「若、それは何だ?」
「若、それは何だ?」
河童の問いに新しい武器だと答える。
「へぇ、かっこいいな」
「だろう。俺にふさわしい武器よ」
「殿、だめじゃないですか。ここで皆の指揮をとらねば」
「そうだな、そんなのはつまらん。こっちから出向いてやろう」
「なっ!!あんたがやられればこのダンジョンは」
「ついてこなくてもいいぞ、一人でも行く。出なきゃ、殺された烏たちも浮かばれまい」
「・・・」
「まぁ、まぁ、天狗。起こっても仕方ないだろ。ついていって、せめて露払いだけでもやってやろうぜ」
河童が肩をたたく。
「ビビってんじゃないわよ。私は殿の行くところ、何処へでも」
雪女が冷たい目でこちらをにらみ、殿についていく。
「俺も!」
「面白そうだしなぁ!!」
小妖怪の群れが付いていく。
「お前はいかんのか?天狗」
河童が遠くから問てくる。
「私は・・・・行かないわけがないだろう!」
湖のほとりで水妖怪たちが列をなし、空気を水の中に送り込み、泡の道を作る。
「やるなぁ、河童」
「お安い御用だぜ」
「そろそろ・・・」
「おーい、これもってけってよ!!」
朧車が武器を大量に載せてやってきた。
刀、三俣の槍、小太刀、棍棒などが入っている。
各々が気に入ったものを手に取った。
河童や、小さすぎる妖どもは取らなかったが。
「さてと、百鬼夜行の始まりと行こうじゃねぇか」
俺たちは泡の道に飛び込んだ。
何時もの泉から出て、洞窟を進んでいく。
「邪魔をするな」
天狗、河童、雪女、数多の魑魅魍魎が魔物を葬っていく。
「随分と弱っちい。これでよくケンカを売ってきたものだ」
「はははは、天狗も俺の配下らしくなってきたじゃねぇか」
「私はもとよりこんな感じだ」
天狗が刀の血を振って落とした。
「下位吸血鬼たちの墓場・・・・か」
「なにっ!!」
下位吸血鬼たちは心底驚いていた。
「ダンジョン侵攻??!!だってまだ始まってない」
「それに大将自ら乗り込んできただと??」
「はっははははは、落ち着け、魔物ども。俺と天狗は一度不覚を取ったが」
「ぎゃああああああああ」
いつの間に後ろに回っていた天狗が下位吸血鬼を切る。
「もう不覚なんぞ取らんよなぁ」
「当たり前だ」
「くそ、火魔法だ!やれ!」
「フレアボム!!」
「雪花」「水玉」
河童と雪女がそれを防ぐ。
「はははっは、楽しいなぁ」
妖怪たちが下位吸血鬼たちを屠っていく。
「くそ!こいつら止められねぇ」
「なんだ、こいつらは」
「百鬼夜行、俺の家族だ」
「殿」「若様」
「行くぞ、テメェら」
「「おう!!」」
「大変です!!敵がすでにこちらに入り込んだ模様です」
「なに!!」
「まだダンジョンがつながり切っていないはずなのに・・・、敵は始末したんでしょうね?」
「それが・・・・・」
「ぎゃああああああああああああ」
おびえて声を発する吸血鬼の男が最後の層に転移してくる。
「どうしたんだ!」
「あ、あいつらが・・・」
「敵か?」
「ん?これは・・・・・」
魔力ではなく、妖気が辺りに立ち込める。
「やぁやぁ、そちらが敵の大将か」
「何者だ!」
「俺か?それとも俺たちか?」
「なに??」
眼前に広がるのは百を超える妖怪たち。
その中心にいる男はダンジョンコアを持っている。
「まさか・・・・・大将自らこちらに乗り込んできたとでもいうのか?」
「さて、喧嘩の始まりだぜ」
「うおおおおおおおおおおおおお」
「くっ、ひるむな!向かいうて!!」
「はっ」
かくして吸血鬼たちと妖怪の戦争は始まった。