「鈩《タタラ》爺、できたのか?俺の刀は」
「鈩爺、できたのか?俺の刀は」
「ああ、今しがたな」
炉の隣には二振りの大剣が置いてあった。
2メートルの俺の背丈に迫る大きさだ。
一つは燃えるような紅の装飾が走っている。
かたや鉄の鈍い光を放っている。
「なんだ、これは・・・・・」
持った瞬間、体の力が吸い取られるような感覚が走った。
「妖刀 鬼炎丸と鬼鉄剣 鬼本来の力を増幅させる二振りの大剣じゃ」
「鬼本来の力?俺には雷や、炎なんて」
「はぁ・・・いいか?鬼は本来、浮世ではない、地獄の存在じゃ。その存在は地獄と浮世を繋げておる。お主は煉獄の炎を呼び出す力を秘めておる。そのように、この大剣は語ったのじゃ」
「こいつが?」
「ああ、ものには感情がある。彼らが生まれるとき、わしには大きな感情が伝わってくる。こいつらは自分たちの主人の役に立ちたい、もっと力を引き出したいと、いろいろなことを教えてくれたよ」
「へぇ、こいつらに・・・・」
「だから妖刀じゃ。わしはその武器には特別、妖刀としてお前の力を引き出す仕組みを込めた。鬼炎丸はお主の煉獄の炎を操る力を呼び起こし、その力を増幅させる。鬼鉄剣はおぬしの身体能力を増強させる。どちらもわしの自信作じゃ」
「それは頼もしいな」
「お主、名前は?」
「名などない。俺は生まれつき若と呼ばれていた。好きに呼ぶがいいさ」
「そうか。ならば、殿と呼ばせてもらう。お主のように、刀に愛される男を支えてやる」
「ふっ、頼りにしているぞ」
俺は急ぎ、大量の武器がほしいことを伝える。
「まぁ、簡単な刀でもいいのなら大量に作成しよう。一日で40本作って見せよう」
「頼むぞ」
二振りの刀を肩に載せ、行こうとすると鈩爺が焦ったように呼び止めてきた。
「危ない、忘れとったわ。これを持っていけ」
鞘を二つ渡されたが、どう見ても入らなそうだ。
「これ、普通の刀の鞘だろ?」
「それに無理やり入れようとしてみい、勝手に小さくなるぞ」
なるほど、鞘に近づけると刀が勝手に小さくなって、持ち運びやすいようになった。
「時間がないから軽くすることはできなかったが、とりあえず、これでいいか?」
「十分だ。よく、これだけの時間でここまで仕上げたな」
俺は刀を腰の帯に刺した。
「もうすぐ戦争が始まる」
「戦争じゃと?それで、お前さん、武器を作れと」
「ああ、あと20時間くらいらしい」
「これは大変だ。すぐに大量の武器を作るぞ」
鈩爺は鉄を撃ち始めた。