなどには負けん」


「くそ・・・が」


キン・・・・・ 


刀をしまう音が鳴った。


「さてと・・・殿は・・・・って、いない!!なにやってんだ、あの人!!」


天狗はぱたぱたと走り去っていった。



麗らかな黒髪の女と対峙しているのは雪女


「私たちのダンジョンを滅ぼしに来たのね。10年余の歳月をかけ、少しづつ強化してきた私たちの楽園を・・・いったいなぜ?」


「わが君が近くのダンジョンに入ったのはあんたたちを滅ぼすためじゃなく、レベル上げのためだったと聞いているわ。優れた主ならば宣戦布告の前に降参勧告か、さもなければ、停戦協定を結ぶための条件の提示、交渉を行うべきだったわね。侵攻が始まれば滅ぼすしかないわ。馬鹿ね、あんた達」


「取り消しなさい。高貴な吸血鬼にその言葉は似合わない」


女の腕から血が垂れる。


「高位の吸血鬼は自らの血を用いて能力を発揮できる。私の能力は熱」


血が雪女に向かって飛ぶ。


雪女が吹雪を放ち、血を止めんとするが、雪はもろく溶け、血の速度を落とすにとどまった。


雪女が回避し、血が着弾したところの地面はガラス化してしまっていた。


「これは・・・」


「残念、あなたの言葉を後悔して死になさい」


血の球が女の腕が降られるたびに雪女に向かって飛ぶ。


雪女は吹雪を使って速度を落としつつ、躱していくが、ついに血が肩に触れた。


「あああああああああああああああああああああああああああ」


「ふふふっ、馬鹿みたいに鳴くのね。もっと聞かせて。あなたの間抜けな主人に届くように」


雪女から吹雪が放たれ、女に当たる。


「きゃ」


「なんて言った、吸血鬼?」


「は?」


「わが主に向かって、なんつったって聞いてんのよ!!!」


雪女から放たれる吹雪は縦横無尽に駆け巡り、女の周囲が雪の世界になった。


辺りで戦っていた妖怪や、吸血鬼たちは一目散に離れていく。


「こんなのすぐに溶かし・・・血が・・・・固まって・・」


女が血を放とうとするが、腕から流れ出る直前に血が凍ってしまうので、吸血鬼の能力を使用することができない。


「くっ・・・・・段々、眠く」


「私の吹雪の中で永遠に眠り続けなさい」


しんしんと雪が降り積もるダンジョンの一角で一つの戦いが終わりを告げた。




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